応用情報技術者試験の勉強方法とは?合格までに必要な勉強時間や対策方法を解説
国家資格である応用情報技術者はITエンジニアであれは持っておきたい資格です。しかし、難易度が高いことから、勉強方法について悩む人もいるでしょう。
この記事では、応用情報技術者試験に必要な勉強時間や効率的な勉強方法について解説します。
応用情報技術者の試験概要
応用情報技術者の試験は午前と午後に分かれています。午前はマークシート方式、午後は記述式の問題です。出題数や合格基準点、試験時間については以下のようになっています。
試験方式 | 出題数 | 合格基準点 | 試験時間 | |
---|---|---|---|---|
午前 | マークシート方式 | 80問 | 60% (48問以上正答) |
150分 |
午後 | 記述式 | 11問中5問選択 (うち、1問必須解答) |
60% | 150分 |
午前試験
午前試験は、以下の項目が出題範囲となっています。基本情報技術者試験・応用情報技術者試験・高度試験・情報処理安全確保支援士試験の4試験で共通の項目となっているため、他の情報処理技術者試験を受けた方であれば、見覚えがある内容です。
テクノロジ系:50問
・基礎理論
・コンピュータシステム
・技術要素
・開発技術
マネジメント系:10問
・プロジェクトマネジメント
・サービスマネジメント
ストラテジ系:20問
・システム戦略
・経営戦略
・企業と法務
午後試験
午後試験は以下の13分野の中から11問が出題され、その中から5問を解答します。ただし、情報セキュリティに関しては必須解答問題となります。
・経営戦略
・情報戦略
・戦略立案・コンサルティングの技法
・システムアーキテクチャ
・サービスマネジメント
・プロジェクトマネジメント
・ネットワーク
・データベース
・組込みシステム開発
・情報システム開発
・プログラミング
・情報セキュリティ【必須解答】
・システム監査
応用情報技術者を取得するメリット
応用情報技術者を取得するメリットには、就職時に有利になることや、資格手当の対象になることが挙げられます。これは応用情報技術者の認知度と難易度を表しているともいえるでしょう。
また、他の試験の一部免除を受けることも可能です。ここでは、応用情報技術者を取得するメリットについて解説します。
進学や就職・転職の際に有利となる
応用情報技術者を取得するメリットとして、進学やIT企業での就職の際に有利になることが挙げられます。応用情報技術者の下位資格である基本情報技術者試験では、ITに関する基本的な知識を習得できます。
応用情報技術者試験となると、さらにレベルが上がり、ITに関する応用的な知識や技能の習得が可能です。IT業界での経験が長いプログラマーや、システムエンジニアが取得することが多く、IT業界でも広く認知されています。
高度なIT人材としての能力を証明できることから、プロジェクトの中心としての役割も期待されるでしょう。多くのIT企業で重宝される存在となるため、就職の際にも有利です。
資格手当・報奨金の対象資格となることがある
企業によっては、資格手当や報奨金の対象になるケースがあります。IT企業では情報系資格の取得を推奨していることが一般的です。資格取得者数は企業イメージ向上の効果もあるため、ホームページや会社案内で資格保有者数を公表している企業もあります。
そのため、情報系資格の取得を推奨している企業では、資格手当や資格取得報奨金を支給しているところがあり、企業によっては10,000円前後の資格手当が支給されます。
国家試験の一部免除を受けることができる
国家試験の一部免除を受けることができる点も、応用情報技術者を取得するメリットです。応用情報技術者の取得により、以下の試験の一部が免除されます。
・中小企業診断士試験
・弁理士試験
上記の試験を受ける際に負担が軽減されるため、資格取得の難易度も下がります。獲得した資格が増えれば、自身の価値も向上するでしょう。
高度試験の一部が免除される
応用情報技術者の取得により、上位資格である「高度試験」の午前試験が免除されます。情報処理技術者試験には、以下のような「高度試験」というカテゴリーが存在しています。
・ITストラテジスト試験
・システムアーキテクト試験
・プロジェクトマネージャ試験
・ネットワークスペシャリスト試験
・データベーススペシャリスト試験
・エンベデッドシステムスペシャリスト試験
・ITサービスマネージャ試験
・システム監査技術者試験
ただし、応用情報技術者取得から2年までが免除期間です。また、免除には申請手続きが必要のため、注意が必要です。高度試験取得まで検討している場合は、2年以内に受験しましょう。
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応用情報技術者を取得する前に知っておきたいポイント
応用情報技術者の取得前に、難易度や必要な勉強時間を把握しておきましょう。応用情報技術者の難易度は高く、必然的に勉強時間も長くなります。
ただし、実務経験者や基本情報技術者試験合格といった、基礎知識を持っているかたであれば、勉強時間は未経験者の半分以下の勉強時間で十分といわれています。
難易度や合格率
応用情報技術者の合格率は例年20%前後になっています。合格率から考えると難関資格といえるでしょう。2014年から試験方式が改定され、午後試験で必須分野となっていた経営戦略やプログラミングが選択分野とされました。それにより、経営やプログラミングに精通していないエンジニアが受験しやすくなっています。
年度 | 合格率 |
---|---|
2011年 | 22.1% |
2012年 | 21.5% |
2013年 | 18.8% |
2014年 | 20.2% |
2015年 | 21.3% |
2016年 | 21.0% |
2017年 | 21.0% |
2018年 | 23.1% |
2019年 | 22.3% |
2020年 | 23.5% |
2021年 | 23.5% |
2022年 | 26.2% |
必要な勉強時間
応用情報技術者の合格に必要な勉強時間は、情報処理技術者試験の未経験者であれば500時間程度といわれています。プログラマーやシステムエンジニアなどの実務経験者や、基本情報技術者試験の合格者であれば、基礎知識を習得しているため、200時間程度の勉強時間で合格できるといわれています。
未経験者の500時間という勉強時間は、毎日2時間以上した場合、最低でも約7ヶ月以上の継続が必要です。200時間の場合でも、3ヶ月程度はかかります。これだけでも長期間の勉強が必要になることがわかるでしょう。
応用情報技術者試験の勉強方法
応用情報技術者試験の勉強方法は、大きく分けてふたつのパターンがあります。基本情報技術者試験合格者の場合と、情報処理技術者試験が初めての場合で勉強方法が異なります。
基本情報技術者試験合格者は、基礎知識を持っているはずです。そのため、テキストで一から学習する必要はありません。ここでは、ふたつのパターンの勉強方法について解説します。
基本情報技術者試験合格者の場合
基本情報技術者試験の合格者は、これまでに学習したことを活かして勉強することで、効率よく学習できます。テキスト学習からはじめず、過去問演習から取り組めば、自身の知識の確認ができます。
過去問演習
基本情報技術者試験の合格者は、過去問を解くことからはじめましょう。すでに情報技術に対して一定の知識を持っているため、改めてテキストで知識を習得する必要はありません。
試験の傾向として、過去問を流用しているケースが多く、80問中30問程度は過去10年で出題された問題です。流用ではなくても、60%程度は過去に出た問題と似た内容になっています。
2022年度は、80問中12問が新しい問題でした。合格基準が60%であることを考えると、例え12問が不正解でも合格基準に達します。効率的に点数を取るためにも、過去問の理解に注力しましょう。
過去問を解く際は、解答だけを覚えるのではなく習得することが大切です。正解の選択肢だけではなく、不正解の選択肢についても、その選択肢はどのようなケースに当てはまるのかを説明できるレベルになることが理想です。理解を深めるためにも、5回は解くようにしましょう。
知らないテーマはテキスト学習
情報技術に対して一定の知識を持っていても、テキスト学習は必要です。応用情報技術者試験では、基本情報技術者試験で出てこなかった問題も出題されます。ただし、はじめからテキストで知らない内容を探して学習する必要はありません。
過去問演習時に、知らない内容の問題が出てきた際にテキストで学習しましょう。
情報処理技術者試験が初めての場合
情報処理技術者試験が初めての場合、基礎知識の習得から始めましょう。テキストを一通り読み、試験内容の全体像を把握したあとに好みの分野から学習することで、効率的に知識を習得できます。テキストの読み方にはポイントがあります。
テキストを一通り見て全体像を把握
情報処理技術者試験が初めての場合は、いきなり過去問を解くのではなく、テキストを一通り読んで、内容の全体像を把握しましょう。
ここでのポイントは、学習よりも目を通すことです。「どのような試験なのか」「どのようなテーマがあるのか」を把握しましょう。全体の把握に要する時間目安は1週間程度です。太字や青字になっている箇所を意識しながら全体像を把握しましょう。
好みの分野からテキストを読んで知識を習得
テキスト学習では、好みの分野から学習しましょう。テキストを読む際は、必ずしもページ順に読む必要はありません。自身が興味を持ったテーマや好みの分野から取りかかることで、知識の習得が早まります。
また、用語を覚えるだけなく「背景の理解」や「用語の使い方」を理解すると、知識として習得しやすくなります。習得は1ヶ月程度を目安にしましょう。
効率よく合格するなら受験指導校の活用がおすすめ
応用情報技術者試験に効率よく合格したいのであれば、受験指導校の活用がおすすめです。応用情報技術者試験は合格率が20%前後と、IT関連資格トップレベルの難易度となっています。
出題範囲の広さから、どこから手をつけていいのかわからなくなる人も存在します。カリキュラムが整っている受験指導校で学習することで、自身に適した勉強方法で効率よく知識習得を目指せるでしょう。
段階に応じて勉強方法を見直そう
応用情報技術者の試験は午前と午後に分かれており、午前はマークシート方式、午後は記述式の問題です。応用情報技術者の合格率は20%前後とIT関連資格トップレベルの難易度となっています。そのため、情報処理技術者試験の未経験者であれば500時間程度、基本情報技術者試験の合格者であれば、200時間程度の勉強時間が必要です。
応用情報技術者試験の勉強方法は、基本情報技術者試験合格者の場合と、情報処理技術者試験が初めての場合で勉強方法が異なります。基本情報技術者試験合格者は基礎知識を持っているため、テキストで一から学習する必要はありません。過去問演習から始めることで効率よく学習できます。
さらに効率よく勉強するには、カリキュラムが整っている受験指導校の活用がおすすめです。自身に適した勉強方法を検討し、応用情報技術者試験合格を目指しましょう。
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