現役官僚インタビュー 農林水産省
「国の基」に携わる
笠原 健さん
Ken Kasahara 大臣官房秘書課 監査官
入省後の略歴と職務内容
・2006年 消費・安全局総務課、表示・規格課
米国産牛肉輸入問題(BSE問題)、食品表示偽装への対応
・2008年 大臣官房秘書課
新卒者リクルーター
・2010年 総合食料局食糧部計画課係長
米麦の新たな売買スキームの構築
・2011年 大臣官房予算課係長
農水省全体の予算編成・補正予算編成
・2013年 林野庁森林保険制度検討室課長補佐
森林に関する新たな保険制度の創設
・2014年 金融庁監督局銀行第一課課長補佐
メガバンクの監督
・2016年 米国出向(ジェトロシカゴ事務所)
農林水産物の輸出促進、現地での販売強化
・2019年 経営局農地政策課課長補佐
令和の農地改革に向けた新たな制度の検討
・2021年 現職(大臣官房秘書課監査官)
新卒・中途採用総括、課長補佐以下の人事の総括
Q1 国家総合職(入省先)を志した理由を教えてください。
人生一度きり、せっかくなら大きな仕事をしてみたいと考えたことがきっかけです。「国を動かす」という国家総合職の仕事の大きさに心惹かれました。
国を動かす原動力となるのは、「人」です。その人の原動力となるのが「食」です。まさに「国の基」となる食、その安定供給を一手に担う農林水産省こそが、日本を根本から支えていく政策を担っていると考え、その一端に携わるべく選択しました。
Q2 今まで経験されたお仕事で、最も心に残っていることはなんですか?
全てのポストで印象的な経験がありますが、特に印象に残っているのは直近の農地政策です。
農地政策課では、農業の成長産業化に向けた環境整備を行いました。「農業はジリ貧ではないか」という意見もありますが、その一方で数億円以上稼ぐ農家が増えてきている実態もあります。こうした農家(農業の「担い手」)がより経営の多角化・発展を行う環境を整備するため、農地を担い手に集める(集積する)ための方策、より効率的に担い手が農地を活用できるよう地理的に集める(集約する)ための方策等について検討・実施しました。
Q3 これから取り組みたいお仕事はどんなことですか?
農業をより強い産業・稼げる産業にしていく必要があると考えており、そのための政策の企画・立案に取り組んでいきたいと思っています。一つの目標としては、「学生の皆さんが就職活動をする中で、『農業』が一つの選択肢に入ること」です。これを達成するためには、一定程度安定して稼げる必要があり、かつ、ある意味「かっこよく」「夢のある」産業であることが条件と考えています。
このためには、形態としては法人化を進める必要がありますし、労働環境の改善のためのIT化も必須です。農業を経営的感覚を持って考える必要もあります。その一方で地域に対する弊害も考慮しなければなりません。より地域に根差しつつ、こうした夢のある産業にするための方策を私自身も考えていきたいと思っています。
Q4 キャリアをめざす受験生へ熱いメッセージをお願いします。
日本は現在、人口減少社会に突入しており、これまで実施してきた政策を一から根本的に見直す必要が生じています。農林水産業においても、人口減少により国内需要が減る中、産業として更に成長するため、国内偏重であった施策を海外マーケットまで視野にいれて構築し直すなど、新たな視点・感覚が重要となっています。
これに加え、気候変動が食料生産に及ぼす影響など、今までと違う事象も顕在化しています。こうした課題は乗り越えるにはとても高い壁ですが、確実に皆さん自身を成長させてくれるものです。やりがいと責任感のある就職先である公務員・農水省の門を是非叩いてみてください。