外交官への転職
外務省経験者採用試験(書記官級)とは?
試験と対策について解説

外交官

外交官への転職。外務省では中途採用試験の1つとして外務省経験者採用試験(書記官級)を実施しています。この外務省経験者採用試験(書記官級)は、民間企業から公務員への転職、公務員から公務員への転職など外交官として活躍いただける様々なバックグランドの人材を求めている試験です。

本記事では、この外務省経験者採用試験(書記官級)とはどういった試験なのか、試験の内容から対策までを解説していきます。

1.外交官になる、外務省に入省するための試験の種類

外交官になる、外務省に入省するための試験としては、新卒採用にあたる国家総合職試験、外務省専門職試験、中途採用にあたる外務省経験者採用試験(書記官級)、国家公務員採用試験(係長級(事務))などがあります。

中途採用にあたる外務省経験者採用試験(書記官級)は、大学等を卒業後に社会で9年以上活躍した経験を持つ方々を対象としており外務省に入省することが前提とした試験で、国家公務員採用試験(係長級(事務))は大学等を卒業後2年を経過した方が対象となる試験で、内閣府、財務省、厚生労働省など他府省庁と合同の採用試験になります。

外交官転職


ここでは、採用人数の多い外務省経験者採用試験(書記官級)について詳しく解説していきます。

2.外務省経験者採用試験(書記官級)の受験資格

以下のような受験資格があり、これを満たす方であれば受験できます。ただし、日本国籍を有しない方や二重国籍の方など受験資格を満たしても受験できない場合もあります。

例)2024年度

2024年4月1日において、大学等(短期大学を除く。)を卒業した日又は大学院の課程等を修了した日のうち最も古い日から起算して9年を経過した者
※その他国籍要件などもあります。

3.求められる人材

外務省では、経験者採用(書記官級)として以下のような人材を求めています。すべてを兼ね備えている必要はありませんが、外交官への転職について留意しておくべきポイントになりますので、これまでの社会人経験がどのように活かせるか考えておきましょう。

必要なスキル 詳細
マインド 公務に対する強い関心と、全体の奉仕者としての熱意がある。
知識 外交領事事務に関する以下の分野における社会経済情勢に関する知識並びに国際法規に関する知識及びこれに関連する知識。
例)外交政策、安全保障、地球規模問題(環境、人権・人道)、条約、法律・広報文化、経済・領事・経済協力・情報分析
語学力 英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語、ポルトガル語、アラビア語、トルコ語、タイ語、インドネシア語、中国語及び朝鮮語のうちいずれか1か国語以上の外国語の能力並びに課題を解決できる論理的な思考力、判断力及び表現力を有する。
※英語については、受験語学にかかわらず、TOEFL(iBT)100点以上又はIELTS7.0以上のスコアを有していることを推奨。
素養 途上国の過酷な環境でも勤務できるたくましさ、国際社会の多様な価値観を理解し受け入れることができる柔軟性とバランス感覚を兼ね備えている。
経験 大学卒業後の研究又は職務経験(業種は問わない。)の年数が、7月1日現在で通算9年以上に及ぶ者であって、これらの職務経験を通じて体得した効率的かつ機動的な業務遂行の手法その他の知識及び能力を有し、即戦力となるもの。
資質 採用後の研修又は職務経験を通じてその知識及び能力の向上が見込まれる資質を有する。

4.外務省経験者採用試験(書記官級)の試験スケジュール

新卒相当の外務省専門職員試験とは異なり、経験者採用試験(書記官級)は国際法や憲法、経済学といった専門試験が課されません。また、時事論文の代わりに外務省職員としての資質を有するかを判断する経験論文が出題されます。2次試験については試験期間のうち3日間を試験日として指定されます。

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5.外務省経験者採用試験(書記官級)の試験内容

第1次試験 基礎能力試験

基礎能力試験は、高校までに学習した内容と時事、情報が出題されます。自然・人文・社会に関する時事は、自然科学(物理、化学、生物、地学)、人文科学(日本史、世界史、地理、思想)、社会科学(法律、経済、政治)に関する知識があるとより解きやすくなります。

■2時間20分、30題
 知能分野(24題):文章理解(現代文、英文)10題、判断推理・数的推理・空間把握・資料解釈14題
 知識分野( 6題):自然・人文・社会に関する時事、情報

第1次試験 外国語試験(記述式)

 外国語試験(記述式)で使った言語は、そのまま第2次試験の外国語面接でも使われますので、書けるだけでなくコミュニケーションが取れる言語を選びましょう。外務省経験者採用試験(書記官級)は中途採用試験ですから、言語は実務レベルが求められることに注意が必要です。

■2時間、4題
 外国語文和訳 2題、和文外国語訳 2題
 英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語、ポルトガル語、アラビア語、トルコ語、タイ語、インドネシア語、中国語、朝鮮語から1か国語を選択

第1次試験 経験論文試験

「前職での経験を外務省の公務にどう活かせるか」、これをしっかり書き上げることができるのかが合否を分けるポイントです。

■1時間30分、1題


第2次試験 外国語面接、個別面接、総合評価面接

外国語面接は、第1次試験の外国語試験(記述式)で選択した言語で面接が行われます。2次試験は全体を通じて外務省が求める人材に合致するか、受験者本人の見るための人物試験が継続して行われます。

6.外務省経験者採用試験(書記官級)の試験実施状況

試験に最終合格するとほぼ内定となります。採用予定者数は公開されていますが、最終合格者数を見ると採用予定者数を確保するのではなく、受験生本人が外務省職員としてふさわしいかどうかを見極めて最終合格者数を決めていることが分かります。

過去3年間の試験実施状況は以下の通りです。表の中の(   )は女性内数です。

- 採用予定数 受験申込者数 最終合格者数 倍率
2021年 22 114(67) 10(3) 4.8
2022年 22 215(99) 14(10) 15.4
2023年 25 178(81) 18(9) 9.9

7.最後に

いかがでしたか。外交官への転職試験のイメージはつかんでいただけたでしょうか。試験は様々な面から受験者の方が外務省職員としてふさわしいかどうかを見極めていきます。一方で筆記試験の対策を進めるとともに外務省の役割を理解し、ご自身のこれまでの社会経験がどのように活かすことができるかを人事担当者にしっかりとアピールしていくことができれば採用に大きく近づくことができます。

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