特集 2024年度外務省専門職員採用試験合格者インタビュー
言語を駆使して日本や世界のために働きたい
外務省専門職とは、日本の国益を守るため国際社会を舞台に活躍する外交官のことです。言語・地域・専門分野で強みを持ち、外国との交渉や文化交流、情報分析や邦人保護活動を行います。今回は、2024年度外務省専門職員採用試験に合格したTAC・Wセミナーの内定者3名に、外交官をめざしたきっかけや、入省後に取り組みたいことなどを語っていただきました。
※WセミナーはTACのブランドです。

左から
■大楠 晃介(おおくす こうすけ)さん
千葉県出身
慶應義塾大学法学部(在学中合格)
受講コース:セレクト憲法本科生(教室+Web講座、新宿校)
受験言語:英語
外務省での研修語:英語
■大山 禎心(おおやま ていしん)さん
神奈川県出身
国際基督教大学教養学部(在学中合格)
受講コース:セレクト憲法本科生(教室+Web講座、新宿校)
受験言語:英語
外務省での研修語:フランス語
■坂田 凜子(さかた りこ)さん
熊本県出身
上智大学外国語学部(在学中合格)
受講コース:2年本科生(教室+Web講座、新宿校)
受験言語:英語
外務省での研修語:フランス語
「人のため」に言語を使うことに大きな充実感があった
──外務省専門職員をめざした理由を教えてください。
坂田 外務省専門職という仕事は、高校生のときに知りました。通っていた塾の先生がオーストラリアの領事館で働いた経験のある方で「世界で起こっていることは自分の目で実際に見たほうがいい」と、この仕事を勧めてくださったのです。当時から外国語を使って仕事をしたいと考えていたので、魅力的な職業だと感じました。大学ではフランス語を専攻したのですが、関連する授業を受けていくうちに、フランス語圏であるアフリカに興味を持つようになりました。そして大学3年生の夏に、駐日カメルーン大使館で1ヵ月間のインターンシップを経験したことで、日本人の外交官として日本のため、そして、日本とアフリカの関係が更に深いものになるよう貢献したいと強く思い、受験を決めました。
大山 父の仕事の関係で、中学1年生まで海外で暮らしていました。日本での在住歴が長くなるにつれて、向こうで使っていたフランス語を忘れつつあることに気がつき「このままでいいのだろうか」と思うようになりました。そこで、大学1年生のときに東京オリンピックの選手村食堂のアルバイトに応募し、フランス語や英語を使いながら国際的なイベントに関わる機会を得ることができました。友だちと交流するためではなく、人のために言語を使うことに今までにない充実感があり、語学力を活かして日本と外国との関係を深めていく外務省専門職に興味を持ちました。また、キャリアを通じて、国際関係に関わる業務に幅広く携わることができること、様々な国籍の人と出会えることにも惹かれ、志望しました。
大楠 もともと「日本のために仕事がしたい」「海外で働いてみたい」と思っていましたが、具体的にどのような職業に就くべきなのかがはっきりしない状態でした。そこで、大学でいろいろな経験を積もうと思い、国際政治を学んだり、留学生と日本の中高生が交流できるインターンシップの企画を運営したり、インドへの一人旅にチャレンジしたりしました。その過程で他国の文化に受け入れてもらえる喜びや、「日本のよさ」を伝えることの重要性を実感しました。「日本の代表として海外で働きたい」「今後も日本が他国から尊敬される国であり続けるために自分の力を発揮したい」と願うようになり、外交官をめざすことにしました。
──勉強を始めたタイミングや、TAC・Wセミナーを選んだ理由をお聞かせください。
坂田 2022年4月、大学2年生の春にTACへ入会しました。大学受験の経験から、志望先に特化した試験対策の重要性を痛感し、独学では厳しいと判断したからです。また、自分は短期間で詰め込むよりも、長期的にコツコツ勉強するほうが成果が出るタイプなので、早めにスタートを切りました。受験期を振り返ってみると、意外と時間に余裕がなかったので、この時期に始めておいてよかったと思います。
大山 大学3年生の2023年4月に受講を開始しました。外務省専門職員採用試験は試験科目も多く国際法や憲法が未習だったため、坂田さんと同様に受験を決めたときから独学ではなく受験指導校の利用を考えていました。TACを選んだ理由のひとつは、国際法の体験講義です。条文を読むだけではなく、国の動きによって法が作られたりすることや、また法によって国が変わっていく様子が手に取るようにわかり「ダイナミックな科目だ!」と感動しました。こんな講義なら楽しみながら勉強できそうだと感じ、実際その通りになりました。
大楠 私は大学3年生の2023年8月です。それまで「日本のために働きたいが、海外でも働いてみたい。その2つを満たせるものは?」と一人で悶々と悩んでいたのですが、家族に相談してみたところ「外交官」が選択肢に浮上しました。それまで、”外交官とは東大に入るような優秀な人しかできない雲の上の仕事”と勝手に思い込んでいたのですが、外務省専門職試験は努力すれば手が届く試験だとわかり、1週間後にはTACで勉強を始めていました。 TACを選んだのは、国際法や憲法を論述形式で書けるようになるためにプロに教わることができる点と圧倒的な合格実績に納得したからです。

入省後にやりたい仕事から逆算して科目を選択した
──専門試験の選択科目はどのようにして選びましたか。
坂田 私は経済学を選択しました。「アフリカ地域における外交に携わりたい」と考えていて、日本との経済的な関わりの重要性が高まっている中、経済学の知識が将来的に役立つときが来るのではないかと思ったからです。経済学を選択する方は少ないので心細い気持ちもありましたが、講義のあとにすぐ質問ができる上に、ニュースを見てインフレ等の経済状況について自分で考えて理解できるようになったので、経済学を選択してよかったと思っています。
大山 憲法・経済学いずれも未習だったのですが、数字を扱うことに対して苦手意識があったので迷わず憲法を選択しました。憲法の勉強を通じて、問題文を丁寧に読みこむ習慣が身についたり、論理的に一貫した文章を書く力がつき、国際法や時事論文にも活かすことができました。個人的にはとても満足しているのですが、2次試験の志望動機で開発協力のことを書くときに「経済を選んでもよかったかな」と思ったことも事実です。迷う場合は、食わず嫌いをせずに両方の体験講義を受けてみることをおすすめしたいです。
大楠 法学部に所属しているので、憲法に少し触れたことがありました。また、大学受験で世界史を選択したとき、少ない時間で暗記することが比較的得意だったことを思い出し、暗記量がものを言う憲法を選択しました。
──受験勉強中はどのようにモチベーションを維持しましたか。
坂田 講義があるときは、忙しくてもTAC新宿校に通うようにしていました。ほかの受講生と一緒に勉強することで刺激を受けられ、戦友も見つけることができたのでやる気が低下しても「またがんばろう」と何度も思えました。また、毎年7~8月に外務省が説明会を開催することが多いのですが、積極的に参加することで仕事に対する理解が深まり、「自分が外交官として実現したいことは何か」を考えることで高いモチベーションを受験勉強中、維持し続けることができました。
大山 モチベーションを維持する上で、私にとっても同じ外務省専門職をめざす戦友の存在が大きかったです。特に論文答練(答案練習)期は、TAC新宿校で仲良くなった友人と毎日のように朝から晩までビデオ通話をつなぎ、お互いに集中している姿を画面に映しながら勉強していました。思うように進まず苦しさを感じるときも、友人の姿を見ると「もう少しやってみよう」と踏ん張れました。また、勉強終わりにしていたなにげない雑談がよいリフレッシュになっていたと思います。
大楠 自分が外交官になって、海外でプライベートな時間も楽しんでいる姿をイメージしてモチベーションを上げていました。漠然とではなく具体的に「初の海外赴任先は太平洋の島国。28歳で次の赴任地アメリカへ行く」と想定。週末に海でサーフィンを楽しんでいる自分や、バイクの免許を取得してアメリカ合衆国本土を東西に横断しているRoute66を走っている自分を想像していました。そうすることで「自分は将来外交官になるんだ」と思い込むことができ、「受かるかわからない」という不安が払拭されたように感じます。

いい意味で日本への固定イメージを覆したい
──受験勉強を通して心がけてきたこと、おすすめの勉強法や書籍などはありますか?
大楠 大山さんが「体験講義で国際法のおもしろさを知った」とおっしゃっていましたが、私も憲法や国際法を学ぶことが楽しくてたまりませんでした。試験勉強にどう活きるかはあまり考えず、大学の図書館で国際法や憲法の書籍を興味の赴くままに読むことも多かったです。いつも「法学の世界は奥深いな。こんなに楽しい勉強をがんばれば就職先が得られるなんて、私はなんて恵まれているんだ。」と考えていたため、模試で点数が取れずに悔しいことはあっても、勉強自体には辛さを感じませんでしたね。好きになれる科目を選択して、勉強をできる限り楽しめるといいと思います。
大山 数的処理がまったく解けなかったり、国際法の答案を作成するのに手間取ったり、論文答練中に集中力がもたなかったりと、受験勉強中は何度も壁にぶつかりました。その度に落ち込んでいたのですが「今できなくても本番でできたら大丈夫。できていないことを攻略しよう」と切り替えるようにしていました。また、2月から始まる論文答練を本番の予行演習としてフル活用していましたね。「2週間に1回」の合計6回、専門科目の予想問題を試験本番と同じ時間で解くのですが、この論文答練を通じて、就寝時間や起床時間、食事、勉強以外の時間の過ごし方まで細かく決めて練習することができました。ここで試行錯誤ができたので、本番で予想外のことが起きたときも冷静に対処できました。
坂田 私の場合、自宅ではテレビやインターネットなどの誘惑がたくさんあって集中できなかったので、大学の図書館に毎日通い勉強していました。勉強内容は一週間単位でやるべきことを決めてそれをこなすようにしていました。ただ、やるべきことに縛られすぎてしまう傾向があるので、プレッシャーを感じないようには気をつけていました。受験期は長丁場なので、「今週できなければ来週にしよう」という柔軟性は必要だと思います。
──校舎での学習(ライブ講義など)と在宅などでの学習(Web視聴など)をどのように使い分けていましたか?
坂田 基本的には講義があるときはTAC新宿校に通い、復習の際にWeb視聴を利用していました。校舎でのライブ講義で理解できなかった箇所は、動画を何回も視聴することで完璧にしていました。
大山 普段の学習は自宅で行っていて、教養科目などWebで視聴する教科は自宅で受講していました。一方で国際法や憲法などの専門科目はライブ講義で受講していました。ライブ講義では適度な緊張感を持ちつつ講義を受けることができ、また講義後に分からないところを気軽に質問できたところがよかったと感じています。さらに同じ校舎で受けている他の受講生と仲良くなるきっかけになったと思います。
大楠 国際法と時事講義をTAC新宿校で受講し、それ以外の科目はWebで受講しました。2023年の11月末まで忙しく、あまり時間が作れなかったのですが、Web講義があることで問題なく受講を進めることができました。
──民間企業や他の試験種との併願状況について教えてください。
大山 語学力を活かせるという点と外務省専門職員採用試験と試験科目が似ていて対策がしやすい防衛省専門職員採用試験を併願しました。公務員と民間企業では就職活動の方向性が違うと感じていたので、民間企業へのエントリーは考えませんでした。
坂田 私も防衛省専門職員採用試験と、国立大学法人等職員の採用試験を受けました。民間企業に関しては、幼いころから「人のため、社会のために働きたい」と考えていたので受験はしませんでした。
大楠 私も防衛省専門職員採用試験を併願しました。安全保障に関心があったので志望動機が作りやすかったです。民間企業は海外勤務の可能性が高いところを回りましたが、通過することができませんでした。私自身も、民間企業の面接を受けるより、外務省専門職員採用試験の勉強をするほうが肌に合っていたと感じます。
──入省後はどのように活躍したいですか。
坂田 フランス語研修になったので、自分の語学力、そして大学で得た知識を活かすことで日本とアフリカ諸国との関係がより深く、強固なものになるよう貢献したいです。アフリカ諸国の中では、日本の知名度はかなり低いため、まずは「日本という国がある」ことを知ってもらうことから始めなければなりません。だからこそ、日々出会う人々とのつながりを大切にし、市民の一人ひとりに対話で日本のよさを伝えていくような、地道な活動をしていきたいと思います。また、対話には、信頼が必要不可欠です。相手の文化を理解することや、約束を必ず守る、といったことなどの積み重ねを通して、信頼を築いていきたいです。
大山 入省後は幅広く様々な業務を担当しながら経験を積み、徐々に自分の専門性を確立させていきたいと考えています。また周りから「フランス語といえば大山さん」と思ってもらえるくらい、フランス語の通訳技術を向上させたいです。フランス語は、使う国や地域によって好まれる話題や語彙、トーンが違うので、話す相手にとって心地よい会話ができるようさらに研鑽を積みたいです。
大楠 大学のベンチでのんびりしている私を見て、ドイツからの留学生に「君は本当に日本人なの? 日本人はいつもセカセカしているよね」と話しかけられたことがあります。これがきっかけで、彼とは友人になりました。海外でも日本人は「忙しない」という印象が強いようです。マイペースに構えられるところは自分の強みでもあると思うので、いい意味で日本に対する固定イメージを覆せるよう、どのような国の人ともフランクに接していきたいと考えています。外交はマクロな視点で見れば、国と国との利益のぶつかり合いですが、ミクロな視点で見れば人と人との付き合いです。どちらの視点も大切にしていきたいです。

TACにいれば全体の中での自分の立ち位置がわかる
──外務省専門職をめざすにあたり、経験していてよかったことや、経験すべきと思うことはありますか。
坂田 大学での国際交流など、様々な国籍、バックグラウンドを持つ方と関わることができたことがよかったです。また、駐日カメルーン大使館でインターンシップに参加させていただき、実際に外交の現場や仕事の内容を知ることができたのは、志望動機を考えるうえで非常に貴重な体験でした。私はもともと、新しいことを始める前は考えすぎて不安になるタイプです。しかし、「やった後悔」より「やらない後悔」が残るのは避けたいと思いました。そこで、「大学時代はイベントなどの誘いがあったら基本的に『やる』」とあらかじめ決めておき、海外との接点をできるだけ持つことを心がけていました。
大山 私も大学時代、東京オリンピックのアルバイトや国際物理オリンピックのボランティアを通じて、海外の方と直接交流する機会を持てたのはとてもよかったと感じています。留学は外国の方と交流する最たる例かとは思いますが、最近は訪日外国人が増えてきていると思うので、日本国内で外国の方と接するアルバイトなどを探してみるのもいいのかなと個人的には感じています。
大楠 私はやはり、海外への一人旅を経験しておいてよかったと思っています。一人旅では、旅程の決定からタクシー運転手との交渉など、すべて一人で行うため決断力や危機管理能力などが必要となります。また、日本では考えられないようなトラブルにも遭遇しましたが、現地の友人に助けられたことで、その国や人への尊敬の気持ちが芽生えたことも忘れられません。新しい出会いが多くあることも魅力なので、時間のある大学時代にぜひ経験してほしいと思います。
──TAC・W セミナーを利用する中で、印象に残っていることがあれば教えてください。
坂田 井能先生と毎月カウンセリングを行うことで進捗状況を確認でき、「合格するためには何が必要か」を見失わずに勉強に励むことができました。また、合格者アドバイザーの方々のアドバイスのおかげで志望動機を完成させることができ、何回も面接練習を重ねることで自分の改善すべき点がわかるようになりました。対策が万全だったため、本番ではより自然な姿で受け答えをすることができたと思います。
大山 私も井能先生と合格者アドバイザーの方によるカウンセリングが大きな支えになったと感じています。特に心に残っているのは、井能先生による論文答練の総評です。各教科の出来などを振り返ったあとに有名な本の一節を紹介されたり、「今はとても大変な時期だと思いますが、がんばってください」という温かいメッセージがあったりしました。それがとても励みになって、先生のメッセージを読むためだけに総評を開いたこともありました。
大楠 一人で黙々と勉強をするのが公務員試験だと思っていたので、お二人がおっしゃっている通り、担任講師や合格者アドバイザーなど、親身に相談に乗ってくれる人がたくさんいることが心強かったです。さらに、合格者占有率が高いので、受験生全体の中での自分の立ち位置がわかり「ここでがんばれば合格できるんだ」と安心感を得られました。仲間や味方に支えられ、外交官になるという夢をめざし努力したことは、間違いなく私の青春です。

──これから身につけたいスキルや知識について教えてください。
坂田 これから多くの人と関わることになるので、コミュニケーション力、語学力を高めていきたいです。また、多くの交渉の場に立ち会うことになり、日本の国益を実現するために日本の立場を表明しなければならない機会があると思うので、物事を論理的に説明できる能力を身につけていきたいです。
大山 研修語であるフランス語の向上はもちろんですが、それに加えて基礎体力を向上させたいです。入省1年目から国際会議の準備や国会対応などハードな仕事も少なくないので、ランニングやサイクリングを楽しみながら身体も鍛えていければと思います。
大楠 私もまずは、研修語である英語を問題なく業務で使えるレベルまで引き上げたいです。英語は話す人のバックグラウンドによって、発音や使う単語もまったく異なります。どのような人の英語も正確に聞き取れるよう、世界各国の「英語アクセント」の特徴をつかみ、その母国語にも関心を寄せていきたいと考えています。
──外務省専門職をめざす方々へのメッセージをお願いします。
坂田 外務省専門職に合格するまでの道のりは長く苦しいため、挫折しそうになるときもあると思います。私も「楽なほうに逃げたい」と思った瞬間が正直に言うとありました。でも、「日本、そして世界のために働きたい」という初心を忘れなければ必ず道は開け、努力は人生を豊かにしてくれると思います。迷われている方、少しでも興味がある方はぜひTACに足を運んでみてください。
大山 ほかの合格者の方と話をしていると、これまでのバックグラウンドから各教科の勉強法、受験期の過ごし方まで、一人ひとり本当に違っていると感じます。試験勉強中は他の受講生と自分を比べて落ち込むこともあると思いますが、周りを気にしすぎず「じゃあ自分はどうやろうかな?」という視点を大切にしてください。応援しています!
大楠 「外交官」や「公務員試験」はハードルが高いイメージを勝手に持っていましたが、挑戦してみたことで、もっと身近で恐れなくていいと実感することができました。夢に向かってがんばっている人は、キラキラと輝いて見えます。ぜひ合格までの過程も楽しみながら外交官への道を歩んでください。

[『TACNEWS』 2025年2月|特集]