人事担当者に聞く「今、欲しい人財」 第24回 株式会社インターネットイニシアティブ

Profile

遠藤 孝之氏

株式会社インターネットイニシアティブ
人事部 人事採用課 課長

新卒で日立製作所に就職。2006年、IIJのグループ会社アイアイジェイテクノロジーに転職し人事部へ。グループ会社への出向を経験し、2011年にIIJへ帰任後は、採用から研修、人事制度関連など幅広く人事業務を経験。現在に至る。

株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)は、1992年、日本で初めての国内インターネット接続事業者として創業した。以来、IT業界のパイオニアとして、ネットワーク、クラウド、セキュリティ、モバイル、システムインテグレーションへと事業領域を拡大している。常にゼロから自分たちの手でサービスを作ってきたIIJでは、どのような人材が活躍しているのか。その採用戦略と人材開発、求める人物像について、人事部人事採用課課長、遠藤孝之氏にうかがった。

国内インターネット接続事業のパイオニア

──株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)とは、どのような会社ですか。

遠藤  IIJは、1992年に日本初のインターネット接続事業者として創業しました。インターネット接続事業で培った高い技術力をベースに、クラウドをはじめとするアウトソーシングサービス、WANサービス、システムインテグレーション(SI)などをトータルに提供するソリューションプロバイダーとして事業領域を拡大してきました。
 ネットワークに関わるあらゆる要望にワンストップで応える企業として、業界・業種・利用者シーンを問わず、ビジネスで必要とされるITソリューションをトータルで設計・構築・運用できるのも強みです。また、大手・中堅企業や官公庁を中心に約1万2,000社がIIJグループのサービスを導入し、業界トップ10企業へのサービス浸透率をみても、電機、情報・通信、証券、建設、保険業界において100%を達成しています。メインはあくまでBtoBですので、皆さんの日常生活の身近なところで使用しているシステムやサービスを、私たちIIJが黒子のように裏側でサポートしています。
 IIJは自分たちの手でゼロからインターネットサービスを作ってきました。ベンチャー企業として誕生してから30年近くが経ち、社員数もIIJ単体で2,191人、連結で3,795人となっています(2020年6月30日現在)。インターネットを誰もが気軽に安心して使えるインフラにしたいという想いから、現在では多様なインターネット関連サービスを提供する企業に成長しています。

新卒・中途ともに年間100名規模で採用

──採用活動について教えてください。

遠藤  当社では新卒採用と中途採用を行っていて、ここ数年は、新卒採用は約100名、中途採用は約100〜120名といった規模感で採用を行っています。
 中途採用は年間を通して募集しており、技術職が採用人数の多くを占めています。事業領域や技術領域ごとに細かく募集職種を設定していますが、これは求めている人物像やスキルセットをきちんと伝え、当社にマッチした人材の採用を行うためです。

──新卒採用では、どのような採用を行っていますか。

遠藤  新卒採用では総合職(技術職・営業職・スタッフ職)と一般職(ビジネスサポート職)を合わせ、毎年100名ほど採用しています。新卒も採用人数としては技術職の割合が高く、約6割が技術職、3割が営業職、1割がビジネスサポート職、そしてスタッフ職が若干名となっています。2020年4月入社の新卒は111名で、技術職66名、営業職29名、ビジネスサポート職16名でした。

──採用活動にあたっては新型コロナウイルスの影響も大きく受けたかと思いますが、2021年の新卒採用はどこまで進んでいますか。

遠藤  2021年4月入社の採用はほぼ終了しています。今年2月中旬に選考をスタートした時点では新型コロナウイルスの話題が少しずつメディアで取り上げられるようになってきた程度でしたので、まだ対面での説明会と面接を実施していました。ただ、影響が大きくなってきた3月末頃からは、すべての説明会と選考をオンラインに切り替えました。ですから、会社に一度も足を運ぶことなく内定した方も一定数いますね。
 内定者とのやりとりもすべてオンラインで行っており、8月には内定者懇親会をオンラインで4回に分けて開き、内定者同士で親睦を深めてもらいました。

──新卒採用の選考ステップをお聞かせください。

遠藤  エントリーシートを提出していただいてから、説明会、適性検査、1次面接、2次面接、最終面接、そして内定という流れになっています。

──採用活動が途中からオンラインに切り替わったことで、不都合を感じたことはありますか。

遠藤  対面型の面接では、入室する際の立ち居振る舞いから見ることができますが、オンラインでは着席した状態で画面がつながり、相手のバストアップしか見えません。場合によっては接続がうまくいかずに、映像や音声が乱れたりする中で面接しなければならないこともありました。ただ、そのような状況の時は、接続をし直したり、途中で音声を電話に切り替えたりすることで、できる限り皆さんに普段通りの力を発揮してもらえるよう、臨機応変に対応をしながら面接していました。

入社式は時期をずらし6月に実施

──2020年の入社式はいつ頃、どのような形で実施されたのですか。

遠藤  入社式は4月には実施しませんでした。ですから入社式を行わないまま、まずは新入社員にパソコンを渡し、入社翌日からリモートで新入社員研修を受講してもらいました。その後、新型コロナウイルスの状況が少し落ちついた6月に入社式を実施し、会長・社長からの激励の言葉を伝えました。現在は状況を見ながら、部署ごとに出社とリモートの判断をしています。

──2021年入社予定の内定者の方に対して、研修などは行うのでしょうか。

遠藤  今のところ入社前に研修などを実施する予定はありません。会社によっては資格取得を奨励するところもあると思いますが、当社は特に入社前の段階で課題を課す予定はありません。内定者向けにSNSを開設し、人事から情報連絡は行っていますが、まずは内定者一人ひとりに残りの学生生活を充実させていただきたいと思っています。

──2022年採用に向けて、どのような選考を進めていますか。

遠藤  すでにインターンシップを実施しています。今年はすべてオンラインで実施中なのですが、こちらの温度感が学生の方々に伝わりづらいと感じています。昨年まではインターンシップ終了後に個人やグループ毎にフィードバックも行っていたのですが、画面越しだとそういったこともやりづらくなります。対面で実施すれば、グループ内での役割分担や一人ひとりの動きも俯瞰して見ることができるため個人の特徴をつかみやすいのですが、画面を通すとそういったことがわかりにくいのです。とはいえ学生の方々には、インターンシップを会社や仕事理解にとどまらず一人ひとりの成長の場としてとらえていただきたいので、より効果的なやり方がないか日々試行錯誤しながら実施していますね。一方で、これまでなかなかお会いしづらかった遠方の学生にも気軽に参加していただけるのはオンラインの良さだと感じています。

100名規模のリクルーターが活躍

──リクルーターがいると聞きましたが、どのような社員が務めるのですか。

遠藤  新卒採用において、入社1年目から5年目くらいまでの若手を中心に、100名強の社員にお願いして採用活動に協力してもらっています。選考前の段階では、出身大学の研究室に戻って会社説明をしてもらったり、また当社に興味のある学生の面談対応などをしてもらったりしています。本選考においては、内定後に迷っている学生がいたら、同じ属性のリクルーターから会社や仕事の理解を促してもらうなど、長期間にわたって採用活動をサポートしてもらいます。非常に大きな戦力ですね。

──リクルーターの方の役割は重要なのですね。

遠藤  人事担当者が話すより、研究室やサークルの先輩が「IIJ、いいよ!」と言ってくれたほうがよほど心に刺さりますよね。実際に当社には、研究室など先輩社員とのつながりで入社してくれる学生も多いです。リクルーターの協力なしに採用は成功しないと思っているくらい頼もしい存在ですし、忙しい業務の合間を縫って協力してくれていますので、本当にありがたく思っています。

自己実現をサポートしてくれるIIJの企業風土

──「こんな人に来てほしい」というIIJの求める人物像を教えていただけますか。

遠藤  インターネットの普及とともに多様化するお客様のニーズに応え、新たな価値を持つIT環境を提案しつづけることがIIJのコアだと考えています。したがって、技術職はもちろん営業職でも、まずはインターネットに対する興味や知的好奇心があることを大切にしています。
 それから、何事にも自分なりの意志を持って主体的に行動できることです。勉強でもサークルでもアルバイトでも、何かひとつのことを自分なりの意志を持ってやり遂げてきた経験があるかどうかが大事だととらえています。入社すると「どんなことをやっていきたいのか」と意思を問われる場面があるのですが、そういった思いの有無によって、仕事に対する取り組み方も変わってくると思っています。「こういうことをやっていきたい」という思いを持ち、それをベースに周囲を巻き込んでいる社員はとてもイキイキと仕事をしているように見えますね。
 もちろん、ただ意向を聞くだけではなく、例えば面談で上司が本人の話をじっくり聞いたあとに意向を汲んだ形で仕事の調整をしたり、また異動希望についても、中長期的に見てその異動が本人のキャリア形成にとってプラスになると上司が判断したら、それに向けてきちんとあと押しする体制になっています。

──入社後の研修制度にはどのようなものがありますか。

遠藤  新人研修は、まずは4月の1ヵ月間は全員で会社のしくみやビジネスマナーなどについて学びます。5月からは職種別に研修を行い、その後各部署に配属となります。
 各部署に配属されると、全員にトレーナーと呼ばれる先輩社員がついて、1年間日々の仕事やメンタル面でのフォローをします。1年目の終わりには新人全員に再び集まってもらい、振り返り研修を行います。
 2年目以降は職種別研修やOJTが中心になり、部署ごとに必要な知識を社内外でトレーニングしています。ビジネススキル系の研修に関しては、カフェテリア形式の研修も用意しています。

──資格取得に関してはどのように評価していますか。

遠藤  何か特定の資格があるからといって、それだけで採用を決めることはありません。ただ、体系的に知識を習得するために資格取得は有効な手段ですし、専門領域の資格があれば「こういう知識を持っている」という一定の判断材料にはしています。
 社内には技術系から管理系まで幅広い資格を対象とした資格取得支援制度があり、会社が定めた資格を取得した場合には、受験料を補助しています。資格取得はあくまで自己啓発の一環としてとらえていて、資格を取得したあとで、それをどう自分のやりたいことに活かしていくのか、いかにアウトプットしていくのかという部分のほうに重きを置いています。

──人事制度や福利厚生の中で「これは知っておいてほしい」というものがあればご紹介ください。

遠藤  2019年から導入している「テックチャレンジ」は、新しい技術やサービス開発を促進することをねらいとして、自ら考えたテーマが採択されると、1年間その開発に専念して取り組める制度です。一人ひとりのアイデアの実現をあと押しする制度で、職種不問で応募することが可能です。また「グローバルチャレンジ実務研修制度」は、若手社員が当社の海外拠点で一定期間、実務を通じて異文化で仕事をすることにより、多様な価値観を養い、広い視野をもつ人材を育成することをねらいとした制度です。
 これらは自ら希望してエントリーする制度になっており、こういった一人ひとりのチャレンジを支援するのもIIJの大きな特徴だと思っています。

──スキルアップや資格取得をめざしている方々に向けてメッセージをお願いします。

遠藤  当社社長が常に言っているのは「職場は自己実現の場である」ということです。一人ひとりの社員に、会社で成し遂げたい「何か」を持っていてほしいと思っています。
 今、資格取得をめざして勉強されている方も、同じように資格を取った先に叶えたいことや、やっていきたいことに対する強い思いがあると思います。IIJは事業領域も広がっており、必ず皆さんの思いが実現できるフィールドがありますので、ぜひそういった思いを持った方にチャレンジしていただけたらと思います。

[『 TACNEWS 』2020年11月号|連載|人事担当者に聞く「今、欲しい人財」]

会社概要

社名    株式会社インターネットイニシアティブ
設立    1992年12月3日
代表者   代表取締役会長 鈴木 幸一(CEO)
      代表取締役社長 勝 栄二郎(COO)
本社所在地 東京都千代田区富士見2-10-2 飯田橋グラン・ブルーム

事業内容

インターネット接続サービス、WANサービスおよびネットワーク関連サービスの提供、ネットワーク・システムの構築・運用保守、通信機器の開発及び販売

従業員数

単体 2,191人 連結 3,795人  (2020年6月30日現在)

URL: https://www.iij.ad.jp/

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