外交官(外務省専門)合格体験記
はじめの第一歩
藤木 郁理 さん
DATA BANK
研修語 | アラビア語 |
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出身校 | 東京外国語大学 国際社会学部 (在学中合格) |
コース | 総合本科生(現:総合本科生プレミアム) |
選択科目 | 経済学 |
- 始まりはミーハー心
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「首相・天皇陛下の通訳も外交官の仕事なのか!じゃあ、アラビスト外交官になりたい!」これが、大学生活4年間をアラビア語に捧げた私が外交官を志した理由です(ミーハーかつ短絡的…)。しかし、 1年間「外交とは何か」という問いと向き合い続け、より大きな大義を抱くようになりました。外交とは、国家間の紛争を武力ではなく平和的な交渉で解決することです。日本がかつて戦争を行い、広島・長崎に原爆が投下されてしまったという悲劇的な過去を二度と繰り返さないために、自分の語学力や知識を用い、日本の外交に貢献し、次世代に平和な日本を受け継ぎたいというのが今の思いです。
- 井能先生と日本外交
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TAC・Wセミナーの外務省専門職講座といえば、何といっても井能先生です。国際法だけではなく、時事論文、カウンセリング、2二次試験対策等、幅広く担当されています。単に外務省に合格するためだけの知識を教えてくださるのではなく、我々が外務省に入ってから実践的に使える国際法を教えてくださいます。また、経験に裏付けられた的確なアドバイスをくださり、生徒が自分自身で道を切り拓いていけるよう、温かい目で見守ってくださいます。20年以上にわたり外交官の卵を育て続けている井能先生は、日本の外交を支えていると言っても過言ではありません。
- 経済学受験のすゝめ
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「数学苦手だから憲法で受験しようかな」と思っている方、ちょっと待ってください。経済学受験考えてみませんか?ここでは、外務省専門職を経済学で受験するお勧めポイントを3点挙げたいと思います。
第一に、中学数学(微分・積分)の知識があれば十分で、暗記が少ない点です。私は国際関係の学部で、経済学を本気で勉強したのは10か月程度ですが、TAC・Wセミナーの講義をしっかりと消化し、理解できなかった点は新倉講師の丁寧な解説で理解することで、本試験で必要とされるレベルの論文を書けるようになりました。また、直前期までに経済学の理論と計算、答案構成を固めておけば、暗記はあまり必要ではないため、国際法の暗記に集中することができます。
第二に、外交分野で働くうえで、経済学の知識は必須だからです。とりわけ、ODA、経済外交、開発経済等の分野を希望するのであれば、経済学受験をお勧めします。(もちろん外務省専門職は国家公務員であるので憲法の知識も重要です。これから勉強します。)
第三に、国家総合職(経済区分)が併願しやすい点です。1一次試験では、ミクロ経済学・マクロ経済学・国際経済学に加え、財政学・経営学・統計学・計量経済学・経済史・経済事情等も勉強する必要がありますが、外務省専門職対策で手薄になりがちな分野をカバーすることができます。また、2次試験の記述試験においては、記述に慣れている外務省専門職受験者は圧倒的に有利です。最終合格し、官庁訪問を経験できることになれば、外務省に限らず様々な省庁の職員の方々のお話を伺い、官僚を志す同世代の人たちと語る、非常に素晴らしい経験ができます。
是非参考にしてみてください。
- ともに戦った仲間たち
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この一年間、いくら勉強しても不安になったり、自分の不甲斐なさに落ち込んでしまったり、本当に自分は外交の道なのかと悩んだりと、苦しむことは多々ありました。しかし、そういったときでも、大学や自主ゼミの仲間と集まって試験対策や自己分析をしたり、人生観について語る中で、気持ちに整理をつけてここまで進んでこれたように思います。志望人数が減少傾向にあるといえど、外務省専門職試験はやはり難関です。この大きな壁を乗り越えるためにともに全力で戦った仲間は、この1年間で得た最大の宝です。
- 最後に
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勉強のテクニック云々はさて置き、長い受験生活の中で、①自分を自分で認めること、②どんな時も周りの人を大切にすることが重要であると考えるようになりました。
まず、①については、優秀な人と自分を比較して、あるいは、誰かの意見を聞いて落ち込んだとき、自分を見失わないでください。最終的に自分の道を決めるのは、他の誰でもなく自分です。何らかの理由があって外交官を志したことを忘れず、自分を信じて貫き通してください。
次に、②については、どんなに辛いときでも、支えてくれる人たちを大切にしてください。どんなことでも一人で頑張るには限界があります。辛いとき忘れそうになりますが、自分の意志を尊重し、背中を押してくれる人たちは貴重です。
これから外交官として働く上で、私自身このことを忘れないようにしたいです。