外交官(外務省専門職)合格体験記
冷静かつ毅然と
内野 剣さん
DATA BANK
研修語 | 英語 |
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出身校 | 東京外国語大学 国際社会学部(在学中合格) |
合格年度 | 2023年度 |
選択科目 | 憲法 |
- 志望理由
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高校時代からぼんやりと国際関係や海外で起こっていることに興味があり、自分の興味に合うような仕事はどんなものだろうと調べていたら外務省専門職にたどり着き、外務省専門職を頭の片隅に入れつつ大学や専攻を選択しました。そうはいっても、本格的に目指そうと考えたのは大学3年次に香港へ1年間の交換留学をした時です。デモをきっかけに日本でも取り上げられることが多かった香港ですが、やはり自分で現地を見ることで画面越しには伝わらない生の声や現状を学ぶことに大きな意義を感じました。留学中には日本の領事官の方に直接お話を聞く機会にも恵まれ、自分もこの世界に飛び込んでみたいと思い、外務省専門職試験受験を決意しました。
- TAC・Wセミナーを選んだ理由:情報量
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情報は外務省専門職試験受験の上で最も大事な要素の一つだと思います。その点、TAC・Wセミナーは高い合格実績に裏付けられた情報の積み重ねがある点で受講者としても安心できるサポート体制が整っています。特に2次試験はなかなか評価基準が見えにくいなかで、過去の先輩方の面接カードや面接再現、他の受講生とつながる自主ゼミが大きな助けになったと感じます。1次試験についても膨大な情報量を効率よく学習する教材やカリキュラムに加え講師の方や合格者アドバイザーによる定期的な面談を通じて自分の進捗を客観的に把握できました。
- 合格の秘訣:選択と集中
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外務省専門職受験は長丁場です。分からないことや不安なことを抱えながら戦うなかで、ささいなことが気になってくることもあると思います。自分の場合は膨大な範囲の国際法や憲法について不安から細かい知識にばかり執着したり、公開模試や論文答練の結果に一喜一憂したり、面接でのちょっとした言い回しや作法に気をとらわれるあまり肝心な自己分析がおざなりになってしまうこともありました。そんな時は合格に必要なこと、大事なことだけに集中するよう自分に言い聞かせていました。外務省専門職試験は基本に忠実にやるべきことをしっかりやった人が合格する試験であることを肝に銘じながら、1次試験では満点ではなく合格点をとること、2次試験では完璧な人物を演じるのではなく、自分の思いを伝えることを心がけて臨みました。合格に必要なことを少しずつでも積み重ねることができたという自覚は試験本番でも支えになってくれるはずです。
- 専門科目対策
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○国際法:基本マスターで一通り知識を付けた後、論文答練に向けて学習していく中で、どのように答案を書けるまでにレベルアップしていくか、またどのように論文マスターのインプットとアウトプットを行うかで各受講生のスタイルが異なってくるように思います。私は論文マスターの内容を自分でルーズリーフ1、2枚に図式化する形でまとめ、流れを説明できるようにしていました。個人的には模範答案を一言一句覚えるより効率的で頭に入りやすいと感じてこのようにしていましたが、国際法の独特の用語や言葉遣いが慣れないと感じる方、文字の方が暗記しやすい方は答案をマーカーで隠しながら覚えていく方法をとる受講生もいました。
○憲法:論証の暗記をまず徹底しました。暗記をする際は単に文字を追うのではなく論証全体がどのような構造になっているのか、どのような権利がなぜ保障される、あるいはされないのか、文脈を汲み取ったうえで覚えることでより速く暗記できますし、万が一本番で細かい言い回しを忘れても論文全体の趣旨を間違えるという事態も回避できます。
- 受験勉強の面白さ
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外務省専門職試験受験の中でも重要な国際法と憲法は範囲も広く覚えることも多くて大変な科目です。ただ国際関係や社会で起こっていることに興味がある人にとっては面白いと感じる瞬間もあります。国際司法裁判所や国連、さらには国内の統治機構など今まで何となく存在を知っていたものの、具体的にどのような仕組みで何をしているのかなど、疑問に思っていたことが次々と解消されていきます。誰もが知る人権という言葉も、憲法でどのように保障され、私たちにどのような影響があるのか考えるきっかけになりました。当然学習の目的は試験に合格することですが、大人として社会に出る上で知っておきたい知識を身に付ける面白さも感じることができました。
- 最後に:これから受験する皆さんへ
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外務省専門職試験受験者は外交官になりたい!という強い思いを持っている人が多いと思いますし、私ももちろんその1人でした。一方で、外交官への思いと同じくらい外交官になって何がしたいのかという意識を受験時から持っておくことが重要だと感じました。そうすることで2次試験以降の面接カードの作成、また本番での面接に臨む姿勢も違ってくると思います。また、外交官になったその後を考えることは時事問題に対してアンテナを張っておくことにもつながります。長い受験期間を通して外務省専門職が目的であると同時に通過点だということを頭に入れておくことで試験まで冷静さを保ってコツコツと学習を積み重ねることができるはずです。