特集 2019年度外務省専門職員採用試験
合格者にインタビュー

  

日本の国益と世界の発展のために
外交を通じて貢献したい

外交の最前線で活躍する、地域・言語・専門分野のスペシャリストである「外務省専門職」。世界各地に赴任し、世界情勢に敏感に対応して日本の外交を支える、重要な責務を負っています。今回は、2019年度外務省専門職員採用試験に合格したTAC・Wセミナーの内定者3人に、外務省専門職をめざしたきっかけや、入省後にやってみたいことなどを語っていただきました。

※WセミナーはTACのブランドです。

左から
■齋藤 拓海(さいとう たくみ)さん
東京都出身
明治大学 商学部(在学中)
受講コース:総合本科生(教室講座)
受験語:英語
外務省での研修語:フランス語

■今井 友紀子(いまい ゆきこ)さん
東京都出身
国際基督教大学 教養学部(在学中合格)
受講コース:答練セレクト憲法本科生(教室講座)
受験語:英語
外務省での研修語:英語

■中井 翔一朗(なかい しょういちろう)さん
神奈川県出身
米国ベロイト大学 国際関係学部(既卒合格)
受講コース:セレクト憲法本科生(教室講座+Webフォロー)
受験語:英語
外務省での研修語:朝鮮語

グローバルに活躍できる外務省専門職の魅力

──外務省専門職をめざした理由を教えてください。

今井 大学3年生で就職活動を考え始め、当初は通訳者を志望していました。そこで大学の通訳の先生から外務省専門職や防衛省専門職があることを教えてもらったのが、興味を持ったきっかけです。調べてみると、語学をベースに多様な分野で活躍する機会があったり、活躍するフィールドも世界中であったりと、自分のこれまでの経験や培ってきたものが活かせる職だと感じました。また、外務省専門職は公益性が高く、自分のがんばりが日本のためになるというところにモチベーションとやりがいを感じ、志望しました。

齋藤 大学2年生の後期から3年生の春までのフランス留学を通じて、「国際社会における日本」というものを強く意識するようになりました。また、外務省主催の「日中韓ユース・サミット」に参加し、模擬外交を通して日本のために働きたいと考えるようになりました。そして、かねてからアフリカ地域や経済問題について関心があり、それらの専門家になるという夢も持っていました。大学3年生の夏に説明会に参加したのをきっかけに外務省専門職の詳細を知り、これらすべての希望を達成できるのが外務省専門職だと考えました。

中井 中学生のとき、ナチスドイツ時代を生きた外交官である杉原千畝さんのドキュメンタリーを観て、「かっこいい」と思ったのが、外交官という仕事を意識した最初のきっかけです。ただ、進学するにつれ、アメリカの大学という周囲に公務員をめざす人がいない環境で、具体的な目標として形になるまでには時間がかかりました。そんな時、留学先の米国で日本人学生向けに開催された就職イベント「ボストンキャリアフォーラム」で、外務省のブースに参加しました。そこで当時のボストン総領事や若手省員の方とお話しし、外務省専門職はグローバルに活躍できることはもちろん、大学で学んできた国際関係学の知識を活かすことができ、なおかつ日本のために働ける職業だと確信して、挑戦を決めました。

──みなさんを引き付ける外務省専門職の魅力は、どのようなところにあるのでしょうか。

今井 グローバルに働けることです。官民を問わず、国内外でたくさんの人に出会えますし、さまざまな経験ができます。その経験により、知見を広めて成長していける点が魅力です。

齋藤 「外交官=日本国の威厳を体現する存在」と考えているので、日本を背負って世界をフィールドに活躍できるところに魅力を感じます。その分、担う責任も大きいけれど、それこそがまた魅力につながっていると思います。

中井 どんな立場の日本人でも、海外へ行けば、多かれ少なかれその背中に「日本」という国を透かして見られますが、とりわけ外交官は、オフィシャルな場で日本を代表して仕事をしていくという点で、非常に責任が重く、やりがいのある職務だと思います。こんな職業は、他にはなかなかないのではないでしょうか。

圧倒的な合格実績に裏打ちされた手厚いサポートが魅力

──試験対策を始めるにあたり、TAC・Wセミナーを選んだ理由を聞かせてください。

齋藤 入会の決定打は、何といっても圧倒的な合格実績にあります。僕は外務省専門職員採用試験のための勉強を始めたのは大学3年生の9月からと、決して早いスタートではありませんでしたが、比較的遅めに勉強を始めても個人の進捗に合わせて進められる点や、二次試験直前期まで手厚いサポートがあることから、TAC・Wセミナーなら安心できると感じたのです。

中井 外務省専門職員の知人に受験のためのアドバイスを求めたところ、その方がTAC・Wセミナーの元受講生でした。それをきっかけに留学から帰国後に説明会に参加し、合格実績などを見定めて受験前年の9月に入会しました。入会後は質の高いテキストで学べたり、二次試験対策のサポートを受けたりすることができ、その非常に高い合格実績にも納得しました。

今井 私は2回目の受験で合格したのですが、1年目は「セレクト本科生」を受講して基礎をみっちり学び、2年目は論文対策を中心に、より実践的に試験に備えたいと考えて「答練セレクト憲法本科生」を選びました。2年目の時点で、基礎はしっかり身についていましたが、得意・不得意な分野にバラつきがあったため、苦手分野の克服にはげみました。基礎、応用、演習などTAC・Wセミナーはいずれもサポートがしっかりしているので頼りになりました。

専門試験の科目選択は自身の特性や学習の合理性が決め手に

──一次試験の専門試験(記述式)では、必須科目の国際法の他にもう1科目、憲法または経済学から選択する形式です。みなさんはどのように選択科目を選んだか、ポイントを教えてください。

今井 私は憲法を選択しました。講義回数が経済学より少なく、短い期間で知識を身につけられるのが利点です。また、昔から判例や歴史的な事実を学ぶことが好きで、それを活かせる憲法が、より自分に合うと考えました。

中井 僕も憲法です。昔は検察官になりたかったこともあり、法律や憲法への関心が強かったのですが、その志向を活かせる分野だと考えました。また、試験勉強中も週3回、民間企業のインターンをしていて、勉強に費やせる時間が多くはないことから、短期間で完成できる科目を選んだという合理的な理由もありました。

齋藤 僕は経済学を選びました。大学が商学部で経済に関心があったことはもちろん、経済学は仕事を始めてから非常に役立つ科目だと聞いたので、その点も考慮しました。また試験対策という視点でいえば、憲法よりも経済学のほうが暗記すべき内容は少ないです。その代わりグラフや数字は多くなりますが、それらは得意だったので問題ありませんでした。

──実際に勉強する中で、モチベーションの低下など苦労することはありませんでしたか。

今井 1年目の受験で残念な結果となり、勉強を続けた2年目には、自分の中でなかなか進歩を感じられずに辛くなってしまった時期もありました。そんなときモチベーションアップに一役買ったのが、合格した自分の姿をイメージするということです。外交官が活躍するドラマを観たり、仕事内容を調べたりして、「合格したらこんなふうに働きたい」と具体的に想像することで、前向きな気持ちになれました。一方で、並行して民間企業への就職活動もしたことで、かえって「外交官になりたい」という強い意志を再確認できました。

齋藤 僕にとって「やりたいことができる」のが外務省専門職をめざす一番の志望動機だったので、「それを叶えるには今、全力でがんばるしかない」という動機づけはしやすかったです。僕も今井さんと同じく、合格後の自分の姿を強く思い描くようにしていました。日中韓ユース・サミットでできた外交官をめざす友人たちと連絡を取りながら勉強できたことも、大きな励みになりましたね。また、もともと運動が好きなので、土日は筋力トレーニングやランニングを取り入れて気分転換の時間をとることで、学習中心の生活にメリハリをつけていました。

中井 僕は外務省専門職をめざすと決めてからは、ボストンキャリアフォーラムでオファーをくださった企業やインターン先の民間企業からの誘いを断り、周囲の「せっかくなら大学院へ進んだほうがいいんじゃないか」といったアドバイスにも耳を貸さず、自分で決めた道を進もうと心に決めていました。それだけに、「自分で決めたからにはやり遂げる」と自然に思えたので、モチベーションで悩むことは少なかったですね。とはいえ、1年という短くはない勉強期間です。中だるみしそうなときは、外務省主催の説明会やワンデーインターンシップに参加し、現役で働く外交官から刺激を受けて、自分の進むべき姿のイメージを強めていました。

──どのように勉強を進めていったか、心掛けていた点や工夫した点があれば教えてください。

今井 飽き性なので、自習室だけでなく他の場所でも勉強するようにしたり、ルーズリーフの代わりに小ぶりなホワイトボードに書いたりなど、常にやり方を変えていましたね。自分が講師になって自分に教えるつもりで書くというロールプレイングも試しました。また、私はテキストをデコレーションするとやる気が出るタイプなので、ラベルやふせんを貼ったり重要な箇所に線を引いたりして、見た目にも「やった感」を味わえるようにしていましたね。他にも、就職活動でうまくいかずに落ち込んだ時は、あえて「1日勉強しない日」を作ることで、翌日「今日こそやらなくちゃ」と自分を奮い立たせました。

齋藤 外務省専門職には英語力が必ず必要ですから、「英語に毎日触れる」ことを日課として決めました。ただ、勉強に割ける時間は限られていますから、英語についてはすきま時間にスマートフォンアプリでCNNなどの英語ニュースを見聞きするなどして、スピーキングやリーディングなど総合的な力を磨いていきました。まとまった時間は、国際法や経済学などに割いて、集中的に学習するようにしました。

中井 国際法と憲法は、答案練習(答練)の時期になると毎週問題を解くことになるので必然的に勉強できますが、外務省専門職員採用試験では基礎能力、外国語、時事論文も含めた5科目の総合力が問われるため、全教科をバランスよく学べるよう意識しました。それからYouTubeには「集中するための音楽」といった動画があるのですが、これを聴くのも僕には合っていましたね。また、集中力が途切れないよう、「25分勉強したら5分休憩」という学習サイクルを取り入れることで、休憩時間を過ぎてもついつい動画を見続けてしまうといったこともなくなりました。

合格をつかんだ先輩からもらえるリアルで無駄のないアドバイスが重宝

──実際に受講され、TAC・Wセミナーならではの魅力をどんなところに感じたかうかがいます。合格者アドバイザー制度で役立った点はどこですか。

齋藤 月1回のホームルームの時に、アドバイザーと1対1で話せるのが励みになりましたね。実際に合格を勝ち取った人たちと話せるので、そのリアルなアドバイスを積極的に取り入れるようにしていました。独学の場合だと勉強法もひとりよがりになりがちだと思うのですが、この制度で客観的な意見を聞けて修正できたのはよかったですね。例えば経済学の勉強を始めた当初は、「とにかく問題数をこなそう」と思っていましたが、「まずはテキストの『基本マスター』をしっかり固めるべき。他はその応用でできるようになるから」と助言してもらい、ムダなく勉強できるようになりました。こういったところは、独学だったら気づけなかったと思います。

今井 ホームルームにはあまり参加できませんでしたが、毎月もらえる資料は重宝しました。併願対策や勉強法などの特集テーマに沿って先輩合格者の情報が入ってくるのは、リアルタイムで勉強する中でとても参考になります。

中井 二次試験で行われるグループ討議が、早い段階で合格者アドバイザーのホームルームのテーマとして組み込まれていたのは助かりました。というのも、一次試験の合格発表から二次試験までは日程にあまり余裕がないので、早くから対策を進められたおかげでスムーズに準備できたからです。また、一次試験後は二次試験対策に向けてTAC・Wセミナーの受講生同士で自主ゼミをつくるのですが、ホームルームのおかげで他の受講生とある程度顔見知りになっていたので、スムーズに始められました。

──担任講師制度についてはいかがでしたか。

今井 受験勉強中に定期的に人と話せる、それも受験を熟知した講師と話せる貴重な機会を持つことで、モチベーションも保てますし、悩みもその都度解消できます。併願はどのくらいすべきか、苦手な教科がなぜ伸びないかの分析など、いずれも的を射たアドバイスをもらえましたし、併願先の試験に落ちたときも、親身になって励ましていただきました。同じような状況だった過去の受験生がどうやって挽回したか、一次試験でこの状況なら次に何点取れれば合格できるかといった、実績のある講師ならではの励ましには強い説得力を感じました。

齋藤 毎月、進捗や勉強法の確認とメンテナンスをしてもらえるだけでなく、「基礎能力試験はこの時期、これだけ正解していればよい」といった目安を教えてもらえるのは、TAC・Wセミナーだからこそ。面接カードに書いた志望動機や志望分野も、早くから二次試験まで視野に入れた上で助言をもらえました。

中井 開講後のコースに9月から申し込んだため、講師との面談は「すでに進んでいる教室講義に追いつくためには、今月はこのくらいの講義数を受けることが必要」といったことを確認するペースメーカーとして利用していました。他にも国際法などの質問に丁寧に答えてもらったり、直前期は併願先の対策まで相談に乗ってもらったりと、幅広くサポートしてもらえて感謝しています。

自主ゼミと講師の添削できめ細やかな面接対策が可能

──TAC・Wセミナーの人物試験(面接)対策の強みは何だと思いますか。

今井 面接対策講義時に配付される、過去の先輩たちの面接カードは役立ちました。自分の面接カードを作るときも、自分と同じ言語を志望する先輩のカードを参考にして書くところからスタートできました。自主ゼミでは、他の受講生の語学の点数をもとに自分の立ち位置を知った上で、希望の言語の対策を練ることができましたし、それにフィットする肉付けをしたカードを書くことができました。加えて、経歴ややりがいを感じることなどの自己分析ノート(ネタ帳)をこまめに書き、面接直前まで読んで活用しました。

齋藤 一次試験後から行う自主ゼミがよかったです。実際の受験の場にはTAC・Wセミナーの受講生が数多くいるので、この自主ゼミで本番さながらの模擬面接を行えるなど、ともに切磋琢磨しながら対策できたことは心の支えになりました。また本番で、グループ討議で練習したテーマが出題された際には、人物試験対策の質の高さを改めて感じました。

中井 僕も自主ゼミを通じて、「受験は団体戦」だと実感しました。すべての受講生が合格できるわけではないですが、「最後まで、ともにがんばろう」という連帯感が生まれたのは心強かったですね。それと、自主ゼミと講師の指導のバランスのよさを感じたのが、面接カードの添削や模擬面接です。受講生同士、毎回同じメンバーで添削し合っていると、煮詰まってきて良し悪しがわからなくなってしまうことがあるのです。そこを最終的に担任講師に添削してもらえることで、実績ある講師から太鼓判をもらえたという安心感を得ることができました。模擬面接でも講師が相手の時は、受講生同士では気づけなかったり、指摘できなかったりする点まで教えてもらえました。

── 大学1、2年生のときはどのように過ごしていましたか。やっておけばよかったと思うことがあれば教えてください。

齋藤 大学1、2年生の頃は長期留学をめざして語学を勉強したり、その合間にアルバイトや民間企業のインターンをしたり、ハンドボールサークルに顔を出したりもしていました。今振り返ると、大学1年生の段階で、様々な業界の人と話して広い視野を持てていたらよかったなという気持ちはあります。また、外交官をめざすなら英語力は必ず求められますが、語学力は短期間で急激にアップさせるのは難しいので、早めに学習を始めたほうがいいと思います。

中井 外務省専門職をめざしたのは大学の終わりなので、そのための準備は特にしていませんでした。多くの大学にある「模擬国連(学生が各国の大使として、国連の会議をシミュレーションする活動)」に参加すると、それまで知らなかった国についても学べる上に外交に対するモチベーションも高まるので、もし今自分が大学1、2年生だったらそういった活動に携わってみたいですね。また、海外留学も大きな選択肢だと思います。もちろん、合格者には留学経験のない人もいますし必須ではありませんが、二次面接では、慣れない海外で問題なく勤務できるかといった点も判断されると思うので、そういった強みを具体的なエピソードと共にアピールできます。僕自身、留学経験があったことで面接試験の際には世界中どこに赴任しても大丈夫だという点に説得力を持たせられたと思います。

今井 大学3年生から外交官をめざしたため、大学時代の前半はサークルやアルバイトなどに費やしていました。今思えば、模擬国連や国際機関でのインターンを経験しておけばよかったです。その一方で、最初から何かひとつの目標だけをめざすと視野が狭くなってしまうとも感じるので、その時々で興味のあることや語学の勉強に無性に没頭することもときには必要だと思います。その結果として、外務省専門職とは違う道が向いているとわかるかもしれませんし、視野を広く、思考を柔軟に持って過ごすのが大切だと思います。

日本と現地の安全・発展に尽くし人間力の高い外交官をめざす

──この4月からいよいよ外務省に入省となりますが、どのような仕事をしてみたいですか。また、どのような外交官になりたいですか。

今井 研修言語は英語(アメリカ語)になりました。強い関心のある安全保障の分野で、キャリアを築きたいと考えています。外交だけでなく、防衛省や自衛隊との連携がとても大切なので、円滑に進められるようにしたいですね。日米関係の安全保障、どの国と協定を結ぶべきかといった政策、核軍縮のための国際機関の枠組み 作りなど、興味のある様々な分野を通して、世界の平和のために貢献したいです。外交官はプライベートな人脈から重要な情報を得ることもあるなど、「公」と同時に「私」でも人間力の高さが求められると思います。仕事だけでなく、プライベート面でも魅力ある外交官になりたいですね。

齋藤 研修語はフランス語で、赴任先はおそらくアフリカです。自分の持つ、「アフリカ・経済・フランス語通訳」という3つを軸に、唯一無二の存在になりたいと思います。アフリカ大陸は日本から心理的にも距離的にも遠く、近隣諸国と比べて関係性もまだまだ薄い部分があります。紛争や政変など不安定な面が注目されがちですが、その裏でとても大きな可能性に満ち溢れた地域でもあります。経済協力外交や、正確な日本像を発信することに携わっていきたいです。国と国として、対等な立場でアフリカ諸国の持続的な発展を考えつつ、日本ならではのアプローチをしていきたいですね。現地の人々から「あなたのおかげで日本が好きになった」と言われるくらい、濃密な関係を構築できる外交官をめざします。

中井 研修語は朝鮮語です。朝鮮半島は地理的にも心理的にも近い存在ながら、現在は北朝鮮・韓国ともに関係は良好とは言えません。北朝鮮の核開発や日本へ向けてのミサイル発射といった脅威が続いていますが、日米韓で連携して北朝鮮の非核化や民主化を進めていくことに貢献したいです。そのためには日韓関係の改善も必要不可欠なので、併せて進めていきたいですね。理想の外交官像は、「外柔内剛」を体現する人。反日の機運の強い状況で、日本の立場を強硬に主張するだけでも、反対に相手国に耳触りのいいことを発信するだけでも、日本の国益は損なわれてしまいます。現地で信頼関係をしっかり築くとともに、ここは曲げられないという日本の国益についてはしっかり貫く、双方のバランスをとれる外交官になることが目標です。

── 最後に、外務省専門職をめざす方々に、メッセージをお願いいたします。

中井 外交官に憧れを抱く人は多いですが、実際に志望して、試験勉強という行動に移す人はわずかです。それでも必ずしも合格できる試験ではなく、簡単な道ではありません。しかし、近年は受験倍率も下がってきており、努力すれば報われる可能性が高い試験だといえます。他の公務員試験に比べて門戸が広く、いろいろな人が集まる点も魅力ですし、外交官という職を志向したならぜひ挑戦してほしいと思います。

今井 多様な分野や地域で働ける外務省での仕事はとても魅力的ですから、TAC・Wセミナーの様々な制度を活用してがんばってほしいです。ただ、常に広い視野を持って「なぜ外交官になりたいか」ということは問い続けてほしいです。私は民間企業と併願して就職活動を進めてきた経験から、たとえ外務省専門職員試験に合格できなかったとしても、それだけが唯一の道ではないと思えます。ぜひ広い目で見て、合格したあとも常に「考える」という意識を持ち続けてほしいと思います。

齋藤 「外交官になりたい」という強い意思を持ち、それをめざす環境が整っているのなら、ぜひ挑戦してほしいですね。試験勉強を終えて感じることですが、勉強していた時間というのはただ合格するためだけの時間なのではなく、自分の関心や新たな自分を発見できる過程だと思います。自分が将来、何をしたいのか、どうなりたいのかを発見できるステップですので、仮に試験に失敗したとしても、試験勉強で得たことが無駄になることは絶対にありません。ぜひチャレンジを!

── これから進む外交という仕事への、熱い情熱や大きな夢が伝わってくる座談会でした。みなさんの世界各国でのご活躍をお祈りしています。

[TACNEWS 2020年3月号|特集]

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