外交官(外務省専門職)合格体験記
日本と途上国の平和と発展のために
桟 将馬さん
DATA BANK
研修語 | ポルトガル語 |
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出身校 | 東京大学 教養学部(在学中合格) |
合格年度 | 2023年度 |
選択科目 | 憲法 |
- 志望理由:平和な世界をつくりたい
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私は被爆地長崎出身であり、小中高の平和教育を通じて平和の重要性を感じてきたこと、自身が被爆3世であることから、平和な世界を実現したいとの思いを幼い頃から抱いてきました。加えて、大学1年次のルワンダ内戦に関する研究をきっかけにアフリカの紛争や政治体制に興味を持ち、研究を行っていく中で、アフリカをはじめとする途上国には、紛争や抑圧的な政治体制によって、当たり前の日常すらも保障されない中で生きている人々が未だに多くいることを知って衝撃を受け、この現状を変えたいとの思いを強くしました。これらの背景をもとに、世界、特に途上国の平和や発展を最終的・実効的に実現することに寄与できる仕事がしたいと考え、そのためには国対国の外交を通じて、ほとんどの紛争や政治的抑圧に関与している個別国家に働きかけることが最適だという結論に達したため、外務省を志望しました。そして、外務省の中でも、途上国に関わることができる機会が多いこと、語学・地域の専門性をしっかりと高めつつ、自らの専門性で日本外交を下支えするという働き方に魅力を感じたことから、最終的に外務省専門職を選択しました。
- 外務省専門職の魅力:専門性とフィールドの広さ
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外務省専門職の最大の魅力と言えるのが、言語・地域・分野に関する唯一無二の専門性を身につけ、キャリアを通じて高め続けられる環境だと思います。特に言語については、概ね2年間の海外留学や国内での研修を通じて自分の担当言語をしっかりとマスターし、現地語での情報収集や通訳により日々の意思決定・外交活動を下支えしていく役割が求められることになります。自身の語学力が必要とされ、日本外交の基盤となっていくという実感は、将来的なやりがいにもつながっていくものと考えています。また、外務省には特定の地域・分野に関する「専門官」となることを宣言し、自己研鑽を図っていくことができる制度もあるため、仕事を通じて専門性を身につけたいと考えている人には最適な環境だと思います。
もう1つの魅力としては、幅広いフィールドで活躍できることが挙げられると思います。専門職員は主に途上国に派遣されることが多く、自分の担当言語が使われていない国へ赴任する場合もあるようです。途上国の公館は小規模なものも多いため、政務・経済・広報など多様な業務を一手に引き受けることもあります。また、本省勤務においては、自分の担当言語が用いられている国を管轄する部署以外にも、国際法・国連外交・軍縮などさまざまな部署に配属される機会があります。つまり、自分の希望や特性に応じて、多様な国・部署での業務を経験し、知見や専門性の強化につなげていくことができます。
このように、外務省専門職員は、仕事の中で常に学び続け、専門性を高め続けていきたい人、いろいろな国や分野に幅広く関わって視野を広げていきたい人には絶好の職種だと思います。
- 私の基礎能力試験対策:範囲を絞って繰り返すこと、自分の型を確立すること
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基礎能力試験は、出題科目が多く、範囲が膨大であるにもかかわらず、本試験で出題される問題が非常に限られている試験です。これを効率的に対策していくためには、ただ散漫に全範囲を学習していくのではなく、確実に解ける!という分野・問題を着実に広げていくことが最も大切だと考えています。そのため、私は学習する範囲を高校までに学習した科目・大学の授業や専門試験対策で学んできた科目に絞り、その範囲を繰り返し学習(講義を視聴・テキストに目を通す→問題を解く→間違った部分を復習)することで、学んだ範囲で確実に得点することを目指して対策をしていました。
もう1つ大切だと思うのが、限られた時間の中で得点を最大化するためのやり方を確立することです。例えば、私は当初、数的処理の問題をTAC・Wセミナーの講義で言われたような方法で解いていましたが、どうにも時間がかかってしまっていました。しかし、改めて昔に立ち返り、高校時代と同じやり方でやってみたところ処理スピードが格段に上がったため、それで処理していくことに決めました。また、基礎能力試験全体についても、どの順番で、どのような時間配分で解けば点数を最大化できるのか、さまざま試していく中で自分なりの最善のやり方を決めていきました。もちろん、TAC・Wセミナーの講義でもさまざまな対策法や解き方の技術を知ることはできますが、与えられたものを全てその通りに実践するのではなく、高校などで学んだ内容とTAC・Wセミナーで学習することの「いいとこ取り」をしながら、自分なりのメソッドを試行錯誤の中で作っていくことが、高得点への近道だと思います。それによって、漫然と解き進めてしまい、解けたはずの問題を取りこぼすような事態を回避することにつながるはずです。
- 本試験でのハプニング:過度に気にし過ぎない!
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①1次試験の国際法で、4枚綴り(1問あたり2枚)の解答用紙を1枚目から順番に使っていくべきところ、何を思ったか3枚目と4枚目を逆に使ってしまいました(2題目の解答を4枚目から書き始め、その続きを3枚目に書いてしまいました)。そのまま採点してもらえているのか、あるいは減点されているのかは、執筆時点で手元に点数開示が届いていないため分かりません。
②2次試験の身体検査で視力測定をしたところ、普段は右0.8、左0.3のはずが、なぜか両目とも0.3という結果でした。その後の問診で、結果を見た先生が何のコメントもせずひたすら首を傾げていたので、視力が原因で落ちたらどうしよう…という不安に駆られました。