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vol1【現役外交官インタビュー】国際法局国際法課国際裁判対策室 中山雄亮さん

外務省突撃インタビュー第1弾!
普段はなかなか聞くことのできない外交官の貴重なお話です。日本の国益のために、世界を舞台に働いている外交官は、どんな方でなのでしょうか!?

中山雄亮(なかやまゆうすけ)さん
国際法局国際法課国際裁判対策室

<プロフィール>
H18年入省
研修語:ポルトガル語
略歴 ・東京外国語大学(スペイン語)卒
   ・領事局外国人課
   ・ポルトガル語研修
   ・在モザンビーク日本国大使館
   ・在サンパウロ日本国総領事館
   ・中南米局南米課

Q. 外務省専門職を目指したきっかけは何ですか?

大学3年生の頃に、どのような職業を選ぶのが自分の人生にとって良いのかしっかりと考えたいと思うようになりました。また、大学で専攻したスペイン語を実際に使い、学びながら、自分の目で世界を見てまわりたいという気持ちもあり、3年を終了した時点で1年間大学を休学して、中南米に行きました。現地の人や文化と毎日触れ合いながら旅や生活をすることで、その国の知識を得るだけでなく、日本のことを意識するようになりました。それと同時に、外国の人にもっと日本のことを知ってもらいたいと考えるようになりました。帰国してから、海外で働くことへの興味が一層強くなり、それから外務公務員を目指すようになりました。

Q. 昔から外務省への憧れが強かったというわけではないのですか?

高校生の頃から英語は得意で、外国や外国語には興味がありました。大学では英語以外の言語を学びたいと思い、世界中で多く使われているスペイン語を選択しました。高校生の頃に偶然目にしたテレビの影響で中南米の大自然に触れてみたいという思いはありましたが、外務省を目指すようになったのは約1年間の中南米旅行から帰国してからですね。民間企業の就職活動も多少しましたが、自分の専門性を活かして、日本のことを世界に広める仕事ができるのは外務省だと思い、本格的に外務省の受験に照準を合わせました。実際、大学でスペイン語を学んでいた友人の中でも、外務省に入った友人ほどに、日常的にスペイン語を使いながら働いている人はいないのではないかと思います。

Q. 研修言語は第1希望のスペイン語ではなく、ポルトガル語ですが、大変ではありませんか?

もちろん志望した時は、大学で学んだスペイン語を使って、中南米外交の一端を担いたいと思っていました。スペイン語も長期滞在しながら学んだため少しは自信がありました。なので、ポルトガル語と言い渡されたときは正直驚きました。しかも、アフリカにポルトガル語を公用語とする国が6つもあるということも知らず、アフリカで勤務をするなんて夢にも思っていませんでした。それでも、実際に入省してからポルトガル語を学んでみると、もともと外国語が好きだったこともあり、すごく楽しかったですし、アフリカでの在外勤務でも本当に貴重な経験ができました。自分が想像していた中南米というフィールドよりも幅広い業務に携わることができているので、今ではポルトガル語になって本当に良かったと思っています。

Q. 外務省での実際のお仕事は入省前にイメージしていたものと違いますか?

1年目は東京の本省で働きながらの研修ですが、正直、大きな組織の中で自分が全体の中でどのような役割を持っているか簡単には理解できないことが多く、入省前に思っていた仕事とは相違があったかもしれません。一方、在モザンビーク日本国大使館での勤務では、館員数もそれほど多くない在外公館ということもあり、若手であっても責任のある仕事に携わることができました。政治・経済・広報文化など多岐にわたる仕事にも携わることができたので、イメージどおりでした。その後、本省に戻ってからは、特定の担当を持つようになり、大きなやりがいをもって働くことができるようになりました。本省での政策決定と在外公館での政策実行の両方の仕事を経験してから、外務省の仕事の面白さがよく分かってきました。
在外公館での勤務は、生活面で大変なことはありますが、毎日のように新しい発見やいろいろな人との出会いがあります。好奇心旺盛で海外が好きな人にとっては最高の職場だと思います。

Q. 外務省専門職の魅力を教えて下さい!

特定の地域、分野、言語のスペシャリストになれる、ということです。現在、国際法局で勤務をしていますが、国際法という分野の専門性を身につけるために外務省専門職員の受験以来、再度国際法を勉強しています。外務省では様々な業務があり、それぞれの分野で専門家になれる可能性があります。また、ただ専門的に働くだけなら他の仕事でもできますが、外交という特殊な仕事において、専門性を高めて、多くの人から頼りにされるような働き方ができるのは魅力的だと思います。
モザンビークでの勤務中は、大げさに言えば、その勤務の期間のモザンビークの政治経済情勢に最も精通した日本人の一人だったといえると思います。そのように日々の仕事を通じて様々な分野や事項の専門家になれるのが外務省専門職員です。

Q. 外務省ではどんな人が求められていますか?

外務省では、自分のように予期せぬ場所に行くことも多くあります。もともと希望していた言語や分野にならなくとも、新しいことを学んでいくことを楽しいと思えることが大切だと思います。また、外交の世界では特にその人の人間性が重要になってくると思います。もちろん公務員として組織の中で働くことが求められますが、対外的なやり取りが多いために、高い「人間力」も求められます。そのため、外務省には魅力的で尊敬できる方がたくさんいます。そして、当然のことながら、語学力や専門性によって任せられる仕事も異なってくるので、常日頃から自分のスキルを高めていく努力も必要になります。そういったスキルを駆使して、日本と世界のために働いていけるような人が求められているのではないでしょうか。

Q. 最後に、これから外務省を志す人に向けてのメッセージをお願いします?

外交官になることは、「日本代表になること」だと考えています。外国のことを知ることも大切ですが、それだけでいい外交官にはなるのは難しいのではないでしょうか。日本と日本人のことを深く知ることで本当の日本の良さを海外に発信できます。まずは自分の国と文化についてしっかりと勉強して、その上で外国のことを学んでいけるような、やる気のある方と一緒に働きたいですね。私もまだまだ未熟なので、一層勉強して経験を積んでいく必要性を痛感しています。皆さんも勉強は大変だと思いますが、体調にはくれぐれも気をつけて受験勉強を乗り切ってください。外務省でお待ちしています!

~インタビュアーの一言~
希望した言語が叶わず、アフリカでの勤務も全く予想していなかったにもかかわらず、置かれた環境でやりがいをもって働かれている姿に感銘を受けました。今回のインタビューを通して、外交官にとって新たな出会いや学びを楽しむ姿勢が、語学力や知識と同じくらい重要だと感じました。

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