【2025年最新】日商簿記1級とは?難易度・勉強時間・年収・メリットを専門家が徹底解説

日商簿記1級は誰でも簡単に手にできる資格ではないからこそ、大きなメリットがある
日商簿記1級とは、日本商工会議所が実施する日商簿記検定の最高位の資格です。商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算の4科目を高度なレベルで修得し、企業会計に関する法規に基づいた経営管理・経営分析ができる能力を証明するものです。
合格率は約10%と非常に低く、難関資格とされています。誰でも簡単に手にできる資格ではないからこそ、取得することで得られる能力や評価、活用できる場面が多数あります。それでは、具体的なメリットを見ていきましょう。
簿記1級の試験日程・難易度・合格率
過去3回分の試験日程と合格率
| 第167回(2024年6月) | 第168回(2024年11月) | 第170回(2025年6月) | ||
|---|---|---|---|---|
| 1級 | 受験者数 | 9,457 | 10,420 | 9,610 |
| 合格者数 | 992 | 1,572 | 1,343 | |
| 合格率 | 10.5% | 15.1% | 14.0% | |
1級の概要
公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門。合格すると税理士試験の受験資格が得られる。極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析ができる。大学等で専門に学ぶ者に期待するレベル。
1級の難易度(2級との比較)
1級は、「2級までとは別物」と言われるほど一気にレベルが跳ね上がります。商業簿記・工業簿記に加え、企業会計基準や連結会計など専門性の高い内容が増え、「簿記2級の延長線」という感覚で挑むと、多くの人がギャップに驚きます。実際、合格率はおおむね10~15%と、約10人に1人しか合格できない難関試験です。
しかし、その分だけ「会計のプロ候補」としての評価や転職・昇進でのアピール力は非常に高く、時間と労力をかけて目指す価値のある資格だと言えます。
簿記1級に合格するメリット・価値とは?

合格率10%前後の難関試験のため、希少性が高い
日商簿記1級は、3級、2級と比べると学習範囲がとても広いうえに、難易度が高く、いわゆる難関資格といえます。その合格率は毎回約10~15%、合格者数にして1,000名程度に留まります。3級、2級の学習を進めてきた方が受験した中での約10%ですから、稀少性が高く、極めて価値の高い資格であることが分かります。取得していること自体が高度な知識を有していることの証明になり、専門の知識と技術を手に入れたという事実が自分の大きな自信になるでしょう。
高度な知識を要求される難易度の高い試験。取得すれば名実ともに「会計のスペシャリスト」に
日商簿記3級、2級でも簿記の様々な手続きを学習しますが、1級ではその理論的な裏付をも学習します。簿記2級までは簿記のルールを理解し、あてはめていくというパズル思考が重要でした。1級では、なぜそのルールが当てはまるのか、その背景を理解すること=「本質を知ること」が大事になります。
学問的な要素も持ち合わせているので、丸暗記やパターン学習は通用しません。1級の内容を理解することで、ビジネス・シーンにおいて直面した問題を解決するための「応用力」や「実践力」を身につけることができます。これが、1級合格者が「会計のスペシャリスト」と言われるゆえんです。
就職・転職・独立にとても有利!
日商簿記1級は極めて高度な会計知識を有し、経営管理や分析を行う能力を持ち合わせた会計に関するスペシャリストとして扱われるため、就職や転職に非常に有利です。
大規模企業の経理実務が理解できることは言うまでもありませんが、独立起業した時にも自分で経理処理や数字に基づいた経営判断が可能になり、経営上の不安がありません。また、就職活動中の大学生にとって「日商簿記1級取得」と書かれたエントリーシートは相当なアピール力を発揮することでしょう。
大学受験・推薦にも役立ちます!
大学センター試験では、数学の教科の中に「簿記・会計」という科目も存在し、受験科目として選択することができます。さらに、推薦入試の際に、2級より上の資格は非常に高い評価を得られます。
さらなる資格取得に役立つ!
日商簿記1級を取得することが、会計系上位資格(税理士、公認会計士)への登竜門となります。税理士試験には学識、資格、職歴といった受験資格が定められていますが、日商簿記1級を取得していれば受験ができるようになります。
また、会計系資格のみならず、他分野の資格学習にも役立ちます。例えば中小企業診断士試験では、「財務・会計」という科目で日商簿記1級で学習する分野の問題が多々出題されますので、高得点を狙えます。
仕事に応用できる知識が多い!
1級で学習する論点は実務に直結したものばかりです。商業簿記・会計学では、2級の学習内容をさらに発展させて「キャッシュフロー計算書」「連結会計」といった大企業の会計処理を学習します。工業簿記・原価計算では、2級の工業簿記をベースにより深く厳密な原価計算や管理会計を学習するので、経営管理や経営分析に役立ちます。経理職であれば、1級を取得することで資格手当などを得られたり、社内の上位職への昇進に繋がることもあります。
経理職に留まらず、営業職や製造職などの分野でも、原価計算を学習するとコスト感覚が身に付くため、より数字を意識して業務を行うことができるでしょう。また、自社の数字だけでなく、競合他社や取引先の資料を深く読み解くことができますので、経営状況や今後の動向を深く分析することも容易になります。
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簿記1級を取得すると年収は上がる?就職・転職への影響

簿記1級の取得は、キャリアアップと年収向上に大きく貢献します。この資格が持つ高度な会計知識は、大手上場企業の経理・財務部門をはじめ、監査法人や税理士法人、コンサルティングファームといった専門職への扉を開きます。
その結果、キャリアの選択肢が大きく広がり、より高い水準の年収が期待できるようになります。次の詳細ページでは、具体的な年収の目安、企業規模による違い、そして簿記1級を活かしたキャリアパスの成功事例を詳しくご紹介しています。ご自身の未来の姿をイメージするために、ぜひご覧ください。
合格に必要な勉強時間と独学の可能性

簿記1級の合格に必要な勉強時間は、簿記2級合格者の方でも一般的に500〜600時間と言われています。学習範囲は2級から格段に広がり、「商業簿記・会計学」「工業簿記・原価計算」の4科目をいかにバランス良く、かつ深く理解するかが合格の鍵となります。
では、この長い学習時間をどう効率的に使えば良いのでしょうか? 次の詳細ページでは、具体的な学習スケジュールの立て方から、独学で進める際の注意点、そして多くの受験生が挫折しやすいポイントとその克服法まで、専門家の視点で詳しく解説しています。
TACで1級に見事合格!合格者の声


高3で簿記1級に見事合格!
高校3年生で簿記1級に見事合格した篠原利玖さんの、貴重な合格体験記です。高校1年時の進路セミナーで聞いた公認会計士の影響で会計に興味を持ち、3→2級と学習を進めていく中で簿記の楽しさや奥深さを知り、簿記を極めるため1級に挑戦しました。
篠原利玖さん/受講コース:1級合格本科生 ※画像はイメージです
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この記事を書いた人

佐藤 浩之 講師 (TAC簿記検定講座専任講師)
簿記1級は、日商簿記検定最高峰の難関資格といえます。合格に必要な努力は2級のそれをはるかに凌駕しますが、当然、合格することで得られる知識は、十分なものと言えるでしょう。
「財務会計」の領域を幅広くマスターするだけではなく、2級ではまださほど馴染みの薄い「管理会計」の領域についてもしっかり習得することができます。簿記1級を取得することで、会計のプロフェッショナルの道を歩みましょう!














