人事担当者に聞く「今、欲しい人財」 第5回 株式会社フォーバル
植田 千尋氏
株式会社フォーバル
人事部 採用課
2017年4月、株式会社フォーバル入社。1年間の新人育成研修を経て、2018年4月より人事部採用課に配属。新卒採用担当として会社説明会で全国を回り、学生をフォローするなど、精力的に活動している。
1980年に創業した株式会社フォーバルは、電気通信機器販売を事業目的としてスタート。ビジネスフォンからコピー機、オフィス内の商財へと業務を拡大し、今日では新たなビジネスを創り出すべく「次世代経営コンサルティング」を展開している。「これ不便だな」と人々が感じるものをどんどん変えていきたい。その思いが常識を覆し、「新しいあたりまえ」を生み出していく。新たなイノベーションと熱いモチベーションで中小企業の課題に応えていくフォーバルの人財戦略とその魅力について、入社2年目の植田千尋さんが語ってくれた。
「新しいあたりまえ」を創造するカンパニー
──植田さんは2017年4月に新卒で株式会社フォーバルに入社されました。植田さんが入社を決めた一番の動機は何だったのですか。
植田 私は社会のためになる会社に入りたいと考えていました。と言っても、社会に貢献する会社はたくさんあります。その中で、中小企業を支援する会社ならより多くの支援ができるのではないかと考えて、フォーバルに決めました。
──中小企業を支援するフォーバルとは、どのような会社ですか。
植田 フォーバルは1980年に、電気通信機器の販売会社として産声を上げました。創業から軸となってきたのは「新しいあたりまえ」を創造し続ける、ということです。そこで「社会価値創出企業をめざす」をスローガンに掲げて、ビジネスフォンからコピー機へ、さらにオフィス内の商財を取り扱う商社へと発展してきました。常にユーザーの立場で「これは変だな」、「不便だな」と思ったことをどんどん変えていくことで、新しいビジネスの機会を創出し続けてきました。
情報通信技術があたりまえに存在するようになった現在、情報通信分野、海外分野、環境分野、人材・教育分野の4分野に特化して、「次世代経営コンサルタント」集団として中小企業の経営コンサルティングを展開しています。
──情報通信機器販売業から経営コンサルティングへと業態転換していったわけですね。
植田 そうですね。情報通信機器が「経営の武器」として幅広い分野で活かされるようになって、従来のように機器やサービスの利活用やコスト削減だけでなく、そのフィールドは中小企業の利益貢献にまで直結するようになりました。そこで「次世代経営コンサルティング」をめざすことになりました。
私たちのめざしている「次世代経営コンサルティング」は、机上の空論ではありません。創業以来40年近く、年間延べ20万人以上の中小企業経営者と向き合った実績の中から得たノウハウや技術、知識をもとに、それぞれの企業に合った最適な手段と独自の理論で、実践的なコンサルティングに落とし込んで提供していけることが「強み」です。
「次世代経営コンサルティング」を通じて、今までの常識を打ち破る画期的な提案を行うことで、お客様の経営に確かな変革をもたらしたい。それが現在フォーバルが推進している変革です。創業当時、驚きだった「10年間無料保証のビジネスフォン」のように、今後も「新しいあたりまえ」の創出をめざしていきます。
「明・元・素」のある人財が 中小企業を支える
──植田さんの現在のお仕事をご紹介いただけますか。
植田 入社から1年間は新人育成研修を受け、2018年4月から人事部採用課に配属されました。人事部には、採用課、人財企画課、労務課の3つの課がありますが、私は現在、採用課で新卒採用を担当し、会社説明会や学生のフォローのために日本全国を回っています。
──新卒採用の状況はいかがですか。
植田 2018年4月入社の新卒は76名、2019年は70名を予定しています。基本的に毎年定期的に採用しているのは新卒です。加えて社内でいろいろな取り組みや挑戦をしていく中で、特定の分野のスキルや知識が必要となった場合に外部から採用するのが中途社員で、スペシャリスト系の方が多いですね。新規事業や即戦力が必要なときに不足しているスキルなどをその都度投入するかたちで採用するのが中途社員、育成するのは新卒社員ということです。
──フォーバルの「求める人物像」とは、どのようなものですか。
植田 それには2つのポイントがあります。1つ目は「日本経済を支える中小・中堅企業を元気にしたい」という価値観を持っている方。フォーバルではこれから先の15年計画として、「中小・中堅企業の手詰まり感があったとき、真っ先に思い出してもらえる企業になること」を目標に掲げています。
「企業経営の利益に直結するアドバイスができるのはフォーバルだ」ということを広く認知していただくために、仲間と一致団結して取り組んでくださる方を求めています。
2つ目は「明・元・素(めいげんそ)」です。「明・元・素」とは、「明るく」て、「元気」で、「素直」であること。お客様や仲間に対して「明るく」「元気」であることが大切です。加えて「新しいあたりまえ」を創るには、新しい価値観を受け入れる「素直さ」が欠かせません。この3つをバランスよく兼ね備えていれば、必ずポジティブなコミュニケーションが生まれてきます。最低月1回は、お客様である経営者に会いに行く仕事です。「明・元・素」をバランスよく持っている方を求めています。
1年間の新人育成研修で営業スキルを習得
──「明・元・素」を持っているかどうかを見抜くのは難しいと思います。採用試験ではどのような工夫をされていますか。
植田 まず説明会と同時開催で、一次選考としてグループワークを行います。テーマは実際にフォーバルが提供しているコンサルティング事例です。グループは4人1組で、フォーバルでお客様と接する代表的な4職種の役割を担当し、4人でディスカッションして社長役を演じる当社の社員に対してソリューションを提案し、さらに経営課題点や打開策を提案していただきます。
──4職種とは具体的にどのような仕事ですか。
植田 iC職、IA職、SA職、経営コンサルティング職という、フォーバル内の専門職種です。
iC職は、ITコンサルティングのお客様を開拓する新規営業にあたります。IA職はインフォメーションテクノロジーアドバイザーといって、当社から購入していただいたIT商財の活用など、中小企業のお客様に商財の使い方を提案する職種で、月1回定期訪問して情報通信の活用や経営に関する情報を提供します。SA職は、ソリューションアドバイザーといって、既存営業として当社のサービスやIT商財を専門で販売する職種です。経営コンサルティングは、「次世代経営コンサルティング」を専門で提供するメンバーです。
──一次選考のあとはどのような流れになりますか。
植田 二次選考として適性検査を受けていただきます。これはSPIのような性格検査や能力検査とは少し違って、考え方や行動力、その人の思考の方向性を様々な質問項目の中で細かく診断し、一定基準に達した方が通過となります。三次選考は人事部の面接で、その後の役員面接が最終選考となっています。
──グループワークは入社時の選考で植田さんご自身も受けられたと思いますが、狙いはどこにあるのでしょう。
植田 確かに学生側にしてみると、グループワークで何を見られてどうすると選考を通過できるのかはわかりにくいですね。私も受けた時には何を見られているのかまったくわかりませんでした。
フォーバルの一次選考の評価基準はおそらく他社とは違っていると思います。まず服装もだらしなくなければ私服でOKですし、グループワークでは人柄や第一印象、あるいは人とどのように接するかといった点を見させてもらいます。加えて、グループワークに対する積極性ですね。学生側も最初は見られていることを意識しているのですが、ワーク自体が難しいので、だんだんそれどころではなくなって、ありのままの素が出てくるのです。そこが評価のタイミングですね。
──ダイバーシティ(多様な人材を積極的に活用しようという考え方)について、御社はどのように考えていますか。
植田 ビジネスにおいては年齢、国籍、性別はボーダーレスというのが社長のポリシーですので、そこは一切問いません。ただし、入社1年目は必ず全員が1年間営業研修を受けます。その際、電話対応やお客様との直接商談の場があるので、基本的な日本語能力は必須です。国籍にはこだわりませんが、日本語できちんと日常会話ができることは必要ですね。
──選考を通過した内定者にはどのようにコンタクトしていますか。
植田 フォーバルでは、入社まで内定者SNSというネットワークを介して課題を提出してもらいます。できれば入社前に社内の3つの推奨資格を取得していただきたいと考えているので、その課題の進み具合や大学の卒業論文の進捗状況の定期的な報告をしていただいています。また、SNS上では、内定者同士がメッセージを送り合うこともできます。
資格取得は「自己啓発」で
──入社前に推奨している3つの資格とは何ですか。また、それ以外に社員の方への推奨資格はありますか。
植田 入社前に推奨しているのは、ITパスポート、個人情報保護士、Webリテラシー検定です。
社内的推奨資格は全部で12種類で、先の3つの資格のほかに、スマートマスター検定(社内資格)、ビジネス会計検定試験®、マイナンバー実務検定、マーケティング・ビジネス実務検定®、ビジネス実務法務検定試験®、経営学検定、ドットコムマスター アドバンス、ビジネスマネジャー検定試験®、eco検定®があります。
この中でスマートマスター検定は完全な社内資格で、iPhoneやタブレット等のデバイス活用を目的とした知識習得のための資格です。基本的にはIT中心ですが、経営コンサルティングを行っている会社なので、経営学や会計系、マーケティング関係の資格も推奨しています。
──これらの推奨資格は自己啓発として取得するものですか。
植田 そうですね。実は、先ほど挙げた4職種のうち、経営コンサルティングという職種は誰でもなれるわけではありません。必須資格を取得してから社内選考をパスし、経験と実績も積んでいる人しかなることができません。本当に深くコンサルティングをやっていきたい社員しかなることができない職種なのです。そのためにスキルアップを図るのであれば、フォーバルの中で環境は整えていくので、自分の力で積極的にやっていきましょうというのが当社のポリシーです。これを社内では「自走式」と呼んでいます。他資格についても、あまり無理強いはせずにあくまで自己啓発でやるようになっています。
ただし、eラーニングで学べる環境を全社員に提供しているので、その中で資格の勉強をすることは可能です。あとは各拠点独自でテキストの貸出自由などの環境を整えています。ですから環境的には、全社あるいは拠点ごとに整えられている部分があった上で、自走式で今後の自分に合わせてやっていきましょうという姿勢です。
──フォーバルならではの研修制度があればご紹介いただけますか。
植田 先ほどお話ししたように、新人は全国共通カリキュラムで1年間、新人育成研修を行い、指導担当社員が1年間マンツーマンでサポートします。入社式後、全国の新入社員が東京に集まり2~3週間、ビジネスマナーやフォーバルの歴史、取り扱っている商財・サービスについて学ぶ集合研修を受けていただきます。その後、地方の方は地方に、首都圏には3つの支社があるのでそれぞれの配属先に分かれ、そこから新規営業研修がスタートします。
よく他社ではメンター制度と呼ばれていますが、フォーバルではこれを師弟制度と呼んで、新入社員1人につき先輩社員が1人ついて二人三脚でやっていきます。まず先輩と現場に同行して自分の目で流れを確かめ、最初は電話営業からスタートします。先輩を見ているとはいえ、いきなりお客様に電話をかけるのは緊張するので、まずはロールプレイングで師匠に合格をもらってから実践に入ります。そこでアポイントが取れたら、先輩が行く商談に同行します。ロールプレイングを繰り返し、何度も商談の練習をしていく中で、徐々に話す時間を長くしていき、最終的には先輩に隣席してもらうだけで大丈夫、となるのがひとつの目標です。すべて自分で商談を進め、契約まできちんと取れるようになったら、独り立ちする機会を増やしていきます。
2年目からは、4職種の中の自分の職種がきちんと決まっていきます。年次が上がったり役職がつくとその都度それに併せた研修が行われますが、1年目の研修はフォーバルの特徴的な研修といえます。
新しい働き方で 「新しいあたりまえ」の創造を
──社内制度で何かユニークなものはありますか。
植田 最もユニークなのは、全社員がフリーアドレス制で、個人のデスクを持たない点です。全席フリーなので、サテライトオフィス勤務といって、配属部署が入っていない拠点にも出社可能です。例えば、その日のスケジュールに合わせ、都内に7〜8拠点あるどのオフィスへの出勤も可能です。ミーティングにはWeb会議で参加するなど、モバイルワークによる在宅勤務も可能です。朝礼からWeb会議で参加する社員がいたり、働き方はとても柔軟です。
──植田さんご自身も全国を回られる際にはサテライトオフィス勤務を活用していますか。
植田 そうですね。出張で事務所に1週間まるまるいないときなど、全国各地の拠点で仕事をします。どの拠点に行っても空いている机にパソコンをポンと置けば仕事ができますし、人事部長との定期面談もWebでやりとりするようになりました。その都度、同じ場所に集まるよりも遥かに効率がいいですね。
台風や災害で通勤困難なときでも、インターネット環境さえ整っていれば自宅でも仕事ができるので、災害時対応にもとても良いと感じています。
──女性の読者は産休・育休制度について関心があると思いますが。
植田 一部上場企業なので、基本的な福利厚生は整っています。女性の産休・育休制度もきちんと整っているので、制度を利用して復帰してくる女性も、現在休暇取得中の女性もいます。育児休暇制度は女性がメインではありますが、最近では男性で取る方も増えてきました。子育てや介護の支援体制が充分に整った働きやすい環境だと思います。ちなみに社員の男女比は3対1の割合になります。
──その他に働き方などでのアピールポイントはありますか。
植田 強調したいのは、当社にはほとんど残業がない点です。月平均残業時間は6.25時間です。私も、ほぼ毎日残業せずに退社しています。
そしてすごく便利だなと思うのが、有給休暇を時間単位で取得できる点です。一般的には1日単位や半日単位が多いと思いますが、フォーバルは1時間単位で有給休暇の取得が可能です。2年前から導入されたこの制度によって、自分のワーク・ライフ・バランスに応じて柔軟に有給休暇を活用できるようになりました。
──最後に資格取得をめざしている『TACNEWS』の読者に向けてメッセージをお願いします。
植田 資格は取ることがゴールではありません。資格を取ったあとに、自分にはどんなことができるのか、どういう可能性が広がっていくのか、常に意識しながら勉強していくとモチベーションにもつながります。常にその先を見ていってください。
この記事を読んで、私たちフォーバルで「中小企業のお手伝いをしてみたい」「仲間に入ってみたい」と思った方がいらっしゃれば、「明・元・素」を大切にするフォーバルで「新しいあたりまえ」を創出していきましょう。
[『TACNEWS』 2019年1月号|連載|人事担当者に聞く「今、欲しい人財」]
会社概要
社名 株式会社 フォーバル
設立 1980年9月18日
代表者 代表取締役会長 大久保 秀夫
代表取締役社長 中島 將典
所在地 東京都渋谷区神宮前五丁目52番2号青山オーバルビル14階
事業内容
情報通信コンサルティング(IP統合システム、情報セキュリティ、Web構築など)、経営コンサルティング(総合コンサルティング、海外進出、人材・教育、環境、事業承継など)
従業員数
610人(単体)・1,663人(連結)※2018年3月末現在