2018年度 弁理士合格者座談会 ~合格への軌跡~
VOL3 教材編 ~効率的!テキスト活用術~
──ではその次、テキストの話をしましょう。
今、皆さんのお手元にいろんなテキストが置いてありますが、今日は自分が使ったテキストで一番重要だと思うものを持ってきていただきました。
齋藤 原さんは短答⇔論文ハイブリッド講義(現:基本講義 逐条編)のテキスト、眞田さんは論文解法マスタ―講義(現:基本講義 論文編)の補助レジュメ、堀さんは短答の過去問ですね。髙橋さんも短答⇔論文ハイブリッド講義のテキストです。まず、堀さんにお伺いしたいのですが、短答の過去問をどのように使いましたか?
堀 TACのカリキュラムは、3月の終わりぐらいから1年本科生の講義が始まります。4~5月は月に2回ぐらいしかなかったと思います。何もわからないのですが、最初に過去問をいただいたので、2冊いきなり始めて、その後短答⇔論文ハイブリッド講義テキストが来て、こっちに乗り換えて、またこっちにいってという感じでした。
齋藤 短答過去問は、回数とか、何年分とか含めて、どれぐらい解きましたか?
堀 条約は10年分やりました。商標は5年分で、何回やったかは分からないぐらいやりました。
齋藤 ちょっと見せていただけますか。これ、ボロボロですね。
堀 性格的な問題があるのかもしれません。
齋藤 重要なところはきちんと印をつけたりしていますね。
堀 間違ったところですね。
齋藤 問題を解いて、その後どのような復習をしましたか?例えば、問題を解き、○か×か分かりますね。その先は具体的に何をされましたか?
堀 小松先生がいつも○か×かではなくて、根拠の条文を考えなさいとおっしゃっていました。そこで根拠条文を確認したり、該当箇所のテキストを見たりしました。
齋藤 小松先生の指示通り学習したのですね。
堀 そうですね。
齋藤 素晴らしいですね。1年間の学習で短答50点。60点満点の短答本試験(合格点は39点)で、50点取れるというのは合格者の中でもトップの5%ぐらいです。1年間でやって50点というのはすごいですね。
堀 結果的にはそうですね。
齋藤 答練はご受講されていましたか?
堀 受けていました。
齋藤 点数はいかがでしたか?
堀 よかったです。
齋藤 では、答練を受けるころには知識は固まっていたということですね。
堀 正直なところ、本試験って違うじゃないですか。答練で点が取れたからって本試験で絶対取れるとは限らないから、そこだけは、すごい気をつけようと常に思っていました。それが一番不安だったので。
齋藤 不安でしたか。そうですよね。短答本試験は緊張しましたか?
堀 緊張はしなかったです。
齋藤 受けてみていかがでした?これなら、大丈夫だと思いながら解きましたか?
堀 大丈夫だとは思わなかったですけど、なんか、もう、燃えていましたね(笑)。
齋藤 それは重要ですね。ポジティブに受けるって合格するにはとても重要です。原さんはこの短答⇔論文ハイブリッドテキストをどのように使いましたか?
原 そうですね、1年目は素直に読むのと、分からないところを質問するということを意識して活用しました。2年目は、実際に受けてみて、知識としてはこれをやれば十分だろうというのが頭にありましたので、アウトプット中心にしようと思い、自分の完成度を上げていくという意味で、もう1回復習のために見返していました。このテキストで学習していると短答と論文の過去問にいつも出題されている論点が一目でわかりますので、そこは重視しました。短答の知識では、免除ではない方には、負けたくはないので、短答もできるように勉強していました。
齋藤 そうですよね。短答の勉強をしている時にパッと見て、その問題、その分野が論文でも出題されているんだというのが一目で分かると、もちろん短答を通らなければ論文を受けられないのですが、勉強していく上では短答のテキストと論文のテキストが1つになっているっていうのは…。
原 勉強しやすいと思います。
齋藤 ちなみに、原さんはこれ、どのぐらい使いましたか?ワッ!いっぱい書いてある!
原 テキストよりは条文集にどっちかっていうと書き込んで、読んでいたのは条文集の方です。1回テキストを読んで印を付けたところを、条文集に書き込んで読むみたいな勉強をしていました。その条文集を作るために主にテキストを使っていました。
齋藤 そうですか。分かりました。ありがとうございます。
では、髙橋さんは短答⇔論文ハイブリッドテキストはどのように使いましたか?
髙橋 基本は復習ですね。音声を聞きながら復習…。1年目の短答が終わった後にすぐインプットを始めましたが、大体2回ぐらい回しました。下に日付が書いてあります。
齋藤 本当ですね。すごいですよ!これ、ところどころ貼ってありますよね、別紙とかって。
髙橋 自分で作りました。
齋藤 ありがとうございます。では、眞田さん。眞田さんは持ってきていただいたのが、論文解法マスター講義の補助レジュメですよね。眞田さんの場合は学習期間が8ヵ月なので、そもそも勉強時間がすごく短かったですよね?
眞田 はい。
齋藤 そうなると、論文の勉強って尚更、時間が少ないですよね。そういう中でこのテキストを使ってどのような勉強をしましたか?
眞田 私も基本はこの短答⇔論文ハイブリッドテキストと、短答に向けては過去問だったのですが、カリキュラムの都合上、ハイブリッド講義を受けている途中で、もう論文の答練が始まるっていう…。
齋藤 過酷でしたよね!
眞田 はい、過酷なスケジュールで。商標をまったく習ってないのに商標の論文を書くみたいな、カリキュラムでした。インプットが終わってない時に論文のアウトプットが始まるので、条文集だけ見ていても絶対に書けないと思っていたので、解答時間は守った上で、ハイブリッドテキストとこの補助レジュメを見ながら最初、答案を書きました。この補助レジュメは、主旨とか判例の本当に重要なものだけをコンパクトにまとめてある冊子だったので、基本的に重要なのはここに掲載されています。問題文を読んで、「ここが聞かれているな」ということを確認した後、調べて最初は写すだけになってしまったのですけど、重要なのは繰り返し繰り返し過去問や答練で出題されるので、書いているうちに何となく覚えてというのがありました。あとは、ハイブリッドテキストを持ち歩きたいんですけど、重過ぎるので。電車の中とか移動中は基本的にこの補助レジュメを見て勉強していました。
齋藤 ボロボロです!
眞田 本当に持ち歩き用みたいな感じでした。
齋藤 ちゃんと重要なところを自分で線を引いたり、付箋を付けたりして、書き込みもしていますね。とても原形を留めないくらいすごいですね。
眞田 薄い冊子なので、本番前の前日にザッと読めるぐらいの感じです。前日にまだ知識として入っていないと思う箇所を赤ペンで引いた結果、こんなことになってしまって。結局、全然入っていないということが前日にわかったんですけど。
齋藤 こうやってボロボロになるまで一冊のテキストを使うというのは…。
眞田 1年でと思っていたので、もう来年までこれを使うことはないって、何となく追い込む意味でも今年だけでボロボロにしようみたいなのがありました。
齋藤 短期で受かる人って、1つのテキストを、使い込む方が多いですね。