特集 2021年度公認会計士試験合格者にインタビュー
「企業監査」を独占業務に持ちながら、近年では監査業務に留まらず多方面での活躍をしている公認会計士。その魅力やコロナ下での学習について、 2021年度試験で大学在学中合格を果たした福井歩さん、相澤秀太郎さんにインタビューしました。
左から
福井 歩(ふくい あゆむ)さん
2000年9月生まれ(21歳)
北海道大学経済学部3年生(在学中)
相澤 秀太郎(あいざわ しゅうたろう)さん
2000年9月生まれ(21歳)
東北大学経済学部3年生(在学中)
※年齢・所属は2022.3.1時点
徹底したスケジュール管理と
フォロー制度の活用で一発合格!
【福井 歩さん】
2000年9月生まれ(21歳)
北海道大学経済学部3年生(在学中)
※年齢・所属は2022.3.1時点
・合格までの受験回数: 短答式試験1回、論文式試験1回
・受講コース: 1.5年S本科生(札幌校ビデオブース講座)
・学習期間:1年7ヵ月程度
・学習開始時の簿記レベル:日商簿記検定2級合格
──この度は現役での公認会計士(以下、会計士)試験合格おめでとうございます。福井さんは大学1年の冬からTACで学習をスタートされていますが、会計士という職業をめざされたきっかけを教えてください。
福井 高校1年生のときにアーチェリー部に在籍していたのですが、けがをしてしまい図らずもまとまった時間ができたので、「将来役立ちそうな資格」として、日商簿記検定2級を取得しました。勉強を通して簿記のおもしろさを知り、漠然と将来も会計系の仕事がしたいと思っていました。東北大学のオープンキャンパスに参加すると、会計大学院の方が会計士について紹介しているブースがあって。そこで話を聞いて、会計士の将来性や描けるキャリアを知り、これは自分にぴったりの仕事だと思ってめざすことを決心しました。
──受験指導校としてTACを選んだ理由を教えてください。
福井 日商簿記を勉強した際に使用していた市販のテキストがTAC出版のものだったので、TACという名前は元から知っていました。大学の生協でパンフレットやポスターを見て、札幌駅から近い場所に校舎があり、そこで会計士の対策講座が開講されていると知って、実際に校舎へ話を聞きに行ったところ、受付の方が親身に相談に乗ってくださって。講師が会計士の合格者で、札幌にいても質問や相談がきちんとできる体制が整っているとわかったので、「ここでなら合格できそうだ」と思い、TACを選びました。
──ビデオブース講座(校舎に通学し個別のブースで映像講義を見て勉強する形式)で受講されていたのですよね。どのように学習ペースやモチベーションを保っていましたか。
福井 コースの開講時期に対して比較的遅めのスタートだったので、講義の進度に追いつくのに半年かかりましたが、それ以降は基本的に映像講義の配信スケジュールに沿って勉強していました。教室講座と異なり一人で勉強をする形になりますが、久野先生や平林先生にオンラインで質問できる機会があって、それが支えになっていましたね。最初は講義の疑問点をすべて自分で解消しようと時間をかけてしまったり、この勉強法で大丈夫なのかと不安になったりもしましたが、こういったフォロー制度を活用することで、孤独感を感じずモチベーション高く最後まで勉強できたと思っています。
あとは旅行が好きだったので、モチベーションが上がらないときは、気分転換にドライブやサイクリングによく行っていました。「直前期に1日中出かけられるくらい余裕があるのだから、試験も絶対大丈夫」と、自分に暗示をかけていましたね。
──大学の勉強との両立に苦労されるケースもあると聞きます。福井さんはいかがでしたか。
福井 ちょうど大学1年の冬あたりからコロナ禍に突入し、大学2年からは大学のすべての授業がオンライン受講になりました。そのため移動時間を節約できたり、好きな時間に受講できる講義もあったりと、会計士の勉強とうまく組み合わせてスケジュールを組むことができたので、比較的両立はしやすい環境にあったと思います。それでも論文式試験直前の大学3年の夏は、ゼミの発表準備も立て込んでいて、勉強時間の確保に苦労しましたね。この時期は頭を切り替えるのが大変だったので、大学の勉強に専念する日と、会計士の勉強に専念する日とを分けて、メリハリをつけて学習していました。
──コロナ禍という状況をプラスに捉えて、効率的に勉強を進めていったのですね。そのほかにも勉強方法で工夫されていたことはありますか。
福井 大学受験のときから継続している勉強法ですが、勉強の進捗状況や間違えやすい箇所などを可視化することです。具体的には、Excelでスケジュール表を作成した上でマーカーを引きながら進捗を管理したり、ミスの原因をノートに書き留めてあとから見返せるようにしていたりと、「なんとなく」ではなくて、自分が今どういう状況にあるのかを確実に把握しながら勉強を進めることを意識していました。効率的に勉強できますし、自分のこれまでの努力も目に見えてわかるようになるので、モチベーションの維持にも役立ちます。
──徹底した学習管理が合格の決め手だったのですね。
福井 はい。TACのカリキュラムをこなしていけば、試験を有利に戦えるはずだと信頼を置いていたので、いかにカリキュラム通りにこなしていけるか、そして勉強したことを確実に習得できるかの勝負だと思っていました。テキストを読み込んだり、間違えた問題を解けるまで繰り返したり、地道な勉強をコツコツ積み重ねることで、大学1年の1月に勉強をスタートして、大学3年の5月に短答式試験に合格、大学3年の8月に論文式試験に合格という、望んでいた通りの結果を出すことができました。
──大学卒業後はどんな仕事がしたいですか。
福井 すでに監査法人への内定が決まっていて、大学在学中も非常勤として働くことになっています。まずは監査法人で経験を積んで力をつけていきたいですね。ゆくゆくは、大学で学んでいるITの知識も監査の仕事に活かせたら良いなと思っています。
── 描けるキャリアが多彩なのが会計士の魅力でもありますから、福井さんの今後が楽しみですね。では最後に、これから会計士の勉強を始めようと思っている方に向けてメッセージをお願いします。
福井 講師のアドバイスを素直に受け入れて実践することが合格への近道だと思います。会計士試験は決して簡単な試験ではありませんが、講師、カリキュラム、テキストを信じて、TACが提供しているフォロー制度などもフル活用して、合格をつかみ取ってください。
──ありがとうございました。
答練の成績をベンチマークに、
簿記知識ゼロから在学中合格!
【相澤 秀太郎さん】
2000年9月生まれ(21歳)
東北大学経済学部3年生(在学中)
※年齢・所属は2022.3.1時点
・合格までの受験回数: 短答式試験1回、論文式試験2回
・受講コース: 2年L本科生(仙台校教室講座)
・学習期間:2年4ヵ月程度
・学習開始時の簿記レベル: 簿記知識ゼロ
──簿記知識ゼロから公認会計士(以下、会計士)の勉強をスタートし、在学中に合格された相澤さん。会計士受験を決めたのは何がきっかけだったのでしょうか。
相澤 大学受験対策として通っていた学習塾がきっかけです。そこは全国規模で展開している塾でしたが、OBの方も気軽に遊びに来るようなアットホームな雰囲気の塾でした。僕が高校3年生のとき、すでに社会人になったOBの方が「もう一度大学生活をやり直すなら、会計士の資格を取りたい」と話しているのを聞いて興味を抱き、めざしてみようと思いました。
──その方はなぜ「やり直すなら会計士」と思ったのでしょう。
相澤 色々なことができて、社会人としての選択肢が広がるからと話されていました。僕自身、将来どんな仕事がしたいのか当時はまだ具体的なイメージがあったわけではなかったので、だからこそ選択肢がたくさんあるという点は魅力に感じました。何も目標がないまま大学生になって、そのまま4年間を終えてしまうのは怖いなと思っていましたし、就職活動をするとなったときに何か武器になるものがほしいとも思ったので、「会計士試験の合格」は大学時代の目標として最適だと思いましたね。大学にはAO入試で合格したのですが、志望理由書にも会計士をめざすことを書きました。書いているうちに、自分の気持ちもさらに固まっていきましたね。
──勉強を始めるにあたって、なぜTACを選びましたか。
相澤 パンフレットを見て、TACのカリキュラムなら大学の勉強と両立しながら続けられそうだというイメージを持てたからです。会計士試験を受けることはすでに決めていたので、あとはどうやって勉強を続けるかということが気になっていました。効率的に勉強したかったので受験指導校を利用すると決め、大学入試の合格が決まったあと、いくつかの受験指導校のパンフレットを取り寄せて比較しました。校舎に通って学べるところを中心に考えていましたが、通信教材で学ぶところも併せて検討した結果、具体的な両立スケジュールのシミュレーションもあって、受験生活のイメージができたTACで受講を決めました。大学1年の5月頃から勉強をスタートしたのですが、事前のイメージよりもスムーズに両立できたと思います。
──簿記の知識ゼロからの学習は、問題なく進められましたか。
相澤 すんなりできました。会計士の受験科目全体に通じることですが、暗記よりも自分で手を動かして計算する科目のほうがおもしろかったですね。最初は週1回程度、教室に通って受講していましたが、カリキュラムが本格化する頃からコロナ禍の影響で校舎に通えなくなってしまったので、学習リズムが作りにくくなってしまったのが大変でした。また、教室で受講していた頃は他の受験生たちと情報交換することもできましたが、自宅に籠もって勉強していると周りの状況がよくわかりません。自分の勉強時間が足りているか心配だったので、1日の学習時間を決めて、平日も休日も関係なく必ずその学習時間をキープすることを自分のルールにしていました。
──1日どのくらいの時間勉強されていたのですか。
相澤 短答式試験の前までは1日8時間勉強していました。大学の授業もオンラインになったので、集中して勉強できそうな時間帯にまとめて勉強することもあれば、空いている時間を見つけて勉強することもありましたね。ほかの受験生との情報交換が難しいぶん、勉強時間をひとつの指標にしてモチベーションを保っていました。大学受験からあまり時間を空けずに会計士の勉強を始めたので、学習習慣がついた状態だったのもよかったかもしれません。
──会計士試験は相対評価の試験なので、他の受験生との比較ができないのは不安になりますね。
相澤 そうですね。その意味で、TACは受講生の数が多かったのでよかったです。答練(答案練習)や模擬試験などの成績を参考に、自分の立ち位置を把握しながら勉強できました。コロナ禍のためにWebフォロー制度を使っての受講が続きましたが、講師の方が「受験期間中、一番の息抜きはいい点数を取ることだ」と言っているのを聞いて、「なるほど」と納得しましたね。目標順位を設定して、それに向けて勉強していました。本来のカリキュラムより早いタイミングで短答式試験に合格することができたので、手ごたえを見るために論文式試験も6科目中4科目受験してみたところ、企業法と財務会計論は合格ボーダーである偏差値52を超えることができました。
──何か工夫していた勉強法はありましたか。
相澤 TACのテキストには合格に必要な知識が詰め込まれているので、講師の方のアドバイスも参考にして、シールやマーカーを使ってテキストの重要なところを目立たせたり、要点をまとめた表を貼ったりして、何度も繰り返し読み込みました。
──これからは会計士として働くことになりますが、どのようなキャリアプランを考えていますか。
相澤 監査法人に内定をいただき、東京の事務所に就職が決まったので、様々な企業の監査業務を通じて経験を積み、自分のやりたいことを見つけられたらと思っています。まだ働くイメージがつかめていない部分もありますが、監査法人の就職説明会で聞いたアドバイザリーの仕事に興味が湧いたので、ゆくゆくはそうした方面にもチャレンジしてみたいなと思っています。
──監査以外の分野で活躍する会計士も増えてきていますので、夢は広がりますね。最後に、これから会計士をめざす方へメッセージをお願いします。
相澤 大学入学間もない頃から勉強を始め、3年生で合格できて、今は将来の選択肢が広がったという希望にあふれた気持ちでいます。会計士試験は勉強時間さえ確保できれば合格は難しくない試験だと思っていますし、努力に見合っただけの価値がある資格だと思います。ぜひ最後までがんばってください。
──ありがとうございました。
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