電気工事施工管理技士は難しい?
難易度・合格率・他の電気系資格との違いを解説!
ここでは、1級電気工事施工管理技士資格の試験内容、合格率や難易度について解説します。
結論から言うと、難易度は「普通~やや難」くらいで、第一種電気工事士より「やや難」です。電気工事施工管理技士試験は、何年間も勉強をしないと合格できないような難関の試験ではありません。しっかり対策すれば一発合格できる試験です。
ただし、実務経験年数など受験資格があるので、だれでも受検できる資格ではありません。
1級電気工事施工管理技術検定試験の内容
1級電気工事施工管理技士は難しい資格なのかを見ていく前に、まずは試験の内容から確認していきます。
第一次検定|1級電気工事施工管理技術検定
第一次検定試験の科目及び検定基準は、下表の内容です。
電気工学等・施工管理法(知識・能力)・法規の科目から出題され、解答方式はマークシート方式です。
検定科目 | 検定基準 | 知識/能力 | 解答形式 |
---|---|---|---|
電気工学等 | 1.電気工事の施工の管理を適確に行うために必要な電気工学、電気通信工学、土木工学、機械工学及び建築学に関する一般的な知識を有すること。 2.電気工事の施工の管理を適確に行うために必要な発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等に関する一般的な知識を有すること。 3.電気工事の施工の管理を適確に行うために必要な設計図書に関する一般的な知識を有すること。 |
知 識 | 四肢択一 (マークシート) |
施工管理法 | 1.監理技術者補佐として、電気工事の施工の管理を適確に行うために必要な施工計画の作成方法及び工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工の管理方法に関する知識を有すること。 | 知 識 | 四肢択一 (マークシート) |
2.監理技術者補佐として、電気工事の施工の管理を適確に行うために必要な応用能力を有すること。 | 能 力 | 五肢択一 (マークシート) |
|
法 規 | 建設工事の施工の管理を適確に行うために必要な法令に関する一般的な知識を有すること。 | 知 識 | 四肢択一 (マークシート) |
第二次検定|1級電気工事施工管理技術検定
第二次検定試験の科目及び検定基準は、下表の内容です。 施工管理法について記述式及びマークシート方式で解答します。
検定科目 | 検定基準 | 知識/能力 | 解答形式 |
---|---|---|---|
施工管理法 | 1.監理技術者として、電気工事の施工の管理を適確に行うために必要な知識を有すること。 | 知 識 | 五肢択一 (マークシート) |
2.監理技術者として、設計図書で要求される発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等(以下、「電気設備」という。)の性能を確保するために設計図書を正確に理解し、電気設備の施工図を適正に作成し、及び必要な機材の選定、配置等を適切に行うことができる応用能力を有すること。 | 能 力 | 記 述 |
合格基準|1級電気工事施工管理技術検定
-
第一次検定
全体 :得点が60%以上
施工管理法(応用能力):得点が50%以上 -
第二次検定
得点が60%以上
受検資格
次に、電気工事施工管理技士の受検のハードルとなっている受検資格についてみていきます。
電気工事施工管理技士の資格は、取得するには所定の実務経験を積まなければなりません。まずは「自分は受験資格があるのか」を確認することが必要です。実務経験年数は学歴や保有資格によって異なるので、前もってしっかり確認しておきましょう。
また、省令改正により、令和6年から受検資格を見直しが予定されています。
令和5年度(2023年度)第一次検定の主な受験資格|1級電気工事施工管理技士
- 下表の受検資格の区分のイ~ホに該当する方は、第一次検定を受検可能です。
- 区分イ~ニに該当する方は、第一次検定合格後、第二次検定受検手数料の支払いにより同じ年度の第二次検定を受検できます。
- 区分ホに該当する方は、第一次検定のみ受検可能です。この区分で第一次検定の合格した場合、そのままでは、第二次検定の受検資格を満たしていないため、同じ年度の第二次検定は受験できません。翌年度以降、区分イ~ニのいずれかの受験資格に該当するときには、第二次検定への新規受検申込が可能です。
- 令和3年度以降の第一次検定合格は、第二次検定の受検にあたって、有効期間や受検回数の制約はありません。
表中の実務経験年数には、「指導監督的実務経験」を1年以上含むことが必要です。
指導監督的実務経験とは、現場代理人、主任技術者、工事主任、設計監理者、施工監督などの立場で、部下・下請けに対して工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいいます。
受験資格に関する詳細については、必ず最新の「受検の手引」にてご確認ください。
区分 | 学歴・資格 | 電気工事施工管理に関する実務経験年数 | ||
---|---|---|---|---|
指定学科 | 指定学科以外 | |||
イ | ||||
大学 専門学校の「高度専門士」 |
卒業後3年以上の実務経験 | 卒業後4年6ヶ月以上の実務経験 | ||
短期大学 高等専門学校(5年制) 専門学校の「専門士」 |
卒業後5年以上の実務経験 | 卒業後7年6ヶ月以上の実務経験 | ||
高等学校 中等教育学校(中高一貫校) 専門学校の専門課程 |
卒業後10年以上の実務経験※1※2 | 卒業後11年6ヶ月以上の実務経験※2 | ||
その他(学歴は問わず) | 15年以上の実務経験※2 | |||
ロ | 第一種、第二種または第三種電気主任技術者免状の交付を受けた者 | 6年以上の実務経験を有する者(免状交付後ではなく通算の実務経験年数です) | ||
ハ | 第一種電気工事士免状の交付を受けた者 | 実務経験年数は問わず | ||
二 | ||||
2級電気工事施工管理技術検定第二次検定※合格者(※令和2年度までは実地試験) | 5年以上の実務経験※1※2 | |||
2級電気工事施工管理技術検定第二次検定※合格後、実務経験が5年未満の者(※令和2年度までは実地試験) | 短期大学 高等専門学校(5年制) 専門学校の「専門士」 |
上記イの区分参照 | 卒業後9年以上の実務経験※2 | |
高等学校 中等教育学校(中高一貫校) 専門学校の専門課程 |
卒業後9年以上の実務経験※2 | 卒業後10年6ヶ月以上の実務経験※2 | ||
その他(学歴は問わず) | 14年以上の実務経験※2 | |||
ホ | ||||
区分ホの受験資格は、第一次検定のみ受検可能です。この区分で受検申請した場合、第一次検定合格後、同じ年度の第二次検定を受検することができません。 | ||||
2級電気工事施工管理技術検定第二次検定※合格者(※令和2年度までは実地試験) | 実務経験年数は問わず |
- 主任技術者の要件を満たした後、専任の監理技術者の配置が必要な工事に配置され、監理技術者の指導を受けた2年以上の実務経験を有する方は、表中※1印がついている実務経験年数に限り2年短縮が可能です。
- 指導監督的実務経験として「専任の主任技術者」を1年以上経験した方は、表中※2印がついている実務経験年数に限り2年短縮が可能です。
実務経験年数には、1年以上の指導監督的実務経験を含むことが必要です。
その他注意事項、指定学科の詳細、実務経験として認められる工事種別・工事内容等の詳細については、最新の「受検の手引」、一般財団法人 建設業振興基金ホームページ(https://www.fcip-shiken.jp/)にて必ずご確認ください。
令和5年度(2023年度)第二次検定の主な受験資格|1級電気工事施工管理技士
下記のいずれかに該当する方が受検申込可能です。
受験資格に関する詳細については、必ず最新の「受検の手引」にてご確認ください。
- 技術士法による技術士の第二次試験のうちで技術部門を電気電子部門、建設部門又は技術監理部門(選択科目が電気電子部門又は建設部門)に合格した者で、上記区分イ~ニのいずれかの受験資格を有する者
- 令和3年度以降の1級電気工事施工管理技術検定第一次検定合格者のうち、上記の区分イ~ニのいずれかの受検資格で受検した者
- 令和3年度以降の1級電気工事施工管理技術検定第一次検定合格者のうち、上記の区分ホの受検資格で受検した者で、上記の区分イ~ニのいずれかの受検資格を有する者
- 同じ年度の第一次検定の合格者【上記の区分イ~ニの受検資格で受検した者に限る】
その他注意事項、受験資格に関する詳細については、最新の「受検の手引」、一般財団法人 建設業振興基金ホームページ(https://www.fcip-shiken.jp/)にて必ずご確認ください。
令和6年度(2024年度)より
省令改正により、大学、高等専門学校、高等学校又は中等教育学校において国土交通大臣が定める学科を修めて卒業した者等については、第一次検定の一部を免除するなど、受検資格の見直しが予定されています。
合格率からみる難易度
1次検定(旧筆記試験)の合格率は、4割~5割で推移、2次検定(旧実地試験)の合格率は、6割~7割で推移しています。受験者のレベルが第一種電気工事士や2級電気工事施工管理技士と取得している者であるため、多少受験者全体のレベルはあがりますが、着実に学習した方は合格できる試験となっています。
2次試験は比較的合格率が高いものの、実際の現場での対策方法等の記述試験ですので、合格率だけをみて勉強の程度を軽くするのはオススメできません。
年度 | 一次検定(学科試験) | 二次検定(実地試験) | ||
---|---|---|---|---|
受験者 | 合格率 | 受験者 | 合格率 | |
2016年 | 17,774 | 46.0% | 10,619 | 69.1% |
2017年 | 17,922 | 48.0% | 10493 | 62.5% |
2018年 | 16,989 | 56.1% | 12,034 | 73.7% |
2019年 | 15,048 | 40.7% | 8,114 | 66.3% |
2020年 | 14,407 | 38.1% | 6,723 | 72.7% |
2021年 | 15,001 | 53.3% | 7,922 | 58.8% |
2022年 | 16,883 | 38.3% | - | - |
平均 | 16,289 | 45.8% | 9,318 | 67.2% |
他の電気系資格との違い・難易度比較
1級電気工事施工管理技士資格の難易度は他の電気系資格と比較すると「普通~やや難」くらいで、第一種電気工事士より「やや難」です。第二種電気工事士の筆記試験は、1級電気工事施工管理技士とかぶる部分もありますが、計算を中心に易しめのものが多く、基礎練習をしたい方に向いているかとは思います。一方、第一種電気工事士の問題は電気工事施工管理技士の練習には適当で、少し苦手な分野を基礎から練習したいという方には向いています。以上の話から、第一種電気工事士よりも1次試験は難しく、2次試験も記述ではありますが、当日まで問題が分からない点や実務経験が豊富でないと解答の難しい問題も含まれている点が、工事士よりも難易度の高い要因となります。
とはいえ、電気工事施工管理技士試験は、何年間も勉強をしないと合格できないような難関の試験ではありません。しっかり対策すれば一発合格を狙える試験です。他の電気系資格との違いやレベルについてみていきましょう。
電気工事施工管理技士以外の電気系資格には、電気工事士、電気主任技術者があります。
電気工事士との違い
電気工事士には、第一種電気工事士と第二種電気工事士があります。
第二種電気工事士は、一般住宅や店舗などの600V以下で受電する設備の工事に従事できる資格です。第一種電気工事士は、第二種の工事範囲に加えて、最大電力500Kw未満の工場、ビルなどの工事ができる資格です。これらの業務は電気工事士法によって免状交付を受けた電気工事士にしかできない仕事です。
電気工事士試験は誰でも受験可能です。実際工具を使用して簡単な配線を行う技能試験があるのが特徴です。
なお、第一種電気工事士の免状申請には3年の実務経験が必要です。
電気主任技術者との違い
電気主任技術者の資格は、取り扱うことができる電圧によって、第1種から第3種までの3種類あります。
種別 | 取り扱える範囲 |
---|---|
第一種 | すべての事業用電気工作物 |
第二種 | 電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物 |
第三種 | 電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物 (出力5千キロワット以上の発電所を除く) |
電気設備を設けている事業主は、電気設備の工事・保守や運用などの保安の監督者として、電気主任技術者を選任しなければならないことが法令で義務づけられています。電気主任技術者は社会的評価が高い資格と言えるでしょう。
電気主任技術者試験は誰でも受験可能で、試験に合格するだけで、実務経験なしで免状申請ができます。
各試験の合格率からみる難易度
各資格試験の一次(学科)×二次(実技)の合格率は以下のとおりです。
各試験の難易度は、次の関係と言えます。
第二種電気工事士 < 2級電気工事施工管理技士 < 第一種電気工事士 < 1級電気工事施工管理技士 << 第三種電気主任技術者
ほとんどの人は、電気工事士は二種から一種へ、電気主任技術者は3種から取得します。
しかし、電気工事施工管理技士の場合は、現場経験が長かったり、第一種電気工事士の資格を持っていたりすることで、2級を飛ばして1級から受験する方が多くいます。
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