基本情報技術者試験の合格率は?難易度や問題傾向についても解説
IT業界で情報処理技術者になるための関門となる試験が「基本情報技術者試験」です。受験しようと考えている方の中には、会社から勧められたというケースもあるでしょう。
そのため、IT未経験者にとっては合格率が気になるかもしれません。そこで、基本情報技術者試験の合格率や難易度、問題傾向などについて解説していきましょう。
基本情報技術者試験の受験者の傾向
基本情報技術者試験の受験者の内訳は、次のようになっています。
・学生…約3割
・社会人…約7割
情報処理技術者試験のなかでも上位の試験である「応用情報技術者試験」の受験者のうち、学生の割合が1割程度であるのと比較すると、学生が受験する傾向の高い試験だといえるでしょう。
社会人の受験者を業界別でみると、ソフトウェア業と情報処理・提供サービス業が圧倒的に多く、その他製造業やサービス業などあらゆる業界の方が受験しています。
基本情報技術者試験の合格率
基本情報技術者試験の受験を検討する方にとって、合格率が気になるかもしれません。合格率や合格基準点などについて解説します。
基本情報技術者試験の合格率・受験者数の推移
基本情報技術者試験は年間の受験者数はほとんどの年で10万人を超えています。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響で、2020~2021年度の受験者数は10万人を下回っています。
一方、合格率の累計平均は27.4%です。一部の年の合格率は高いものの、おおむね23~27%を推移しています。
社会人は学生より合格率が低い?
学生のほうが社会人よりも合格率が若干高く、2009年度と2012年度だけが、社会人のほうが合格率が高くなっています。
理由として、情報技術系の学生が基本的なカリキュラムを履修したうえで受験していることが挙げられるでしょう。
基本情報技術者試験の合格基準点は?
基本情報技術者試験は科目A試験(旧午前試験)と科目B試験(旧午後試験)の2部から構成され、いずれも1,000点満点中600点以上をクリアしないといけません。
科目A試験は、ITパスポート試験に合格した方であれば、対策は難しくないといえるでしょう。それに対し、科目B試験は読解能力も必要なので、難易度が少しだけ高いといえます。
合格者の年齢の傾向
基本情報技術者試験の合格者の平均年齢は25.0歳です。合格者の大半は22~25歳に入ります。そのため、学生や業務経験の浅い社会人でも合格できる試験といえるでしょう。
とはいえ、最年少合格者には10代前半も複数いるほか、最高齢合格者は87歳であるため、何歳でも合格できる試験といえるかもしれません。
基本情報技術者試験の難易度
情報処理技術者試験として、ITパスポート試験からシステムアーキテクト試験やネットワークスペシャリスト試験など、難易度の異なる試験があります。
基本情報技術者試験は、4段階のうちレベル2に相当する試験です。そのため、情報技術系のカリキュラムを履修した学生やIT系で実務経験のある方にとって、難しい試験だとはいえません。
一方、ITに関する知識のない方にとっては、基本からすべて学習しないといけないので、勉強量は多いといえます。
基本情報技術者試験が難しい理由は?
情報技術系の勉強をしたことのない方やIT系の実務経験のない方にとっては、試験が難しく感じられるかもしれません。
基本情報技術者試験が簡単ではない理由として、次のようなことが考えられます。
まず、勉強時間を確保することが難しい点です。社会人が就業時間外で試験勉強用の時間を作ることは難しいかもしれません。
また、基本情報技術者試験で問われている知識だけでは実務で応用するイメージが湧きにくい点も挙げられます。それにより試験勉強のモチベーションが上がらないことも、基本情報技術者試験を受験するうえでのハードルといえるかもしれません。
ITパスポート試験との難易度比較
情報処理技術者試験のなかでもレベル1であるITパスポート試験との難易度を比較すると、ITパスポート試験の合格率は50%前後であることに対して、基本情報技術者試験の合格率は20~30%程度です。そのため、基本情報技術者試験は初心者向けの試験とはいえないでしょう。
とはいえ、両者の出題範囲にほとんど差はありません。しかし、基本情報技術者試験の科目B試験(旧午後試験)では読解力が必要とされる問題が出題されるため、少し難しいといえるでしょう。
未経験者にとってハードルが高い
情報技術系の勉強をした方やIT系で実務経験のある方にとっては、試験問題が難解とはいえないでしょう。ただ、未経験者は情報技術の基本をすべて学ぶ必要があるため、マスターするまでに時間がかかるかもしれません。
基本情報技術者試験に合格するためには、最低でも200時間の勉強が必要だといわれています。試験内容のなかでも、「アルゴリズムとプログラミング」の範囲は、パソコンやインターネットに触れている程度の方にとっては馴染みのない分野だといえます。
プログラム作成の基礎であるため、じっくりと勉強する必要があるでしょう。
情報系を履修した人も油断できない
情報技術系を勉強中の学生や業務で触れている社会人にとっても、油断はできません。
先述した「アルゴリズムとプログラミング」など「テクノロジ系」の試験が全体の半数以上 を占めているとはいえ、ITシステムの開発やソフトウェア開発などのプロジェクトを管理する「マネジメント系」や、著作権などの法律やPDCAサイクルなど企業活動に関連する「ストラテジ系」の問題は、システムエンジニアなど上位のエンジニアでないと業務で触れることが少ないため、注意が必要です。
基本情報技術者試験の問題傾向
最後に、基本情報技術者試験の問題傾向について確認しておきましょう。
試験制度解説
先述したように、基本情報技術者試験は科目A試験(旧午前試験)と科目B試験(旧午後試験)から成り立ち、試験時間は科目A試験が90分、科目B試験が100分です。
出題形式は異なり、科目A試験は四肢択一方式です。テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系から合計で60問出題されます。
他方、科目B試験は多肢選択式です。「情報セキュリティ」分野から4問、「アルゴリズムとプログラミング」分野から16問の合計で20問出題されます。
CBTで何が変わった?
2020年度の秋試験以降、CBT方式が実施されました。CBT方式とは、コンピュータに表示された問題を、マウスやキーボードで解答していく形式の試験です。
2021年1月の試験の合格率は57.9%で、例年よりも2倍以上の合格率になりました。CBT方式で問題が簡単になったわけではありません。
新型コロナの影響による試験の延期やどの日でも受験できるようになったため、万全な状態で試験に向かうことが合格率を押し上げたこと、コロナ禍により受験に意欲的な層が多く受験したことなどが原因だと予想されています。
科目A試験(旧午前試験)の選択肢問題の傾向
科目A試験(旧午前試験)問題60問のうち、半数程度は過去問題や何らかの試験で出題された問題を流用または改題しています。そのため、過去問演習を繰り返すことで、科目A試験を突破できる可能性が高くなるといえるでしょう。
ただし、CBT方式に変わったことで試験問題の持ち帰りが不可になっただけでなく、試験問題を口外できなくなったので、注意が必要です。
傾向に左右されずにしっかりとした対策を
CBT方式に試験の形式が変更され、直近の合格率が高くなったからといって、油断はできません。問題の難易度は以前の試験とほとんど変わっていません。
基本情報技術者試験は、ITエンジニアのすべてに通じる基本的な内容であり、就職に有利なだけでなく、実務への応用も効きます。そのため、傾向に左右されずしっかりとした対策を取る必要があるでしょう。
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