宅建の過去問
宅建試験対策において過去問を解くことは必須と言えます。その理由としては、以下が挙げられます
1.宅建試験は過去問から出題される傾向が強いため
2.問題慣れができるため
3.実力診断ができるため
過去問は過去の宅建試験で実際に出題された問題ですので、過去問の活用いかんによって本試験の結果が変わると言っても過言ではありません。 ここでは過去問の入手方法、過去問の活用法、過去問の活用に際しての注意点などを詳しく解説します。
この記事の監修者:
笠松 信之(かさまつ のぶゆき)講師
TAC宅建士講座専任講師。モットーは「飽きの来ない授業」。常に「誰にでもわかりやすい講義」を追求し、熱意あふれる講師として受講生から大きな信頼を得ており、毎年大勢の合格者を輩出している。また、聞き取りやすい美声にも定評あり。渋谷校・入門向けコースの収録担当講師。教室は毎年定員が出るほどの人気講師。
登場人物
不動 知恵(ふどう ちえ)さん
不動産の売買でひと儲けしようと考えている会社員。実家の不動産屋を継ぐため宅建資格を取ろうと考えている。宅建の勉強を始めるまで自動車が不動産だと勘違いしていたくらいの初心者。
鑑(かがみ)先生
宅建をはじめとして様々な不動産の資格をもつ。不動産資格の魅力を伝えるべく、予備校で宅建の科目を教えている。
宅建士講座 デジタルパンフレットを閲覧する
まずは宅建の過去問を手に入れよう!
宅建試験の対策として、本試験の過去問はどこで手に入るのでしょうか。 過去問は宅建の試験実施団体である「一般財団法人不動産適正取引推進機構(RETIO)」が正答番号とともに掲載しているため、簡単に手に入れることができます。
先生、宅建の過去問はどこで手に入れられるんですか?
知恵さん
鑑先生
宅建の試験実施団体である「不動産適正取引推進機構(RETIO)」が、昭和63年以降の問題と正答番号を無料で公開しているよ。
まずはダウンロードして内容を確認してみよう!
かなり昔のものまで掲載してるんですね。
宅建の過去問
不動産適正取引推進機構(RETIO)にて、過去問をダウンロードすることができます。令和2年(2020年)と令和3年(2021年)はコロナ禍での影響を受け、年2回(10月試験と12月試験)がおこなわれているため、2種類が掲載されています。
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令和55年実施
(2023年) -
令和4年実施
(2022年) -
令和3年12月実施
(2021年) -
令和3年10月実施
(2021年) -
令和2年12月実施
(2020年) -
令和2年10月実施
(2020年) -
令和元年実施
(2019年)
宅建はなぜ過去問を解くことが大切なの?
宅建合格のために「過去問を解く」ことが必須とされていますが、その理由はどういったものでしょうか。
主に3つが理由に挙げられます。
理由その1:宅建試験は過去問から出題される傾向が強いため
理由その2:問題慣れができるため
理由その3:実力診断ができるため
それぞれを詳しくみていきましょう。
理由その1:宅建試験は過去問から出題される傾向が強い│宅建の過去問
先生、なぜ過去問を解くことが大切なんですか?
理由は大きく3つある。
理由その1、「宅建試験は過去問から出題される傾向が強い」ためだね。
ええっ!?
まさか、過去問がそっくりそのまま出されるんですか!?
いやいや。
正確には過去問が焼き直しされたり、過去問をベースに新たに作られる場合が多いということだよ。
ああ・・・そういうことなんですね。(少しガッカリ)
過去の例をみてみようか。
民法等で「建物区分所有法」という法律が毎年1問出題されるんだけど、こんな問題だ。
平成20年 民法等
Q.建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 管理者は、少なくとも毎年2 回集会を招集しなければならない。また、区分所有者の5 分の1 以上で議決権の5 分の1 以上を有するものは、管理者に対し、集会の招集を請求することができる。
2 集会は、区分所有者及び議決権の各4 分の3 以上の多数の同意があるときは、招集の手続きを経ないで開くことができる。
3 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる。
4 規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で理事会又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。
平成25年 民法等
Q.建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して議決権を行使することができる。
2 区分所有者の請求によって管理者が集会を招集した際、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、管理者が集会の議長となる。
3 管理者は、集会において、毎年一回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。
4 一部共用部分は、区分所有者全員の共有に属するのではなく、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。
平成29年 民法等
Q.建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 管理者は、少なくとも毎年1 回集会を招集しなければならない。
2 区分所有者の5 分の1 以上で議決権の5 分の1 以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができるが、この定数は規約で減ずることはできない。
3 集会の招集の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受け取る場所をあらかじめ通知した場合には、管理者はその場所にあててすれば足りる。
4 集会は、区分所有者全員の同意があれば、招集の手続を経ないで開くことができる。
毎年絶妙に出題箇所をずらしてはいるけれど、
問われている内容はほぼ一緒で、覚えるべき部分が同じ
だということはわかるはずだよ。
確かに・・・・・・。
まるっきり一緒というわけではないですけど、かなり似通った問題ですね。
正答の丸暗記だけでは解けなさそうですけど、覚えるべき箇所は限られていそうです。
その通り。
各論点で押さえるべき「重要ポイント」「頻出ポイント」さえしっかり押さえておけば、最小限の労力で得点できるようになるんだ。
理由その2:問題慣れができる│宅建の過去問
なぜ過去問が大切なのか。
理由その2、「問題慣れができるから」。
過去問は本試験の問題そのものですから、その通りですよね。
うん。宅建試験の難易度は年によって変動することが少ないから、
過去問は今後実施される試験の難易度や出題形式に慣れるのに最適な教材なんだ。
また、本番を意識しながら過去問を解けば、本番での時間配分を知ることもできる。
他にはないとても貴重な教材と言えるよね。
理由その3:実力診断ができる│宅建の過去問
理由の3つ目は何ですか?
その3、「実力診断ができるから」だね。
過去問=本試験レベルの問題に触れることで、現在の実力を診断することができることが挙げられるね。過去問がスラスラ解けるようになれば、本試験でも同様に問題が解けるという指針になるはずだよ。
過去問がスラスラ解けるようになるよう、頑張ります。!
だけど過去問を使うときは注意が必要だよ。
理由その2・その3に関連することだけど、過去問を解くことだけを目的にして、問題と正解を丸暗記してしまうのは良いことではない。
あくまでも、本番で活かせる知識を手に入れるための練習だから、解説も含めて「暗記」はなく「理解」する勉強を心掛けよう。
確かに、知識は応用で使えなきゃ意味ないですよね!
過去問を解くだけで宅建に合格できるの?
宅建試験合格のために過去問が重要なことはわかりました。では、過去問を解くだけで合格ができるのでしょうか。
前提条件として、「講義やテキストでインプットをせず」に「過去問だけを解いて」対策するなら、宅建合格はむずかしいと言わざるを得ないでしょう。理由は以下の通りです。
理由その1:専門用語がわからないと問題が読めないから
理由その2:法改正に対応できないから
理由その3:知識に穴が開くから
理由その4:資格が実務で役に立たなくなる可能性があるから
それぞれを詳しくみていきましょう。
むずかしい理由その1:専門用語がわからないと問題が読めない│宅建の過去問
試験問題の多くが過去問をもとに作られているんですよね。
それなら、過去問を回すだけでも合格できるんじゃないですか?
うーん。それはどうかな。
まずは過去問の問題を読んでみようか。問題が読めるかな?
平成25年 民法等
Q.抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 債権者が抵当権の実行として担保不動産の競売手続をする場合には、被担保債権の弁済期が到来している必要があるが、対象不動産に関して発生した賃料債権に対して物上代位をしようとする場合には、被担保債権の弁済期が到来している必要はない。
2 抵当権の対象不動産が借地上の建物であった場合、特段の事情がない限り、抵当権の効力は当該建物のみならず借地権についても及ぶ。
3 対象不動産について第三者が不当に占有している場合、抵当権は、抵当権設定者から抵当権者に対して占有を移転させるものではないので、事情にかかわらず抵当権者が当該占有者に対して妨害排除請求をすることはできない。
4 抵当権について登記がされた後は、抵当権の順位を変更することはできない。
弁済期?物上代位?妨害排除請求?そもそも第三者ってだれですか?
ちんぷんかんぷんです。
法律用語がわからないと問題を理解するのは大変でしょ?
学生時代に法律に触れたことがある人ならともかく、法律用語はわからない人の方が多いはずだよ。
確かにそうですね。
大学の学部は語学系だったので、初めて見る用語ばかりです。
宅建試験は「不動産に関わる法律の知識」が問われる試験なんだ。
だから法律用語をあらかじめ頭にインプットしておかないと、解答する以前に問題が読めないんだよ。
過去問を解く前に、「問題を読むための知識」が必要なんですね。
むずかしい理由その2:法改正に対応できない│宅建の過去問
法改正に対応できないことも大きな理由だね。
法改正ですか?
法律は時代とともに絶えず変化して、新しいルールが生まれているんだ。
過去問はあくまでも「過去」に出題された問題であって、出題当時の法律が出題されている。
だから、過去問で得た知識は最新にアップデートしていかないと、本番でイチ論点丸ごと点を落としてしまいかねないんだ。
そういえば、2022年の4月から成人年齢が20歳から18歳に変わりましたよね。
この部分も対象になるんですか?
まさにその通り!
今までは「20歳未満の未成年者」が不動産の契約をするときは、親権者、つまり親の同意が必要だったんだけど、成人年齢が18歳に引き下げられたことから、条件が変わってしまったんだ。
これにともなって、過去問にも使える問題と使えない問題ができてしまったんだ。
古い過去問に書いてあることを鵜呑みにしたまま勉強を続けたら、本番で大失点ですね。
そうなんだ。だから、知識は最新の法改正に対応した講義や教材を使ってインプットする必要があるということだね。
むずかしい理由その3:知識に穴が開く│宅建の過去問
過去問を使うだけでは知識に穴が開いてしまうのも問題だね。
試験問題は、膨大な出題範囲から出題者が一部の論点だけをピックアップして出題したものだからね。
宅建は全50問だから、50個の論点ですね。
そのため、過去問を解くだけでは出題範囲全ての知識を網羅することはできないんだよ。
知識は無数の点が繋ぎ合わさって線になり、それぞれの関連性が見えてくるものなんだ。
だけど隙間だらけの線では関連性が見えづらく、ひねった応用問題が出題された場合に対応できない可能性が高いんだ。
ある程度はまんべんなく知識をインプットする必要があるんですね。
むずかしい理由その4:資格が実務で役に立たなくなる可能性がある│宅建の過去問
宅建士の仕事がどんなもの何だか知っているかい?
不動産契約の際に「重要事項の説明」をすること。ですよね。
その通りだ。知恵さんが実務家の宅建士として活躍する際は、「お客さんに法律を説明する立場」になるんだよ。
そのとき、智恵さんの法律知識が穴らだけだったとしたら、不動産という高価な商品を購入・賃貸に来た人に対して安心・満足してもらえる説明ができるかな?
・・・・・・ちょっと自信がないかもです。
それに、私がお客さんの立場なら契約しないと思います。
宅建試験で勉強する知識は実務家になった時に使う知識なんだ。
宅建の資格を「使えるもの」にしたいなら、資格をとるまでの勉強の過程も大切にしたいところだね。
過去問を使った宅建の勉強方法は?
過去問を使った勉強法はどのようなものでしょうか。智恵さんと鑑先生が対話形式で詳しく解説します。
宅建の勉強法・学習法
勉強法・学習法がわからない、という方向けに、効率的な勉強法・学習法をご紹介します。試験の特徴や配点比率などに触れながらわかりやすく解説していきます。
宅建の過去問:おわりに
宅建試験合格のためには過去問を解くことが大切です。
ただし、漠然と問題を解き、正答を暗記するだけでは応用問題に対応できる力が身につきませんし、実務で使える知識にもなりません。
知識をインプットするための講義や教材を組み合わせながら、理解をともなう学習をしていくことが大切です。
宅建試験に過去問が重要なことがわかりました。
うん。だけど、過去問だけを漠然と解いて暗記するだけでは力が身につかない点には注意が必要だよ。 過去問を解くための法律用語や法改正の知識をインプットしながら、効果的に使っていこう。
はい。過去問はあくまでも勉強ツールの1つだと思って取り組みます!
ココがTAC式!
TACではコース生にトレーニング教材として「本試験問題集」を差し上げています。本試験問題集は過去10年程度までの出題全問と、それ以前の重要な問題をピックアップして掲載しています。
法改正によって出題が不適切となった箇所は除外・修正をしていますし、すべての問題には最新の傾向で書かれた解説がついていますので、安心して過去問を使ったトレーニングができます。
また、TACで令和5年度試験の過去問解説を無料でダウンロードいただけます。こちらからご利用ください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
宅建試験について、「過去問をつかった勉強法・学習法を知りたい」、「合格者の学習体験談について知りたい」という方は次のページもご参考になさってください。
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※画像は2023年10月の宅建本試験の解答解説冊子イメージです。
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