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外交官になるには
外交官の採用試験、対策について解説

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 外交官になるには、人事院が行う国家公務員採用総合職試験(院卒者試験、大卒程度)または外務省が行う外務省専門職員採用試験のいずれかに合格し、外務省に採用されなければなりません。
 国家総合職として外交官になるには、春に行われる国家公務員採用総合職試験(院卒者試験、大卒程度試験)または秋に行われる国家公務員採用総合職試験(教養区分)のいずれかに最終合格し、官庁訪問を経て採用されます。また、外務省専門職員として外交官になるには、官庁訪問はなく外務省専門職員試験に合格することで採用されます。

 このコラムでは外交官として採用人数が最も多い外務省専門職員試験を中心に試験内容や対策について詳しく紹介していきます。

1.外交官採用試験の種類

 外交官には、日本の外交政策を担い外務省幹部として活躍する「国家総合職」と語学のスペシャリストとして特定の地域や分野について外交の専門家として活躍する「外務省専門職員」の2つがあります。 同じ外交官といっても外務省入省後のキャリアや、受験時の年齢や社会経験年数によってどの試験を受けるかが変わります。

 採用試験には、新卒相当の国家公務員総合職採用試験外務省専門職員採用試験、中途採用相当の国家公務員経験者採用試験(係長級(事務))外務省経験者採用試験(書記官級)などがあります。

外交官採用試験の種類(新卒相当)

 国家総合職、外務省専門職員ともに、受験年度の4月1日時点で21歳から29歳までの方が対象となります。民間企業の採用とは異なり、大学や大学院を卒業していても29歳までは新卒とみなして試験が行われます。 国家総合職の場合、20代後半は採用されることが難しい傾向にありますが、外務省専門職員は年齢に関係なく採用される傾向にあります。また、受験にはいずれも日本国籍が必要になりますので、日本国籍がない方や二重国籍の方はご注意ください。

国家総合職 外務省専門職員
位置づけ 将来の幹部職員 特定の国・地域、分野の専門家
試験名 国家公務員総合職採用試験(大卒程度、院卒者試験) 外務省専門職員採用試験
受験年齢要件 【大卒程度】 21歳以上30歳未満
【院卒者試験】30歳未満で修士課程修了または修了見込
※年齢は受験年度の4月1日時点で判断します
21歳以上30歳未満
※年齢は受験年度の4月1日時点で判断します

外交官採用試験の種類(中途採用相当)

 国家公務員経験者採用試験(係長級(事務))は、大学卒業、大学院修士課程修了から2年経過していることで受験できます。この試験は他の省庁の採用と一緒に行われ、試験合格後の官庁訪問で外務省に訪問し、内定を得ることで採用されます。最初から役職がある状態での採用になりますので、相応の社会経験も採用のポイントになります。また、この試験については採用が行われない年もあります。 外務省経験者採用試験(書記官級)は、大学卒業、大学院修士課程修了から9年を経過していることで受験できます。試験に合格すると官庁訪問はなくそのまま採用されます。

 また、受験にはいずれも日本国籍が必要になりますので、日本国籍がない方や二重国籍の方はご注意ください。

国家総合職 外務省専門職員
位置づけ 将来の幹部職員 特定の国・地域、分野の専門家
試験名 国家公務員経験者採用試験 (係長級(事務)) 外務省経験者採用試験(書記官級)
年齢要件 大学卒業または修士課程修了から2年を経過していること
※年数は受験年度の4月1日時点で計算
大学卒業または修士課程修了から9年を経過していること
※年数は受験年度の4月1日時点で計算

2.外務省専門職員採用試験の内容

 ここからは、外交官の採用試験の中でも採用人数が多い外務省専門職員採用試験について解説していきます。大学生の場合、試験は大学4年の6月から7月にかけて行われます。1次試験は2日間かけて行われ、2日目の基礎能力試験は同日に行われる国家一般職試験と同じものが出題されます。2次試験は人物試験が中心になります。最終合格すると採用が決まります。

受験資格

受験できる方の条件は「年齢要件」と「国籍要件」のみです。
1)21歳以上30歳未満の者
2)21歳未満の者で下記のア・イに掲げる者
ア. 大学を卒業した者若しくは試験年度の3月までに大学を卒業する見込みの者、又は人事院がこれらの者と同等の資格があると認める者
イ. 短期大学若しくは高等専門学校を卒業した者、試験年度の3月までに短期大学若しくは高等専門学校を卒業する見込みの者、又は人事院がこれらの者と同等の資格があると認める者
※上記の1、2に加えて「日本国籍のみを保持していること」が条件となります。

試験の流れと内容

 2024年度の試験を例に解説していきます。

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外交官(外務省専門職)試験は(1)1次試験が2日連続で実施される点、(2)筆記試験は基礎能力試験(教養択一試験)以外はすべて記述形式で出題されるという点で、他の公務員試験とは異なっています。

1次試験 <6/1(土)・6/2(日)>


専門試験
(記述式)


国際法(必須)、憲法・経済学(1科目選択式)の記述試験です。各科目2時間ずつ、合計4時間に及ぶ試験です。各科目3題が出題され、科目ごとに2題を選択する形式になっています。
記述試験は知識のみで解答できる多肢選択式とは異なり、「論述する能力」が求められます。

★ココがPoint!★
TAC・Wセミナーでは基礎編・応用編・直前編の3段階式講義を通じて3科目の知識をしっかりとインプットすることができます。また、演習・答練を通じて解答用紙の使い方や解答の分量、文体などの記述の基礎知識を学びながら、講義でインプットした知識を生かして合格答案を作成する力を身につけることができます。


時事論文試験
(記述式)


「時事問題についての筆記試験」が1時間30分で1題出題されます。外交や国際情勢に関するテーマが出題されることが多いです。

★ココがPoint!★
TAC・Wセミナーの専門科目(国際法・憲法・経済学)の講義をしっかりとインプットすることで、科目それぞれの知識が連動し、外交・国際情勢についての知識や解答の感覚を身につけることができます。また、出題が予想される分野は講義で詳しく解説していきます。


基礎能力試験
(多肢選択式)


五肢択一式の試験で、同日に行われる国家一般職(大卒)試験と共通の問題が出ます。1時間50分で30題を解答します。一般知能分野(数的処理・文章理解)と一般知識分野(自然・人文・社会に関する時事・情報)が出題されます。
【科目の内訳】
一般知能分野:数的処理[数的推理・判断推理・空間把握・資料解釈](14題)・文章理解[現代文・英文](10題)
一般知識分野:自然・人文・社会に関する時事・情報(6題)

基礎能力試験の問題の内訳は、一般知能分野が80%(30題中24題)、一般知識分野が20%(30題中6題)と、知能分野の比重が大きい試験となっています。知能分野は長期のトレーニングによって点数が伸びる科目ですので、早期の学習開始がポイントになります。相対的に重要性が低い知識分野は、頻出分野を見極めて、効率的に学習を進めましょう。

★ココがPoint!★
TAC・Wセミナーでは、本試験での得点力を最優先した効率的な講義を実施します。不要な部分を大胆にカットし、頻出部分の重点学習を行います。初学者向けのコースには、数的処理の入門講義が含まれておりますので、数学に抵抗感のある方も安心して学習を始めていただくことができます。


外国語試験
(記述式)


和文外国語訳が2題、外国語文和訳が2題、計4題が出題されます。解答時間は2時間です。
好きな言語を1ヵ国語選択することができますが、ここで選択した言語は2次試験(人物試験)の外国語試験においても使用する言語となるため、翻訳・会話の両方で使える言語を選択する必要があります。
※なお、試験合格後に決定される研修語(採用後に担当する言語)と外国語試験で選択する言語との関連性はありません。

<選択できる言語>
英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、アラビア語、ペルシャ語、ミャンマー語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、中国語、朝鮮語のうちから1ヵ国語を選択。

★ココがPoint!★
TAC・Wセミナーの英語試験対策では、過去問や予想問題に取り組みながら、出題傾向に即した英訳・和訳のコツをマスターします。講義や演習を通じて頻出テーマである「時事問題」や「外交関連」の文章に見られる、独特の言い回しと特殊な単語に対する対応力も向上させることができます。

1次試験合格発表<7/1(月)>

2次試験<7/16(火)~7/25(木)の指定される日時>


人物試験
外国語試験
身体検査


<個別面接>試験時間:10分~20分程度
志望動機(なぜ外交官なのか)や、担当したい言語・国・分野(外交官になって何がしたいのか)などを、面接官とコミュニケーションしながら伝えます。自己PR力が問われる試験です。
1回目:4対1の面接/2回目:5対1の面接
※日本語で実施されます。

<グループ討議>試験時間:30分程度
8~10人のグループで与えられたテーマについて討論します。

<外国語試験>試験時間:15分程度
2対1で外国語の面接を行います。1次試験で選択した言語で実施されます。

<身体検査>
胸部エックス線撮影などを含む一般的な身体検査を行います。

★ココがPoint!★
TAC・Wセミナーの面接対策では、過去の受験生から集めた生の声を基に人物評価のプロセスや注意点を解説します。また、面接カードの記入方法や自己PRの方法なども受講生一人ひとりに合わせてきめ細やかな指導を行います。さらに、模擬面接や模擬英語面接、模擬グループ討議も実施しますので、本番さながらのシミュレーションを行った上で本番に臨むことができます。

最終合格発表<8/14(水)>

外務省から最終選考に残った旨の電話があり、後日、外務省にて意思確認と研修語の通知が行われます。

3.試験はどれぐらい難しい?実施状況

 過去3年間の外務省専門職員採用試験の実施状況です。外務省専門職員採用試験は、年々倍率が低下傾向にあり、かつ政府が2030年までに外交官を欧米レベルの8,000名まで増員(現在から2割増)させる計画を発表していますので、あと数年は受験生にとって有利な状況が続くでしょう。

年度 受験者数 最終合格者数 倍率
2021年度 248名 52名 4.8倍
2022年度 233名 55名 4.2倍
2023年度 195名 60名 3.3倍
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年齢別合格者数(2023年度)

外務省専門職員採用試験の年齢別合格者数です。年齢は21歳から上限の29歳まで満遍なく合格しています。受験層の分母に大学生の方が多いため、21歳・22歳が多くなっていますが、年齢による合否への影響は確認できません。

※(  )内は女性の内数です。

4.まとめ 外交官になるには

 いかがでしたか。外交官になるための採用試験についてご理解いただけたでしょうか。このコラムでは外交官の中でも特に採用人数の多い外務省専門職員採用試験について解説させていただきました。

 外務省専門職員採用試験は文章理解、数的処理、時事が出題される基礎能力試験、国際法、憲法、経済学などの専門記述式試験、外国語試験、個別面接、グループディスカッションなど多岐にわたります。

 こうした出題内容は、単に受験生が高得点をとれるかどうかで合否を決めているのではなく、外交官として活躍するために必要な知識、理解力、判断力及び表現能力、人物が備わっているかどうかを判断しています。

 例えば国際法は外交官として働くために必須のルールですし、数的処理は与えられた条件を整理してそこから結果を推測するような思考力を試します。また、自然・人文・社会に関する時事は外交官の教養として必要な部分で、天皇通訳、国王通訳といった場面で相手の好きな分野を事前に理解しておくために必要な基礎知識にもなります。

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