税理士試験の選択科目をズバリ解説! 相続税法・消費税法の学習内容・合格率・難易度は?

相続・消費

税理士試験の税法科目のうち、実務で活躍する選択科目「相続税法」「消費税法」となります。それぞれの科目の特徴や学習上のメリット等を詳しくご紹介します!

なお、「消費税法」の学習には、「簿記3級」の事前知識が必要です。

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相続税法の内容・合格率・学習メリット

相続税法とは

相続税とは亡くなった方から無償で受け取った財産に対し課税される税金です。贈与税とは生きている方から無償で受け取った財産に対し課税される税金です。「相続税法」はこの相続税と贈与税の2つの税金に関する法律となり、「一税法二税目」という他の税法にはない特徴を持っています。「相続税法」の学習では相続税や贈与税の計算方法ならびに「相続税法」の規定や考え方、解釈も学習していきます。

相続税はよく耳にしますね。遺産分割でトラブルになるとか。

女子学生

さつきさん

税理士

国税先生

そうだね。相続人全員の同意で分割しなきゃいけないから大変なんだ。ちなみに、財産にはプラスの財産もあれば、未払いのローンや借金といったマイナスの財産もあるよ。
また、近年ではトラブルがないように、生前に財産を贈与することも増えているんだ。相続税法では、相続税と贈与税の2つの税金について学習する科目なんだよ。

相続税法の出題傾向

試験は例年、理論(50点)と計算(50点)に分けて出題されます。理論は個別問題、応用問題、事例問題のいずれかの形式での論述問題が出題されます。出題の幅は広く、正確な暗記も必要となります。
計算問題では、相続人が相続した財産に対し、いくら課税されるのかを計算する形式で出題されます。

相続税法の計算問題

「相続税法」の計算問題では、相続人もしくは贈与人として、受け取った財産から納付税額を計算することになります。税額計算にあたっては、財産の価値を正確に評価しなければならず、その評価を「財産評価」と言います。この「財産評価」が「相続税法」において重要な部分となり、学習の中心となります。なお、計算問題の出題パターンは限られているため、対策が立てやすい部類になります。

財産の価値を評価するって、なんだか骨董品の鑑定士みたいですね!

女子学生

さつきさん

税理士

国税先生

さすがに骨董品や美術品の鑑定は税理士にはできない。だから、これまでの販売実績を参考にして評価したり、実際の古美術商に財産評価を出してもらったりすることもあるんだ。
税理士が財産評価できる代表例として土地家屋があるよ。土地は国で定めた路線価や、固定資産税評価額などを基準にして価値を算出できる。諸々の条件によっても財産の評価も変わるけれど、相続税法を学習すれば計算も可能になるね。

相続税法の理論問題

相続税、贈与税は、それぞれの財産の性格に応じて規定(条文)が設けられています。理論の出題では、その規定を説明する個別問題、個々の規定を複合的に説明する応用問題、具体的なケースに対し説明する事例問題が出題されています。
理論の出題範囲は広く、一語一句を覚えるような正確な暗記も必要になりますが、個別問題を反復学習することにより応用的な出題にも対応できる実力が養えます。TACでは条文の暗記は理論教材の「理論マスター」を使って行います。

理論問題ってどんな出題がされるんですか?

女子学生

さつきさん

鑑定士

国税先生

年度によって違うけど、相続税の申告にあたっての適用できる特例処置や、申告においての規則、個々の事情により納税までの期間が延長できる納税猶予といった、相続税に関わる各種規則について複合的に説明が求められる出題が多いね。

わぁ難しそうですね!

女子学生

さつきさん

税理士

国税先生

本試験では必ず押えておくべき重要項目や、新しく決まった規定を中心に出題される傾向があるので、TACではそういう重要論点を中心に学習してもらえるよう、カリキュラムや教材を工夫して作っているんだよ。理論の出題についてもしっかりと対策できるから一緒に頑張ろう!

相続税法の標準学習時間

400時間
※TACの講義時間を含みます。
※理論暗記については個人差があり、学習時間には含みません。

相続税法の合格率

受験者数 合格者数 合格率
令和5年(73回) 2,428名

282名 

11.6%
令和4年(72回) 2,370名 336名 14.2%
令和3年(71回) 2,548名 325名 12.8%
令和2年(70回) 2,499名 264名 10.6%
令和元年(69回)

2,897名

338名 11.7%

相続税法の学習メリット

相続税と贈与税は無償で取得した財産に課税される税金です。そのため、取得した財産の価値がいくらなのかを見積もる必要があり、その見積もりには専門の知識が必要となります。また、課税される財産もあれば課税されない財産もあるため、その判断ができなければ正しい税金計算を行うことができません。
財産に対する課税や税金計算の方法が特殊であるとともに、様々な特例が設けられていますので、実務において「相続」を扱いたい方には学習しおきたい科目となります。

税理士

国税先生

平成27年度の改正により相続税を納めなければならない人が大幅に増加したので、多くの人が相続税を無視できなくなっている事情があるんだ。

税理士も相続の仕事が増えそうですね。

女子社員

さつきさん

税理士

国税先生

そうだね。税理士事務所としての生業を「相続専門」とする税理士さんも増加しているよ。
将来、税理士として「資産税分野で活躍したい」なら所得税法と並び相続税法も学習しておきたい科目だね!

消費税法の内容・合格率・学習メリット

消費税法とは

消費税とはモノやサービスの消費活動に対して課税される、わたしたち国民(消費者)にとって一番なじみのある税金です。消費税は消費者が負担していますが、納税義務があるのは徴収者である「事業者」となります。このように、税の負担者と納税者が異なる税金を「間接税」と言い(税の負担者と納税者が同一である税金を「直接税」と言います)、消費税は「間接税」に該当します。
「消費税法」の学習では、納税義務のある「事業者」の立場から、消費税の計算方法や、その法律で定められた内容や解釈を学習していくことなります

「事業者の立場」から学習するってどういうことですか?

女子学生

さつきさん

税理士

国税先生

消費税は僕たちが納税しているように感じるけど、実は買物した店舗に税金を預けているんだ。従って、納税義務は消費税を預かった店舗にあるので、消費税法の学習はその店舗側の立場になって考えていくことになるんだ。
ちなみに、消費税10%の内訳は、国税7.8%、地方税2.2%となるんだけど、消費税法の学習ではこの国税7.8%について学習することになるんだよ。

消費税法の出題傾向

試験は例年、理論(50点)と計算(50点)に分けて出題されます。理論問題では、個別問題、応用問題、事例問題のいずれかの形式での論述問題が出題されます。計算問題では事業者が消費者から預かった金額について、国に納めるべき納付税額を計算する形式で出題されます。

わたしたちに身近な話題も出題されたりしますか?

女子学生

さつきさん

税理士

国税先生

飲食料品・一定の新聞には8%の軽減税率が導入されていることは知ってるよね?令和2年度では軽減税率について出題されたし、今後も改正項目は出題されると思うよ。

消費税法の計算問題

消費税の計算問題では、納税義務のある事業者の立場となって、消費者から預かった消費税額から、仕入メーカーに支払った消費税額を差し引いた納付税額を計算することになります。消費税には課税されるもの、課税されないものがあり、その判断を「課否判定」と言いますが、この「課否判定」が「消費税法」の学習において最も重要な部分となり、計算の学習の中心となります。

消費税が課税されない取引もあるんですか?

女子学生

さつきさん

税理士

国税先生

例えば、日本国内で作った商品を海外で販売する場合、日本の消費税が課税されると変だよね?だから消費税は課税されないし、国内生産で発生した消費税(課税仕入れ)も還付されるといった事があるんだ。こういった課税される取引、されない取引を消費税法ではしっかり学習してもらうことになるんだ。

消費税法の理論問題

消費税は、それぞれの取引に応じ、課税・不課税・非課税・免税という「税区分」が設けられています。その「税区分」に関する規定(条文)の内容や、その意義を理解して覚えることが理論の中心となります。理論問題は個別問題、応用問題、事例問題のいずれかの形式で出題されます。個別問題なら消費税に関する規定をそのまま論述させる形式で出題されます。また、近年の試験では、具体的な事例に対してその取扱いを述べさせるといった出題もされています。
TACでは条文の暗記は理論教材の「理論マスター」を使って行います。

不課税と非課税って同じじゃないんですか?

女子学生

さつきさん

鑑定士

国税先生

不課税って言うのは例えば国外取引とか日本の消費税がそもそも発生しない取引を指すんだ。非課税っていうのは、社会政策上、消費税を課税しないことに決まった取引を指すんだよね。例えば、住まいの家賃は非課税だったりするね。

消費税法の標準学習時間

350時間
※TACの講義時間を含みます。
※理論暗記については個人差があり、学習時間には含みません。

消費税法の合格率

受験者数 合格者数 合格率
令和5年(73回) 6,756名

802名 

11.9%
令和4年(72回) 6,488名 740名 11.4%
令和3年(71回) 6,086名 726名 11.9%
令和2年(70回) 6,261名 782名 12.5%
令和元年(69回)

7,451名

884名 11.9%

受験者数が他の税法科目に比べて多いですね!

女子学生

さつきさん

税理士

国税先生

消費税法の知識は実務に直結するため、とても人気があるんだ!

消費税法の学習メリット

「消費税法」は、税理士試験の税法科目の中で最も実務に直結する科目です。実務上、法人及び個人事業者の会計処理をすべて複式簿記にて行いますが、その際に、一つ一つの各取引に消費税が課税されるか否か(もっと言ってしまえば、免税か、非課税か、不課税か)を、日々判断できなければ消費税を計算することはできません。つまり、会計事務所に勤めたその日から消費税の知識が必要になります。 また、他の税金と比べても申告件数が一番多い税金が消費税となります。そのため、実務においてその知識は必須となり、税理士には切っても切れない科目となります。

確かに消費税法は勉強しておいて損はなさそうですね。

女子学生

さつきさん

税理士

国税先生

実務で必ず必要になる知識を学べるという点で、受験科目として消費税法を真っ先に選ぶ人が多いよね。他に目当ての科目がないなら消費税法の選択をおすすめするよ!

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