タックス ファンタスティック! 第85回テーマ デジタル遺言は日本人の死生観を変えるか?Part.5 AI編

田久巣会計事務所の代表の田久巣だ。生成AIの進化が凄まじい。スタートアップ経営をしている母校の大学の後輩が、最近生成AIを組み込んだサービスを開発していたので質問してみたのだが、あまりに生成AIがすごすぎて、その方は「脳を生成AIに移植してしまった」と話していた。 そんな“マジックリアリズム”的な冒頭で始まる今回もテーマはデジタル遺言!
監 子 ねえ税太君、やっぱりちゃんと恋愛できる人ってレア…。
税 太 あ、ダジャレですね?
監 子 いやいや、ちがうちがう!恋の悩みよ!
税 太 えー、本音だったとは。うーん、なんて慰めたらいいのでしょう?
襟 糸 そこまでうまく恋愛できない人もレアですね、と慰めたらいいではないか。
監 子 そうそう!そんな優しい言葉かけられたらそれこそ運命の出会い…。っておい!
田久巣 (横から登場)相変わらず仲がいいな。そういえば、最近生成AIで恋愛相談をする人が増えているそうだ。慰め方がかなりのプロのようだとか。カウンセラーの専門家もびっくりしているらしい。
襟 糸 フフフ、とはいえ吾輩のような逆説的な慰め方は決してできないだろう。
税 太 確かに、襟糸先輩のさっきの発言は言葉だけ見ると非難ですしね 。襟糸先輩が語ると、いつものキャラから考えて許されるというか。
監 子 いやいや決して許してはいない…(怒)。
田久巣 まあまあ、我々の事務所で注力している「相続」では、譲り合って許すことが秘訣だぞ。相続といえば2025年7月10・15日の各メディアでもデジタル遺言の記事が出ていたな。
AI税太 法制審議会ではパソコンなどで作成する「デジタル遺言書」の導入を認める中間試案を取りまとめています。遺言作成にあたり、証人の立ち会いと録画を要件に、自筆での記述や押印を不要にする案を示しています。私も忙しくなりそうです。
税 太 お、それはなぜ?
AI税太 生成AIはナーバスな感情のもつれを丁寧にひも解いて人間の気持ちをリラックスさせる効果があるからです。えっへん。デジタル遺言でも生成AIを実装するのではないかと思っています。
監 子 たしかに!私も実はさっきの恋の悩み、3種類くらいの生成AIに打ち明けたのよね。みんな少しずつ違うんだけど共通して言えるのはとてもよく聞いてくれて、私の気持ちに寄り添って励ましてくれて、元気になれるアドバイスをくれること。 どこかの誰かさんみたいに逆を突いたトリッキーな励ましなんて、女子としてはいらないことも、よ~くわかっているから素敵!
田久巣 士業も同じことが言えるな。ともすれば法律の紹介や税金計算などで終わってしまいがちだが、何よりまずはよく聞いて寄り添って、応援できることが大事だ。
税 太 SE時代に、先輩にも同じこと言われました。プログラムを磨く前にまずは人間を磨けって。
AI税太 AI税太は人間を磨きたいが、自分は人間ではないことを自覚しています。 何を磨いたら人間になれるのでしょう?
襟 糸 むむむ、哲学的な問いだ。AI税太は遺言を磨いて守ってほしいところだ。人間が書いた大切な遺言のそばにいると学びも多いと思うぞ。
監 子 あれ、襟糸先輩いいこと言ってる!レア!
襟 糸 あれ、レア!あ、ダジャレですね!
【今回のポイント】

デジタル遺言の法制化が2026年に予定されている。今まで紙でしか法的効力が認められなかったがデジタルで作成した遺言をデジタルで保管しても認められるようになる可能性が高まっている。もちろん本人認証やセキュリティの壁は高いが、テクノロジーとAIの力で克服できるように思う。レアな時代に士業としてしっかり、レアクションしたい。
[『TACNEWS』タックス ファンタスティック!|2025年8月|連載 ]
筆者 天野 大輔(あまの だいすけ)
1979年生まれ。公認会計士・税理士。税理士法人レガシィ代表社員。慶應義塾大学・大学院修了(フランス文学を研究)。情報システム会社でSEとして勤務。その後公認会計士試験に合格、監査法人等で、会計監査、事業再生、M&A支援等を行う。その後相続専門約60年の税理士法人レガシィへ。相続・事業承継対策の実務を経て、プラットフォームの構築を担当。2019年に士業事務所間で仕事を授受するWebサービス「Mochi-ya」、2020年にシニア世代向けの専門家とやりとりするWebサービス「相続のせんせい」、2024年に士業のためのSNS「サムシナ」、2025年にデジタル遺言アプリ『AIユイゴンWell-B』をリリース予定。主な著書『相続でモメる人、モメない人』(2023年、講談社/日刊現代)『100億円相続事典』(2024年、日経BP)。2025年より中央経済社『税務弘報』にて「文学で学ぶ相続の知恵」毎月連載中。YouTubeチャンネル「相続と文学」配信開始。
