人事担当者に聞く「今、欲しい人財」 第82回 BASE株式会社

Profile

波多野 裕太(はたの ゆうた)氏(写真右)

Talent & Culture Department / Talent Partners Division / Talent Development Section マネージャー 

大学卒業後、株式会社日本経営に入社し、組織人事コンサルティングに従事。2025年4月、BASEに入社。現在、人事戦略、組織開発、文化醸成、タレントマネジメント、DE&I領域でマネージャーを務める。

堀江 俊弘(ほりえ としひろ)氏(写真左)

Talent & Culture Department / Talent Development Division 労務・産業保健Group マネージャー 兼 人事・制度企画 Group

大学卒業後、ITベンチャーに就職し人事部に配属。その後プライム市場上場不動産会社を経てAIベンチャーに転職。2024年11月、BASEに入社。現在、人事評価や入社受入れ、給与や労務領域でマネージャーを務める。

「BASE」など4事業に加え、M&A戦略で、
社員の活躍フィールドが大きく広がっています。


 BASE株式会社は、決済・金融を軸に世界中の個人やスモールチーム、スタートアップをエンパワーメントするプロダクトを企画・開発・運営している。主軸の「BASE」は、これまで累計240万(2025年6月現在)を超えるショップを生みだした日本最大級のネットショップ作成サービスである。決済機能の簡易な導入をはじめ、集客・販促や早期キャッシュフローを一貫してサポートするプロダクト・サービスによって、個人やスモールチームが経済活動をスムーズに行える基盤を構築するBASE株式会社では、どのような人材観を持って採用活動をしているのだろう。Talent & Culture Departmentの波多野裕太氏と堀江俊弘氏にお話をうかがった。

Payment to the People, Power to the People.

──最初にBASE株式会社(以下、BASE)について教えていただけますか。

波多野 BASEは、誰でもかんたんに利用できるネットショップ作成サービス「BASE」、購入者向けのショッピングサービス「Pay ID」、資金調達サービス「YELL BANK」を開発・運営するインターネット企業です。
 創業から提供している「BASE」は、2012年11月に提供を開始しました。創業者で代表取締役CEOの鶴岡裕太が、大分県で洋品店を営んでいた母親から「ネットショップを作ってみたい。だけど、どれも難しくてよくわからない」と言われたことをきっかけに、「インターネットにそこまで明るくないお母さんが必要としているということは、同じようにネットショップを必要としている人たちがいるかもしれない。」という想いを持ったことから生まれたプロダクトです。
 インターネットという手段で決済を民主化し、あらゆる人々をエンパワーメントする道を目指すBASEは、 「Payment to the People, Power to the People.」という企業Missionを掲げています。さらに、BASEは「We are All Owners」というFoundationを持っています。
 Missionの根底には「誰もが自分らしく生きることがあたり前の社会を作ることを目指す」という想いがあり、その想いをFoundationで表しています。創業当初から個人やスモールチームをエンパワーメントすることが社会における自分たちの役割であり、価値だと考え、創業以来変わらない想いを持ち続けています。
 事業は、ネットショップ作成サービス「BASE(ベイス)」、購入者向けショッピングサービス「Pay ID(ペイ アイディー)」、資金調達サービス「YELL BANK(エールバンク)」、子会社のPAY株式会社が提供するオンライン決済サービス「PAY.JP(ペイドット ジェーピー)」の4つの事業で成長を実現しています。

──最近のトピックがあれば教えてください。

波多野 ここ数年は、積極的にM&A戦略を進めており、2024年には「want.jp」という越境EC事業を運営するwant.jp株式会社、2025年はECサイト黎明期からの業界のフロンティアである「Eストアーショップサーブ」を提供する株式会社Eストアーがグループジョインしました。
 M&A戦略によって新しい事業を取り入れると同時に、「BASE」など4つの既存事業もさらに発展させてきました。これまで築いてきた業界でのポジションやプレゼンスにも自信を持ちながら、今後はオーガニックな事業の成長戦略と、M&Aを活用したインオーガニック戦略の両輪から、事業の更なる拡大をめざしていきます。
 EC業界ではGMV(Gross Merchandise Value)、流通取引総額という指標が重視されています。Eストアー社のジョインによりBASEグループの年間GMVは5000億円規模に達する見込みで、引き続き、このGMVを広げながら世の中に大きな価値を提供していきます。

求めるのは「カルチャーマッチ×スキル+事業横断的に活躍できる人材」

──BASEの「求める人物像」を教えてください。

波多野 これまで事業の成長フェーズに応じて必要な人材スキルを定義し、中途採用を行ってきました。特に重視してきたのがカルチャーマッチの部分です。インターネットの可能性を信じている、個人やスモールチームを応援したい、あるいは当社のMissionや鶴岡のFoundationに共感するメンバーが集まっています。
 ここ数年は、事業のすそ野が広がり、既存事業に加えM&A戦略を進めていくと、活躍のフィールドが非常に大きく広がります。そうなると事業のシナジーも非常に重要になってきます。これからは、それぞれの事業フェーズに必要なスキルに加えて、事業横断的に活躍できるスキルも重要なファクターだと捉えています。

会社全体で1人のメンバーを採る

──中途採用の選考フローについて教えてください。

堀江 書類選考→一次面接(配属想定チームのマネージャー、メンバー)→リファレンスチェック(承諾者のみ実施)→最終面接(取締役就任、執行役員)→オファー面談(基本的に配属予定先のマネージャー)の流れになっています。

──カルチャーマッチについては、選考のどの部分でチェックしていますか。

堀江 面接です。当社では面接官をする前に採用担当マネージャーから研修を受け、面接官によって評価基準に差が出ないようにしています。その研修の中で話し方やカルチャーフィットの確認方法を学び、実際の面接ではこれらを総合的に判断しています。

──リファレンスチェックを実施しているのですね。

堀江 そうですね、基本的には現在の勤務先の上司にお願いしています。任意での実施ですので強制ではありません。面接では聞けなかった候補者本人が意識されていないよいところを知ることも多いです。

──最終面接後のオファー面談は、どのような内容ですか。

堀江 オファー面談は、配属部門のマネージャーや現場のメンバーが、応募者に対して会社の魅力や入社後のビジョンなどを伝えるものです。応募者が気になる点や質問に対して、ディスカッションをしながら一緒に理解を深めます。

──その段階で応募者は入社の意思を固めているのですか。

堀江 そこは応募者によって異なります。入社の意思を固めた方に入社後の内容を伝えて理解を深めてもらうこともあります。また、まだ入社を決断していない方には入社後の理解に加え、何よりBASEに入社して欲しいという意思を伝えるために実施することもあります。

──採用方針での特徴について教えてください。

堀江 採用活動に人事や経営層だけでなく、採用部署や一緒に働くメンバーが関わり、全員で採用基準や求めるスキル、求める人材像を決めていきます。採否も人事やマネージャーだけで決めるのではなく、現場の各メンバーの意見を総合的に集めて判断しています。
 BASEでは、現場で一緒に働く多くの社員が1人の採用プロセスに関わります。実際に働くメンバーが面接官となるため、応募者にとっても「この人たちと一緒に働くんだ」というイメージしやすいのが特長です。

オンボーディングの現場サポートは1年間

──入社時研修は実施していますか。

堀江 入社初日はBASEの社内制度や事業情報を伝える45分の説明会を設けています。その後は、視聴型の動画研修と対面オリエンテーションの2つを用意しています。視聴型は勤怠のつけ方やBASEで働く上で必須の社内システムの使い方等を動画にしています。リモートワークもできる会社なので、入社後タイミングのよいときに何度も見返せるようにしています。
 対面オリエンテーションはCEOがオリエンテーションに参加して、入社した社員の質問に答えるほか、各事業部のトップメンバーが事業の説明をする場を設けています。対面オリエンテーションは毎月実施していて、かなり手厚い内容になっています。これらの研修を含め入社後1ヵ月間は人事でサポートし、その後のオンボーディングでの現場サポートは1年間続きます。

一番人気は、ショップ利用で補助の「宣伝部長」

──入社後の教育研修制度、人事制度でBASEらしいものを教えてください。

堀江 BASEらしい制度に「ミッショングレード制」という評価制度があります。一般的な評価制度は自分の立てた目標に対して上司と結果をすり合わせますが、「ミッショングレード制」は未来の役割範囲であったり、責任範囲の拡大、もしくはそれを担ってもらうために投資する感覚で評価していく、未来に対する評価制度です。昇給に対する評価も、役割が増えたか増えていないか、またそれが変わったか変わっていないかに基づきます。

波多野 グループ全体の機能拡大に伴い経営環境が大きく変わってきている中で、グループ全体でどのようなことができるか整理したり、仕組みを見直したり、メッセージ発信にも力を入れています。
 毎月1回、行っている全社定例事業の進捗や特に力を入れていること、事業責任者の想いや方針を共有しています。また、CEOが社内向けの生配信をしており、毎回テーマに沿ってメンバーとディスカッションしたり、グループ会社の代表をゲストに迎えて企業・事業理解を深めたり、鶴岡が直近の経営イシューに関して深めていきたい論点などを社員と双方向でコミュニケーションを交わしています。

──福利厚生でユニークな制度があれば教えてください。

堀江 「宣伝部長」というBASEならではの制度があります。これは「BASE」で開設されたショップで社員が商品を購入した際、会社から補助が出る制度です。食品やファッションなどのほか、様々なショップがあるので、よいショップがあったら同僚や友人、家族に紹介して広めてもらおうという趣旨で始まりました。社員には一番人気の制度です。ショップを利用したメンバーを補助することで、ショップオーナーにつながっていく点もBASEらしいと思っています。

波多野 その他にも社員同士の繋がりを促進するBASEらしい制度はたくさんあります。例えば、「メンターランチ」といって、新入社員が既存社員とランチをしながらカジュアルに交流できる制度で、入社後2ヵ月間計8回までランチ費用を補助します。他にもクラブ活動補助や、社員に対して日々のサンクスをポイントに還元するサービス利用など、コミュニケーションには力を入れています。

資格取得は自己研鑽の一環

──資格取得支援制度はありますか。

堀江 資格取得支援制度はありません。中途採用のため、特にエンジニア職の場合は情報処理系資格やベンダー系資格をすでに取得している方が多いのが理由です。もちろん、入社後に資格を取得される方もいます。選考では取得資格はあくまで参考程度とし、業務に必要なスキルを持っているかどうかを面接で判断しています。

波多野 Mission実現のために、私たち自身も「We are All Owners」として、自分のキャリアも含めて人生のオーナーシップを持って生きていけることが理想でもあります。基本的に事業に必要な資格やスキルも、自分自身が社会に価値を提供するためのひとつの手段として、自己研鑽を推奨しています。

──最後に資格取得やキャリアアップをめざす読者に向けてメッセージをお願いします。

堀江 BASEには主体的に動く組織風土が用意されていて、それが自己成長につながる会社だなと実感しています。資格取得や何かに向けて努力されている方に、とても合った風土です。興味を持たれた方はぜひBASEにご応募ください。

波多野 個人やスモールチームに対してよりよい社会を作っていきたいという想いに共感してくださる方、今培っている専門性を武器にしながら、プロフェッショナルとして活躍してもらえるフィールドを用意しています。関心のある方は、ぜひドアノックしてください。

[『TACNEWS』人事担当者に聞く「今、欲しい人財」|2025年11月 ]

jinzai202511_img06.jpg

▲エントランス

会社概要

社名     BASE株式会社
設立     平成24年12月11日
代表者    代表取締役CEO 鶴岡裕太
本社所在地  東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー37F

事業内容

Webサービス企画・開発・運営

従業員数

292名(連結:2025年6月末日現在)

URL

https://binc.jp

おススメ記事

「TACNEWS」に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。