FPの気になるところをまるっと解説! FP(ファイナンシャルプランナー)の資格制度は?
「ファイナンシャルプランナー(以下、FP)」の資格には、ファイナンシャルプランニング技能士やAFP・CFP®など様々な種類があります。
この記事では、FPの資格制度について、講師と受講生の会話でわかりやすくご説明します。
登場人物のご紹介
陽葵(ヒマリ)さん
最近のお金に関するニュースから、将来に不安を感じているものの、何をすればよいかわからない状態。そのような中、FP(ファイナンシャルプランナー)という資格に興味をおぼえている今日この頃。
宅久(タック)先生
現役のファイナンシャルプランニング技能士1級、CFP®として実務の世界で活躍中。また、とある受験指導校で講師として登壇し「FPの魅力と将来性」を伝えるべく日々奮闘中。
金融財政事情研究会と日本ファイナンシャルプランナーズ協会
FPの資格ってたくさんありますよね?
知恵さん
鑑先生
たしかに、多いですよね。まず、確認しておきたいのは、試験実施団体が二つあることです。一般社団法人金融財政事情研究会(以下、金財)と特定非営利活動法人(NPO法人)「日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(以下、日本FP協会)」です。どちらかの団体で受検することになります。
両者で異なるところはありますか?
試験形式や問題が一部異なります。
そうなると、金財、日本FP協会、どちらの試験で合格した方が就職・転職に有利になるといったことはありますか?
いい質問ですね。ここが大事なところですが、日本FP協会で合格しても、金財で合格しても「資格の価値は変わらない」ということです。
それならば、自分が得意な方を選んでも良いということですね?
はい、その通りです、といいたいところですが、就職先・転職先で試験実施団体を指定される場合がありますので、事前に先方に確認しておいてください。
ちなみに、特に指定がない場合、日本FP協会で受検される方が多いようです。学習で得られた知識とスキルを実生活で活用するには、FPで学ぶ6分野が満遍なく出題される日本FP協会の方がふさわしいと考えていらっしゃるようです。
ファイナンシャルプランニング技能士とAFP・CFP®
数ある資格の中で、「ファイナンシャルプランニング技能士(以下、FP技能士)」と「AFP・CFP®」の違いについて教えてください。
まず「FP技能士」ですが、「国家資格」であること、そして、難度の低い順から3級・2級・1級と級別に分かれていることです。
3級・2級・1級と分かれていますが、どのような違いがありますか?
例として試験範囲についてですが、3級・2級・1級とも出題される課目自体は変わらないのですが、論点が変わってきます。下の3級・2級の出題範囲表をご覧ください。
3級・2級の出題範囲 | 2級のみの出題範囲 | |
---|---|---|
A.ライフプランニングと資金計画 | (1)ファイナンシャル・プランニングと倫理 (2)ファイナンシャル・プランニングと関連法規 (3)ライフプランニングの考え方・手法 (4)社会保険 (5)公的年金 (6)企業年金・個人年金等 (7)年金と税金 (8)ライフプラン策定上の資金計画 (9)ローンとカード (10)ライフプランニングと資金計画の最新の動向 |
(11)中小法人の資金計画 |
B.リスク管理 | (1)リスクマネジメント (2)保険制度全般 (3)生命保険 (4)損害保険 (5)第三分野の保険 (6)リスク管理と保険 (7)リスク管理の最新の動向 |
|
C.金融資産運用 | (1)マーケット環境の理解 (2)預貯金・金融類似商品等 (3)投資信託 (4)債券投資 (5)株式投資 (6)外貨建て商品 (7)保険商品 (8)金融派生商品 (9)ポートフォリオ運用 (10)金融商品と税金 (11)セーフティネット (12)関連法規 (13)金融資産運用の最新の動向 |
|
D.タックスプランニング | (1)わが国の税制 (2)所得税の仕組み (3)各種所得の内容 (4)損益通算 (5)所得控除 (6)税額控除 (7)所得税の申告と納付 (8)個人住民税 (9)個人事業税 (10)タックスプランニングの最新の動向 |
(11)法人税 (12)法人住民税 (13)法人事業税 (14)消費税 (15)会社、役員間および会社間の税制 (16)決算書と法人税申告書 (17)諸外国の税制度 |
E.不動産 | (1)不動産の見方 (2)不動産の取引 (3)不動産に関する法令上の規制 (4)不動産の取得・保有に係る税金 (5)不動産の譲渡に係る税金 (6)不動産の賃貸 (7)不動産の有効活用 (8)不動産の証券化 (9)不動産の最新の動向 |
|
F.相続・事業承継 | (1)贈与と法律 (2)贈与と税金 (3)相続と法律 (4)相続と税金 (5)相続財産の評価(不動産以外) (6)相続財産の評価(不動産) (7)不動産の相続対策 (8)相続と保険の活用 (9)相続・事業承継の最新の動向 |
(1)事業承継対策 (2)事業と経営 |
こうして見ると、3級と2級の出題範囲はほぼ同じですが、3級の出題範囲が「個人」のファイナンシャル・プランニングのみだったのに対して、2級では新たに「法人」のファイナンシャル・プランニングが追加されていることがわかります。
さらに、出題内容も3級が入門レベルなのに対し、2級はより実践レベルの知識を要求されます。たとえば、制度の基本的な仕組みや要件を知っているかを単純に問うのが3級レベルであるのに対し、それらの知識を前提とした上で具体的な金額を計算させたり、例外規定まで問われたりするのが2級レベルとなります。
そして、1級になるとさらに細部にまで出題されるのはもちろん、3級、2級以上に時事的要素の強い内容も出題されますので、FPの試験範囲に関する事柄に関連したニュースには常日頃から意識しておく必要があります。
わかりやすく表現すると?
少し乱暴な表現にはなりますが、暮らしのお金に関する法律や制度の仕組み、専門用語について「知っている」レベルが3級レベル、その知っている内容を相手に「説明できる」レベルが2級レベルです。そして、数ある選択肢の中から顧客にとってふさわしい選択肢を「提案できる」レベルが1級レベルといえます。
いまひとつイメージしにくいのですが?
「自動車の運転免許」をお持ちの方であればイメージしやすいかもしれません。3級は「仮運転免許」、2級・AFPは「普通免許」、1級・CFP®は「大型免許」といったところでしょうか。
金融業界や保険業界、不動産業界における普通免許が2級・AFPであり、プロフェッショナルとして広く活躍したいのであれば、ぜひとも専門性の高い大型免許でもある1級・CFP®を目指していただければと思っております。くれぐれも仮運転免許で満足していてはいけませんよ。
次に「AFP・CFP®」について教えてください。
「AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)」とは、日本FP協会が認定する国内民間資格です。2級FP技能検定の合格とAFP認定研修の修了といった要件を満たし、FP協会へ登録することで、付与される資格です。2年ごとの資格更新に所定の継続教育が義務付けられています。
「CFP®(サーティファイド ファイナンシャル プランナー)」とは、AFPの上級資格であり、国際CFP®組織FPSBとのライセンス契約の下に日本FP協会が認定する国際民間資格です。AFP資格と同様に2年ごとの資格更新に所定の継続教育が義務付けられています。
「継続教育」とは何ですか?
FPは、法令や社会保障制度、経済環境、金融商品など業務で取り扱う内容は日々変化するものであり、顧客に対して常に最新の情報が提供できるように、継続的に知識や技能の維持・向上に努める必要があります。 そこで、一時期の知識や技能にとどまらないよう資格更新にあたり義務付けられた制度が「継続教育」です。継続教育には研修の受講の他に執筆活動や講師活動、勉強会への参加などが挙げられます。
FP技能士にも資格更新のための「継続教育」はありますか?
FP技能士にもありますが「任意」となっています。FP技能士自体に資格の有効期限がないので、更新の必要がないからです。AFP・CFP®は「強制(義務)」である点が大きく異なります。
資格更新制度がないFP技能士だけ取得すればいいような気がしますが。
必ずしもそうとは限りませんよ。自分が顧客としてFPに相談するケースを考えてみましょう。資格更新制度がない=自分自身で最新情報を収集しなければいけないFP技能士と、資格更新制度が義務付けられた=FP協会認定の下、正確な最新情報を身につけているAFP・CFP®のどちらに相談したいと思いますか。
たしかに、そうですよね。気づきませんでした。
もちろん、ご自身でしっかりと最新情報をカバーされているFP技能士の方もいらっしゃるとは思いますが、顧客に対する「信頼度」を考えれば、ぜひ「AFP・CFP®も」取得すべきだと思います。
「AFP・CFP®も」というのは?
FP技能士とAFP・CFP®は同じFPの資格ですが、両方とも取得することができます。ですから、FPを生業とされている方の多くは名刺に「1級ファイナンシャル・プランニング技能士/CFP®」と両方が記載されています。
AFP認定研修と「提案書」
AFP資格を取得するにあたって調べていたら「AFP認定研修」という言葉が出てきましたが、どのような研修なのでしょうか?
「AFP認定研修」とは、AFP資格を取得するにあたって修了しなければいけない研修講座のことで、日本FP協会が認定した教育機関で実施されています。TACも認定教育機関となっており、「3・2級本科生」「2級本科生」「税理士特例コース」「AFP認定研修(技能士課程)」を開講しています。
特に「3・2級本科生」「2級本科生」に関しては、受講要件は不要ですので、どなたでもご受講いただけます。
講義を受けるだけでよいのですか?
講義を受けるのはもちろんなのですが、AFP認定研修の修了要件として「提案書」を提出し、合格する必要があります。
「提案書」とはどういうものですか?
「提案書」とは、ライフプランを実現するための計画書のことであり、架空の家族を題材に講義で習得した知識とスキルを活用しながら、相談内容に対応した改善策を提示した書類(レポート)が「提案書」となります。
かなり難しいのですか?
そんなに身構えなくても大丈夫ですよ。TACでは「提案書の作成」という講義を設けており、提案書の作成方法をレクチャーします。例題を用いながら提案書の構成や必要となるライフプランの知識の確認など指導していきますので、ご安心ください。
もし不合格だった場合はどうなりますか?
不合格の場合、再提出が認められています。その際にはどの点を見直せばよいのかといった指導を行いますので、心配しなくても大丈夫ですよ。
分量的にはどれぐらいなのでしょうか?
分量としては、本文自体はA4用紙で10~15枚程度、これにキャッシュフロー表などの資料を加えると15~20枚程度になります。ただ、提案書もある程度書式(フォーマット)が定まっており、一から作り上げる必要はありません。
それを聞いて安心しました。
提案書に合格すると研修修了となり、「AFP認定研修修了証明書」が発行されます。
これで一連の手続きを経れば、AFPの資格を取得できるのですね?
いえ、そうとは限りません。「税理士特例コース」「AFP認定研修(技能士課程)」の方はそれでよいのですが、「3・2級本科生」「2級本科生」の方は、2級試験に合格する必要があります。2級試験がAFP資格審査試験を兼ねているのです。
「2級試験に合格する」ということは、2級を受験できるのですか?
はい。AFP認定研修を修了すれば、2級を受験することができます。そして、この権利がなくなることはありません。
ということは、3級に合格していなくてもよいということですね。
その通りです。ですから、早く2級の資格を取得したい方は「2級本科生」をお勧めします。
それはとっても効率的ですね。
「FP(ファイナンシャルプランナー)の資格制度」のまとめ
- 金財、日本FP協会のどちらで受検しても、取得できる資格は同じです。
- 金財、日本FP協会において、学科試験は問題が同じですが、実技試験は異なるので注意。
- AFP、CFP®は資格更新制度になっているため、最新の知識を維持できるという大きなメリットがあります。
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