国家公務員への転職
経験者採用試験(係長級(事務))府省合同B区分 について詳しく解説
近年、公務員試験は新卒にあたる「大卒程度」試験だけでなく、中途採用にあたる「経験者採用」試験もさまざまなものが行われるようになってきました。
そのような状況の中、2025年度から国家公務員の中でも一番人数の多い国家一般職でも中途採用を行うことになりました。採用試験は、「経験者採用試験(係長級(事務))府省合同B」という名称で行われ、大学や高校などを卒業後、一定期間を過ぎた方、主に29歳以上の方が対象になる試験です。
民間企業だけでなく、地方公務員や国家公務員など幅広い経験の方を募集しています。
経験者採用試験(係長級(事務))府省合同B区分とは
経験者採用試験(係長級(事務))では各省庁で働く国家公務員を採用する試験であり、新たに創設された府省合同B区分は、国家一般職試験相当(キャリア官僚ではない国家公務員)のポストを対象としたものになります。そのため、事務の実施等の業務が主な職務内容になります。またB区分の場合、東京にある本省・本庁だけでなく地方にある部局でのポストも多く募集されています。
経験者採用試験(係長級(事務))府省合同B区分 選考の流れ
府省合同B区分では、一次試験にて基礎能力試験(多肢選択式)と経験論文試験が課され、二次試験は人物面接になります。二次試験に合格すると「最終合格」となり、採用候補者名簿に記載されます。そして最終発表後に採用を希望する各府省庁に官庁訪問を行います。なお、採用候補者名簿の有効期限は5年間であるため、必ずしも試験に最終合格した年に官庁訪問をする必要はなく、また希望する府省庁から内定を得られなくても有効期限内であれば再度官庁訪問することも可能です。
採用予定人数
2025年度の場合は、19省庁で採用予定があり採用予定の合計人数は285名となっています。各府省庁別の採用予定人数は以下の通りです。多くの省庁では、本省・本庁だけでなく全国にある事務局(地方局)での採用を予定しています。下記の表における地方局の採用予定人数は、募集のある地方事務局の合計人数を記載しています(例えば農林水産省の場合、北海道・東北・関東・北陸・東海・近畿・中国四国・九州農政局の合計人数を掲載)。
採用予定府省等名 | 採用予定者数 | 採用予定府省等名 | 採用予定人数 |
---|---|---|---|
農林水産省(本省) | 21名 | 観光庁(本庁) | 3名 |
農林水産省(地方局) |
80名 |
会計検査院(本省) | 3名 |
国土交通省(本省) | 10名 | 内閣府(本府) | 2名 |
国土交通省(地方局) | 68名 | 公正取引委員会(本局) | 1名 |
財務省(地方局) | 20名 | 公正取引委員会(地方局) | 2名 |
法務省(地方局) | 27名程度 | 独立行政法人統計センター | 2名 |
厚生労働省(地方局) | 12名 |
人事院(地方局) |
1名 |
総務省(地方局) | 14名 | 文部科学省(本省) | 1名 |
個人情報保護委員会(本省) | 5名 | 運輸安全委員会 | 1名 |
金融庁(本庁) | 5名 | 環境省 | 1名 |
出入国在留管理局(地方局) | 5名 | 独立行政法人国立公文書館 | 1名 |
受験資格
府省合同B区分の門戸は広く、主に29歳以上の方であれば学歴要件なしで受験することができます。具体的には、
a)義務教育終了から14年以上
b)高校卒業から11年以上
c)短大高専卒業から9年以上
d)大学卒業から7年以上
e)大学院卒業から5年以上
のいずれかの条件を満たしていれば受験が可能です。
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経験者採用試験 府省合同B区分の試験内容
経験者採用試験 府省合同B区分について2025年度の試験内容を紹介します。
1次試験の基礎能力試験は国家一般職・総合職試験の基礎能力試験に類似した形式・内容となっています。
職務経験論文はこれまでの職務経験をどのように活かせるかを記述します。
試験日 | 試験内容 | 出題内容 |
---|---|---|
1次試験日 2025/10/5(日) |
基礎能力試験 (2時間20分) |
30題出題 数的処理・判断推理・資料解釈 14題 |
職務経験論文 (1時間30分) |
1題 これまでの職務経験についてや受験申込み時に届け出た第一・第二志望府省の志望動機についての論述問題 |
|
2次試験日 |
人物試験 | 人柄、対人能力などについての個別面接 |
出題内容と対策方法
一次試験 基礎能力試験
知能分野の文章理解と数的処理は、解法テクニックを習得して、問題演習を繰り返し積むべき演習科目です。特に数的処理(判断推理、数的推理、資料解釈及び空間把握)は中学入試や高校入試の算数・数学が出題され単純暗記では対応できないため、コツコツと解法を身につけていくことが重要です。
知識分野の「自然・人文・社会に関する時事」とは、自然科学(物理・化学・生物・地学)・人文科学(日本史・世界史・地理・思想)社会科学(法律・経済・政治)といった分野の知識と時事の内容を絡めて出題する問題です。出題範囲が非常に広範で全て勉強しきることは難しいため、日ごろからニュースをみて時事を把握する習慣をつけつつ、自然・人文・社会科学のうちご自身が得意だと思う分野を中心に学習していきましょう。
一次試験 経験論文試験
経験論文試験は、受験者のこれまでの職務についてや、これまでの経験をどう公務に生かしていきたいのかといったことが問われる記述式の試験となります。
参考までに、過去の出題内容は次の通りです(府省合同A区分において2024年に出題されていた問題になります)。
2024年度経験論文 本試験問題
次の①と②について述べてください。
① これまでの職務経験における取組と成果を、直面した困難とその克服策等に触れながら、具体的に述べてください。
② ①で述べた取組と成果をどのように採用後の業務に生かせるか、受験申込みの際に届け出た第一志望府省及び第二志望府省のそれぞれについて述べてください。
二次試験 人物面接
二次試験では、人柄や対人的能力などについての人物面接が実施されます。
公務に適した人物かどうかという部分はもちろん、これまでの職務経験についても深く確認されます。
まとめ 転職を成功させるために
いかがでしたか。筆記試験、面接の流れをご理解いただくことができましたでしょうか。府省合同B区分のみならず公務員に転職するためには、筆記試験だけでなく、皆さんのこれまでのご経験が国家公務員としてどのように活かせるか、国民が安心・安全に暮らせるために皆さんに何ができるといったことを考えていく必要があり、しっかりしたキャリアビジョンも重要です。
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