簿記試験のCBT方式とは?
試験の概要と注意点や疑問点を解説
簿記試験のCBT方式とは、他資格でも行われているネット試験のうちの1つの手法のことです。資格取得を目指す方は、まずはどのような試験なのかや従来から行われている多くの受験生が会場で紙で解答する統一試験との違いを理解するといいでしょう。
この記事では、簿記試験のCBT方式を解説します。関連する注意点や疑問点など、知っておきたいポイントまでチェックしましょう。
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簿記試験のCBT方式に関する基礎知識
簿記とは、財務諸表の仕組みや作り方のルールを学ぶことで、企業の経営活動を整理して財政や経営の状態を明らかにできる技能のことです。このスキルがあれば会計の側面から企業経営を理解できるようになり、経営や投資判断がしやすくなるなど、ビジネスシーンで役に立ちます。
そんな簿記の試験では、近年CBT方式が導入されました。はじめに、CBT方式とはどのようなものか、簿記試験で導入した目的、メリットとデメリット、受験の流れ、受験料や支払い方法、試験内容について詳しくチェックしていきましょう。
参考:日商簿記検定試験(2級・3級)ネット試験をご受験される皆様へ
CBT方式とはネット試験のこと
そもそもCBT方式とはネット試験のことを指します。2020年12月の試験から施行されたものであり、パソコンで試験について解答していく方式です。従来の紙を用いた3級、2級の統一試験では年3回の試験日が決められていましたが、CBT方式が導入されたことによってほとんど毎日受験できるようになって、受験しやすくなりました。
ちなみに、ネット試験とはいってもどこからでも受験できるわけではなく、各都道府県にテストセンターがあり試験会場として決まっています。
簿記試験でCBT方式を導入した目的
日本商工会議所がCBT試験を導入した理由としては、各種感染症の拡大や大規模自然災害等が発生しても、継続的・安定的に試験実施が可能となる体制を構築するとともに、これまでの実施・運営方式にとらわれず、社会変化に対応したIT化・デジタル化を基盤とする新たな試験実施の仕組みを取り入れるためです。
そのために、統一試験の補完的位置づけとして、受験者数の多い2級と3級にネット試験方式を導入し、統一試験方式と併用していくこととなりました。
CBT方式のメリットとデメリット
CBT方式の試験にはメリットとデメリットがあります。CBT方式のメリットは、以下のとおりです。
* 受験機会が増えること
* 試験結果がすぐにわかること
テストセンター側で空きがあればほとんどの日で受験が可能となるため、自身の予定にあわせてスケジュールを管理し、試験日を選択できます。また、万が一体調不良になってしまった場合であっても、すぐに受け直せることなどがメリットです。
一方、CBT方式のデメリットは以下のとおりです。
* パソコン操作が必要になること
* ヤマをかけにくいこと
CBT方式ではパソコンで解答するため、従来の紙試験のやり方とは異なります。4紙であれば問題にメモをしながら解ける手法も、パソコン上では画面上にメモできないことなどに注意しておきましょう。
また、CBT試験では受験者ごとで問題が異なっていて問題のバリエーションが多いため、ヤマをかけにくいという特徴があります。
CBT方式の受験の流れ
CBT方式の受験をする際は、まず受験したい日にちの3日前までに受験の申し込みが必要です。受験票の発送はないため、予約完了時の確認メールで試験日程や会場、注意事項を確認して受験会場に向かいましょう。
受験結果は即時に判定されます。終了後にスコアレポートが配布され、合格者はスコアレポートのなかのQRコードからデジタル合格証が取得可能です。
CBT方式の受験料・支払い方法
CBT方式の場合はパソコンから受験を申し込み、その受験料の支払いは「クレジットカード」や「コンビニエンスストア/Pay-easy」でおこないます。受験料は受験する級によって異なっていて、2級は4,720円、3級は2,850円です。それぞれ消費税10%込みの金額で、事務手数料550円が別途発生します。
CBT方式の試験内容
CBT方式でおこなわれる試験の内容は、従来の紙媒体の試験内容と変わりません。出題形式は若干変更があるものの、日本商工会議所が作成した「簿記検定出題区分表」の記載内容に沿った内容で出題されるため、受験に向けて勉強する際のテキストも同じものが使えます。
先述のとおり、CBT方式の試験では受験者ごとに出題される問題が異なり、問題のバリエーションが多いのが特徴です。また、問題の開示も行われなくなったこともあり、過去問題対策が他の資格試験のように行えないことも特徴といえます。
簿記試験のCBT方式に関する注意点
簿記試験で導入されたCBT方式に関する注意点は、以下のとおりです。
* ログインID登録時に正確に記入すること
* 受験の際には持ち物をチェックすること
簿記試験のCBT方式での受験申し込みをおこなう場合には、該当の専用ページから自身で申し込み内容を入力していきます。しかし、この際に名前の漢字や生年月日などの情報を誤って入力してしまい、トラブルになるケースが起こっているため、注意が必要です。
それぞれの注意点について、詳しくチェックしていきましょう。
ログインID登録時に正確に記入する
受験申し込みのために専用ページから`ログインIDを登録する際には、情報を正確に記入するように気をつけてください。
名前の漢字などが間違った状態で登録してしまうと、実際にテストセンターで受験しようとした際に登録内容と免許証などを照合しても、本人だと確認ができなくなってしまいます。受験できなくなってしまったり、デジタル合格証書に記載する氏名が異なるものになってしまったりする可能性があるため注意が必要です。
受験の際には持ち物をチェックする
受験の際には、必要な持ち物を事前にチェックしておきましょう。CBT方式での受験には、本人確認ができる身分証明書、マスク、a電卓が必要です。ちなみに、電卓は自身のものを持ち込み可能ですが、そろばんは持ち込めません。
計算などをおこなうためのメモ用紙はテストセンターがA4サイズの白紙を2枚配布しています。自身のノートなどは持ち込めません。ボールペンもテストセンターが貸し出しています。
CBT方式での受験では受験票は発行されないため、筆記試験とは違って受験票を持っていく必要はないです。
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簿記試験のCBT方式に関する疑問点
最後に、簿記試験のCBT方式に関する疑問点についてもチェックしていきましょう。CBT方式に関して疑問に思いやすいポイントは、以下のとおりです。
* 統一試験との違いはどのようなもので、難易度などに違いがあるか
* 履歴書への記載や合格証は、どのように対応すればいいのか
それぞれのポイントを詳しくチェックしていきましょう。
難易度など統一試験との違いは?
難易度については、統一試験と同じになるように配慮されています。かし、CBT方式の試験は合格率が高いかもしれないともいわれており、実際に2020年度や2021年度におこなわれた試験では統一試験よりもCBT方式の試験の合格率のほうが高くなっていました。
これは、CBT方式の試験時間が統一試験より短かったこと、従来の統一試験経験者が再度受験した割合が多い可能性があること、解答方法が完全記述式から選択式に変わったことなどの影響が考えられるでしょう。
2021年6月実施分からは統一試験でも試験時間を従来の時間から短縮してCBT方式と同等にするなど、どちらかが有利になることがないように配慮されています。どんどん均一化を進めているため、今後はさらに違いが出ない状態になるでしょう。
ちなみに、統一試験の時間は従来の120分から、級ごとに時間が異なるようになりました。簿記3級では60分へ、2級では90分へと時間が短縮されています。
また、CBT方式の試験ではパソコンを使うため、解答方法も統一試験とは違っていて注意が必要です。統一試験では答えを紙に記入していました。一方CBT方式の試験では、プルダウンで選択する、キーボードで入力するなどで解答します。
勘定科目や理論はプルダウン式で選択し、金額はキーボードで半角数字を入力、勘定科目の一部の穴になっている部分を漢字で入力するというように、紙への記入とは違いがあることに注意しましょう。
履歴書への記載は?合格証は?
全CBT方式の試験でも統一試験でも同じ扱いとなるため、履歴書への記載方法は変わりません。履歴書には「日商簿記検定試験(〇級)取得」と記載しましょう。
合格証はデジタル合格証が発行されていて、紙媒体やカードタイプのものの発行はありません。勤務先などから合格証の提出を求められた場合には、スマートフォンの画面などでデジタル合格証を表示させましょう。
また、デジタル合格証のデータをPDFにして、自身でプリントアウトした用紙を提出することも可能です。
試験方式を理解して簿記の勉強をしよう!
試験方式を理解して簿記の勉強をしよう!
このように簿記の試験では、近年導入されたネット試験・CBT方式により、受験機会が増え、勉強した努力が合格という結果に結びつきやすくなりました
このCBT方式のメリットとデメリットは、以下のとおりです。
<メリット>
* 受験機会が増えること
* 試験結果がすぐにわかること
<デメリット>
* パソコン操作が必要になること
* ヤマをかけにくいこと
CBT方式の試験ではほとんどの日に受験可能となるため、自身の予定にあわせてスケジュールを管理し、試験日を選択できます。また、万が一体調不良になってしまった場合であっても、すぐに受け直せることなどがメリットです。
CBT方式と紙媒体の試験では異なる点がありますが、特徴をチェックして試験方式を理解できたならば、紙媒体ではない試験方式であっても大きな混乱がないまま受験を進められるでしょう。注意点や疑問点も確認したうえで、受験に向けて勉強を進めていきましょう。
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