教員資格認定試験とは?
教員免許を取得する最短ルートを徹底解説
社会人や学生が教職課程を修了せずとも教員免許を取得できる試験、それが「教員資格認定試験」です。
本記事では、教員免許取得への近道として注目を集める教員資格認定試験について、詳しく解説していきます。
この記事の監修者
永平 一洋 講師
TAC教員講座主任講師。予備校講師歴30年以上で、主要指導教科は教職教養、一般教養、数学、数的処理、英語など。教育アプリの開発プロジェクトにも携わり、講師責任者として400人以上の講師を主導した経験を持つ。指導形態や対象者を問わず、あらゆるフィールドで非常に高い評価を獲得している。また、講師だけでなく、教材開発や講座企画も主導。マルチな舞台で活躍している。
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はじめに
「教師になりたい」という夢を持ちながらも、教員免許を取得しておらず、どうしようか迷っている方は多いのではないでしょうか。そんな方々に、教員免許取得への近道があることをご存知でしょうか。
実は、大学で教職課程を修了せずとも教員免許を取得できる方法があります。それが「教員資格認定試験」です。この試験は、文部科学省が実施する国家試験であり、合格すれば教員免許を取得できます。
本記事では、社会人・学生の方々が最短で教員免許を取得する方法として注目を集めている教員資格認定試験について、詳しく解説していきます。
通信制大学と教員資格認定試験:どちらが社会人・学生に適しているのか
これから教員免許の取得を目指す場合、主な選択肢として通信制大学への入学と教員資格認定試験の受験が挙げられます。しかし、この二つの方法には大きな違いがあります。
通信制大学での教員免許取得には、最短でも2年間の在学期間が必要です。その間、仕事や学業との両立が求められます。そして特に大きな課題となるのが教育実習です。2~4週間にわたる教育実習期間中は、職場・学校を休まなければならず、多くの社会人・学生にとって大きな障壁となっています。
教育実習の期間
校種 | 期間 |
---|---|
小学校 | 4週間程度+介護等体験7日間 |
中学校 | 3週間程度+介護等体験7日間 |
高等学校 | 2週間程度 |
幼稚園 | 4週間程度 |
一方、教員資格認定試験は、教育実習は不要で、試験に合格すれば教員免許を取得することができます。単位取得ために長期の休暇を取得する必要はありませんので、多忙な社会人・学生でもチャレンジしやすい道となっています。
費用面でも、通信制大学の学費と比べると大幅に抑えることができます。
免許取得までの期間
方法 | 期間 |
---|---|
教員資格認定試験 | 半年~1年(受験対策期間) |
通信制大学 | 2~4年(必要な単位取得に要する期間)
免許取得までの目安として高卒で1年次入学した場合は4年、専門卒・短大卒・大学卒で科目等履修や3年次編入学をする場合は2年程度の期間が必要です。 |
免許取得に必要な費用
方法 | 期間 |
---|---|
教員資格認定試験 | 2.5万円(受験料) |
通信制大学 | 50万円程度(大卒の方が小学校免許の取得に必要な59単位を2年間で取得する場合)
大卒資格(学士)を持っている方が、小学校教員免許の取得に必要な、教科に関する科目8単位・教職に関する科目41単位・教科又は教職に関する科目10単位、計59単位を2年間で取得する場合:合計538,500円(内訳:履修登録料20000円/学籍管理費6000円/442500授業料/2年目継続費(年額)70000円/*大学から指定される教材の購入費は別途必要) |
取得できる教員免許と将来の可能性
教員資格認定試験では、幼稚園教諭二種免許状、小学校教諭二種免許状等の免許状を取得することができます。
幼稚園教諭二種免許状を取得すれば、幼稚園での教育活動に携わることができ、近年需要が高まっている認定こども園での勤務も可能です。小学校教諭二種免許状は、小学校での教科指導や学級担任としての道を開きます。
取得できる免許
方法 | 期間 |
---|---|
教員資格認定試験 | 小学校・高等学校(情報)・幼稚園
取得できる免許は年により変動する可能性があります。特に小学校以外の校種は変動が多いため注意が必要です。 |
通信制大学 | 小学校・中学校・高等学校・特別支援学校・養護・幼稚園 |
教員資格認定試験に合格し、教員免許を取得することは、新しいキャリアへの大きな一歩となります。公立学校の教員採用試験への挑戦や、私立学校での教員募集への応募など、様々な可能性が開かれます。
また、講師としての経験を積みながら、上位の免許状取得を目指すことも可能です。教育現場での経験を重ねることで、将来的には管理職としてのキャリアも視野に入れることができます。
試験の実態:求められる準備と努力
しかし、教員資格認定試験は決して容易な試験ではありません。過去の実績を見ると、その厳しさが明確に表れています。
例えば、小学校教員資格認定試験の合格率は20%前後と、非常に低い水準となっています。これは、試験の出題範囲が広く、かつ深い専門知識が求められるためです。
試験は教職教養と専門教科の二つの大きな分野からなり、教職教養では教育原理、教育心理、教育法規などの幅広い知識が問われます。専門教科では、各教科の指導法や専門的知識に加え、学習指導要領の理解も求められます。
特に注目すべきは、独学での対策が極めて困難だという点です。最新の教育動向や出題傾向の把握、効率的な学習方法の選択など、専門家のガイダンスなしでは適切な準備を進めることが難しいのが現状です。
小学校教員資格認定試験の合格率
実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
平成30年度 | 849人 | 112人 | 13.2% |
令和元年度 | 780人 | 248人 | 31.8% |
令和2年度 | 742人 | 167人 | 22.5% |
令和3年度 | 799人 | 173人 | 21.7% |
令和4年度 | 782人 | 135人 | 17.3% |
令和5年度 | 869人 | 191人 | 22.0% |
令和6年度 小学校教員資格認定試験の内容・方法
●第1次試験
試験科目 | 内容 | 方法 |
---|---|---|
教科及び教職に関する科目(Ⅰ) | 教職専門科目に関する内容 | 筆記試験(択一式) |
教科及び教職に関する科目(Ⅱ) | 小学校の各教科の具体的な授業場面を想定した指導法及びこれに付随する基礎的な教科内容
国語、社会、算数、理科、生活、音楽、図画工作、家庭、体育、外国語(英語)の10教科の中から6教科を選択して受験する。なお、6教科には「音楽」、「図画工作」、「体育」のうち2教科以上を含める必要がある。 |
筆記試験(択一式) |
教科及び教職に関する科目(Ⅲ) | 小学校の各教科の具体的な授業場面を想定した指導法及びこれに付随する基礎的な教科内容
国語、社会、算数、理科、生活、音楽、図画工作、家庭、体育、外国語(英語)の10教科の中から1教科を選択して受験する。 |
筆記試験(論述式) |
教科及び教職に関する科目(Ⅳ) | 教職への理解及び意欲、児童理解、実践的指導力等、小学校教員として必要な能力等の全般に関する事項 | 筆記試験(論述式) |
●第2次試験
内容 | 方法 |
---|---|
教職への理解及び意欲、小学校教員として必要な実践的指導力に関する事項 | 学習指導案作成、模擬授業、口頭試問(個別面接)等 |
合格への道:効果的な学習方法と専門的サポート
このような状況を踏まえ、TACでは小学校教員資格認定試験に特化した対策講座「教員資格認定試験本科生」を開講します。この講座は、長年の試験対策指導の経験を持つ講師による体系的なカリキュラムを提供し、効率的な学習をサポートします。
講座では、基礎的な教育理論から実践的な問題演習まで、段階的な学習プログラムを用意しています。また、オンライン学習にも対応しており、社会人・学生でも無理なく学習を進められる環境が整っています。
また、教員資格認定試験の合格後には教員採用試験への合格も必要となりますが、この2つの試験内容は多くの部分が重複しています。この点においても、TACで基礎・実践をしっかり学習しておくことが最終的なゴールを目指す上でも効果的・効率的な方法といえます。
免許取得後の教員採用試験対策
方法 | 期間 |
---|---|
教員資格認定試験 | ・試験内容の多くの部分が重複するので、教員資格認定試験対策が教員採用試験対策に直結する。 ・資格認定試験と同じ年に教員採用試験を受験することができる(自治体による)。 |
通信制大学 | 広く教育手法や教育論を学べるが、教員採用試験対策の出題範囲を体系的に学ぶことはできないので、単位取得の学習とは別に、教員採用試験の受験対策をする期間が必要となる。 |
まとめ:夢への第一歩を踏み出すために
教員資格認定試験は、社会人・学生が教員免許を取得する最短ルートとして、大きな可能性を秘めています。確かに、試験の難易度は高く、合格への道のりは決して平坦ではありません。しかし、適切な準備と専門的なサポートがあれば、必ずしも遠い夢ではありません。
特に、TACの教員資格認定試験本科生は、この困難な試験に挑戦する方々の強力な味方となるでしょう。経験豊富な講師による指導と充実したカリキュラムは、確実な合格への道筋を示してくれます。
教職への夢を諦めていた方も、この機会に教員資格認定試験へのチャレンジを検討してみてはいかがでしょうか。新しいキャリアへの第一歩として、きっと価値のある挑戦となるはずです。
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