弁理士合格体験記|鳥山 悟さん

知財知識ゼロから合格への勉強法

鳥山 悟さん

鳥山 悟さん(30歳)
東京工業大学大学院
生命理工学研究科
生命情報専攻 修了

DATA BANK

受験回数 3回
2020年度 論文・口述合格
受講講座 1年本科生、松宮ゼミ
得意科目とその理由 特になし
万遍なく勉強することを心がけていたため
不得意科目とその理由 意匠
論文で漠然とした設問が苦手だったため
ズバリ合格の秘訣 合格を信じて勉強を継続すること
1日の平均学習時間 入門期~基礎期 平日3時間 休日10時間
直前期 平日4時間 休日10時間
弁理士を目指した理由

 私は、大学院卒業後、企業の研究開発職に従事しています。私が知財に興味を持ち始めたのは、会社の特許研修がきっかけでした。その研修で実際に明細書を作成するという体験を通じて、私は、目に見えないアイデアを目に見える形で文章化し、それを権利化して事業の独占を下支えするという、いわば技術とビジネスの架け橋の役割を知財が担っているというのを知り、大変魅力を感じました。そこでインターネット等を調べると、知財の専門家として弁理士という資格があるのを知り、将来のキャリアの幅を広げるために弁理士を目指すことにしました。

TACを選んだ理由

 私は、都心から電車で2時間という離れたところに住んでいたため、平日夜に教室に通うのは難しいと感じていました。一方、通信コースだと勉強のペースの確保が難しいと思っていました。そこで、各社を比較すると、TACの弁理士講座は休日だけで完結しているものがあること、スクーリング制度があり通信講座であっても教室の講義に参加できることに魅力を感じ、1年本科生のDVD通信講座を受講することにしました。また、講師は、ホームページに掲載されていた動画を視聴した際、分かり易くて続けられそうと感じた小松先生を選択することにしました。最初の論文試験に不合格だった後、論文過去問の対策が必要だと感じていた私は、TACの論文答案分析講座に参加した際、松宮先生にお声がけいただき、松宮ゼミを体験しました。そこで、論文過去問を徹底的に分析し、他の新しい問題が来ても冷静に対処できる力を身につけていくという進め方にとても魅力を感じ、松宮ゼミを受講することにしました。

TACの講師、教材、カリキュラムで良かった点、活用したフォロー制度

 私は、1年目は小松先生の1年本科生を受講し、2〜3年目は松宮ゼミを受講しました。そして、1年目で短答式試験を合格することができ、また、3年目で論文式試験に合格することができ、無事最終合格することができました。
 短答対策の講義でよかった点は、短答⇔論文ハイブッド講義(現:基本講義(逐条編))のテキストで、短答の全範囲を逐条的に網羅することができた点です。特に小松先生は、講義の中で、ポイントとなる条文の要件と効果、趣旨を色分けで示し、覚えるべき箇所を明確に示していただけたのが分かり易くて非常に良かったと感じました。また、講義の冒頭や途中でアイスブレイク的に雑談を挟んでくださったのが、単調になりがちな講義の中で、モチベーションの維持に非常に役立ちました。アウトプットに関しては、答練や全国公開模試の難易度が本試を再現するような絶妙なレベルに設定してあり、現時点での実力を測る上で大変参考になりました。このようにインプットとアウトプットを効率良く進めることができた結果、本試では45点をとることができ、短答試験を一発で合格することができました。
 論文式試験の対策で良かった点は、松宮ゼミに参加することができた点です。松宮ゼミの受講を通じて、単に過去問そのものの解き方を身につけるだけでなく、本試で新しい問題と向き合ったときに、柔軟かつ冷静に対応できる力を身につけることができた点が、論文本試で非常に役に立ちました。特に、松宮ゼミで有意義だと感じたのは、他のゼミ生と交流することができた点です。松宮ゼミでは、他のゼミ生が書いた答案に触れる機会があり、その中で、要件のあてはめ方や趣旨の簡潔な記載など、自分よりも優れた記載や表現を見つけて、それを自分の答案に取り入れることができた点が非常に良かったです。また、昨年はコロナの影響で試験が延期になり、モチベーションが低下していたときもありましたが、他のゼミ仲間から声をかけてもらい、自主的に問答をすることで、モチベーションを維持することができました。結果、論文試験は2度不合格を経験し、苦労はしましたが、3度目の受験で特許125点、意匠61点、商標64点の科目平均62.5点をとることができ、無事合格することができました。
 口述対策では、TACの口述模試を受講しました。コロナの影響で各会派の口述練習会がオンライン開催になっていたところ、TACの口述模試は対面での開催だったので、本試の緊張感を疑似体験することができ、非常に有意義でした。

オリジナル学習法

 短答対策として心がけたのは、膨大な範囲の条文の要件と効果を逃げずに地道に覚えるということです。私は、単にテキストや条文を”見た”だけではその内容を覚えられなかったので、条文の要件や効果をひたすら”書く”ことで覚えていました。ただ、実際に手で書くのは時間の効率が悪いので、Excelに条文の要件と効果をまとめたリストを作成しておき、それを再現しては消し、再現しては消し・・・を繰り返すことで頭に定着させていました。そのまとめリストの作成において、短答⇔論文ハイブッド講義と小松先生の色付きチェックが非常に役に立ちました。講義を通じて覚えるべき箇所が明確になっていたので、それを信じて繰り返しインプットを行ったのが良かったと感じております。
 論文対策で心がけたのは、条文力を強化するという松宮先生のアドバイスを着実に実行するということです。まず、私は短答免除の年でも短答模試を受けて短答試験を通過したときの条文力を維持することを心がけました。さらに、条文の逐条的な”横の繋がり”だけでなく、制度単位や四法での異同といった条文の”縦の繋がり”をインプットすることを心がけました。具体的には、エレメンツの目次に記載されている章ごとに、関連のある条文をピックアップしてまとめてインプットしたり、四法対照を縦に読んで各法特有の条文や制度をインプットしたり等、様々な角度で条文のインプットを繰り返しました。このようにインプットの精度を高めたことが、答案構成のスピード強化や項目落ちを防ぐのに役に立ちました。
 口述対策で心がけたのは、必要以上に口述試験を恐れないということです。最初は、合格率が9割を超えているとはいえ、自分が1割に該当してしまうのでは?と不安でしたが、松宮先生が、口述は受からせるための試験だよ、とアドバイスいただいたおかげで、これまでやってきたことを信じて冷静に取り組むことができました。特に、松宮ゼミでは、普段から先生と問答を行っており、問答を通じて質問に対する瞬発力を鍛えられていたことが大変役に立ちました。

直前期の学習方法

 直前期に心がけていたことは、新しいことを始めずに普段通りの勉強を継続するということです。試験が近づくと、不安が大きくなり自信がなくなることもあると思いますが、今までやってきたことを信じて、慌てずにこれまでの勉強を継続することを意識していました。また、必要以上に自分を追い込むことなく、たとえ直前期であっても気晴らしに出かけたり、美味しい物を食べたり、疲れたときは睡眠時間を確保したりするなど、息抜きをしていました。答練や模試については、ただ漫然と受けるのではなく、目標を定めて受けることを心がけていました。具体的には、短答では四法で8割以上をとる、論文答練では60点以上をとる、論文公開模試では足切りの点数を取らない、といった目標を定めて受けていました。

これから受験する人へのアドバイス

 弁理士試験は、理系最高峰とも言われる難関な試験であり、特に論文試験は、短答試験を突破した強者の中でも上位25%以内に入らなければならない苛酷な試験です。そのため、厳しい言い方をすると、「ただ漫然と勉強を続けていればいつか受かる試験」ではありません。論文試験の相対評価で頭1つ抜け出すためには、論文試験特有の勉強のノウハウを身につけることが重要です。TACにはこうしたノウハウが蓄積されており、私は、知財知識ゼロからのスタートでしたがTACの教材を使って、TACの講師陣の教えに従って最終合格することができました。勉強は大変で、時には精神的に辛いときもあると思いますが、苦労するからこそ、論文試験の合格発表で自分の受験番号があった時の喜び、口述試験後にプリンスパークタワーを出て東京タワー越しに晴天を見上げたときの解放感は”格別”なはずです。ぜひ、最終合格を信じて勉強を頑張ってください!

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