外交官(外務省専門)合格体験記
腐らず焦らず一歩ずつ
Y.H.さん
DATA BANK
研修語 | アラビア語 |
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出身校 | 東京外国語大学 言語文化学部 (在学中合格) |
合格年度 | 2020年度 |
選択科目 | 憲法 |
- 受験動機:中学生の頃にあこがれた!
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大学1~3年生の頃から専門職の存在は知っていましたが、当初は出来やしないと思っていたため他の職業を志望していました。しかし、英語もアラビア語も真剣に勉強してきたと私なりに矜持があり、「このままだと今までの努力や言葉の壁を越えて得た出会いも、いつか全部過去のものになってしまうのか」とある日ハッとして立ち止まりました。そして、大学のアラビア語の先生に背中を押され、よくありがちですが「アラビア語の専門家として日本とアラブの架け橋になろう(笑)」と思ったのがきっかけです。
しかし、勉強しつつ過ごす中で、「対外的な折衝によって平和裏に自国を生かしつづけること」も外交の大切な役割の一つであると考えるようになりました。その営為に主体的に携わりたいと心から思えたことが、外務省で働きたいと考えた理由です。また、アラビア語がきちんと出来なければアラブの人々に心から信頼して頂くことは不可能だと痛感したことが多々あり、地域言語の専門家の存在が必要不可欠であると思っていたため、外務省の中でも専門職員を志望しました。
- 専門科目、初学者でも大丈夫です
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大学とTAC・Wセミナーとの提携に伴う学内プログラムの存在を知ったことがスタート地点でした。この提携により学内でも専門科目のDVDを借りて勉強することが出来たのですが、結局私は自宅で勉強できる環境になく大学も自宅から遠かったため、比較的自宅に近い校舎に登録し本科生となりました。
国際法も憲法も初学でしたので、本当に本番までに各科目論文を2つも書けるのだろうかとかなり遅い時期まで不安でした。しかし井能先生・早川先生の講義と教材のお陰様で、本番までにはきちんと「問題文で問われたことについて自分で答える」ことができるようになりました。国際法も憲法も分野毎に絶対必要な知識のみならず、「何が問題なのか?」と自分なりの問題意識を持つことが出来ました。勉強が進めば一般の参考書等も参考になりましたが、まずはTAC・Wセミナーのテキストを勉強し尽しておいてよかったと思います。
- 自分に合った方法を
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書くことや翻訳が好きだった私にとって一番苦手だったのが基礎能力試験でした。とにかく数的処理だけは、嫌がらず面倒くさがらず勿体ぶって後回しにすることなく、できる限り早いうちから一日20分でも取り組まれることを強くお勧めします。文章理解は自己流に読んでそれっぽい選択肢を選ぶのではなく、講義で正しい読み方や選択肢の選び方を学べば確実な得点源になります。
私自身基礎能力試験対策については努力が足りなかったと反省しています。結局数処の数的推理は最後までボロボロでした。ただ、文章理解、数処の判断推理・空間把握、高校時代既習の知識科目で稼ぐことは決めていて、ある程度の点数を自分で保障できるようにしていました。本番何があるかはわかりませんのであまり「捨て科目」を作らない方がよいことも確かですが、得意な分野を活かして自分に合った方法である程度「対策」することもまた大切だと思います。
- 他の人と比べない
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答練やHRなどで他の受講生の方々や合格者アドバイザーの先輩方をお見掛けするたびに「あぁ私なんてダメだ」と思っていました。実際夜9~10時にお布団に入る日々が続いたり、諦めて全く教科書を開かずにただ何日も過ごしたこともあり、なかなか情けない受験生でした。
しかし、国際法も憲法も時事論文も基礎能力試験も外国語も、そしてその後の2次試験でも、まず大切なのは「問われたことについて自分の力でどこまで良い解答/回答・説明ができるか」だと思っていました。ですので、他の人とあまり比べず、「○○が本番までにできるようになればいい。そのためにじゃあ私は何をすべきか」と考えて勉強を続けられたことがよかったと思っています。朝型の人も夜型の人もいますし、休憩の取り方も人それぞれです。私は「量やりゃ質もついてくる」派ですが、「量より質」が合う人もいます。試験に適う自分になれるように、自分なりに頑張れればいいと思います。
- 外国語試験
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この試験に通るためだけに勉強すると手詰まりになってしまう気がします。受験言語でできることの範囲を広げておけば本番緊張したとしても慌てることなく対処できますので、外国語の勉強も早めに始めて自分のコマンドの幅を広げておくと安心です。ただ、必ずしも数やればよいというものでもないので、「多読・多聴」「精読・精聴」のけじめが大切です。 外国語和文訳についてはある程度分量のあるものを通読して粗訳をつけるということをして、「止まらずに読む体力」をつけていました。表現や単語は過去問や同内容の記事、テレビのニュースに頻出するものを拾っておけばよいと思います。和文外国語訳は前年度合格目標の先輩方と一緒に大学のアラビア語の先生に見て頂いたりもしていました。しかし1月頃からは一人で練習していたため、先生に以前ご指導頂いた文型を意識しつつ自分で好きな日本語記事を翻訳し、完成したアラビア語訳が文法的に正しく意味が通るものかをgoogle翻訳に入れて英語にして確認したり、ネイティブが書いた同内容の記事を見つけて自然な言い回しを真似たりしていました。
英語以外の言語でもきちんと勝負できることを見て頂ける良い機会だと思いますので、ぜひ挑んでみてください。長期留学の経験がなくても、きっと大丈夫です。
- 最後に
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馴れ合いは必要ないですが、他の人たちとの闘いではないので、同じ受験生同士で仲良くできるといいと思います。各々自分との闘いに負けないことが大切になると思うので、ぜひ互いに励まし助け合ってください。応援しています。