中小企業診断士はなくなる資格?役に立たないといわれる理由、取得のメリットを解説
中小企業診断士は、「役に立たない」「なくなる」といわれることがあります。しかし、実際にはさまざまなメリットがある資格です。今回は、中小企業診断士が「なくなる」といわれる理由や魅力・メリット、資格が活きるパターン、試験の概要を解説します。ぜひ参考にしてください。
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中小企業診断士が「なくなる」といわれる主な理由
中小企業診断士の資格について調べていると、「なくなる資格だ」といわれることがあります。中小企業診断士とは経営コンサルタントに関する国家資格であり、ビジネスに関する幅広い知識やスキルを身に付けられる資格です。一方で、「なくなる」といわれる理由もたしかにあります。
「なくなる」といわれる理由は、以下のとおりです。
- 資格のみで独立するのは難しいから
- 独占業務が存在しないから
はじめになぜ「なくなる」「役に立たない」といわれることがあるのか主な理由をチェックしていきましょう。
理由1.資格のみで独立するのは難しいから
中小企業診断士がなくなるといわれているのは、資格のみで独立するのは難しいことが理由のひとつです。国家資格であるものの、中小企業診断士としての知識のみで食べていくことは難しいといわれています。
ただし、異なる分野の知識や資格と組み合わせれば、ほかの事業者との差別化が図れ、独立診断士として活躍しやすくなるでしょう。また、中小企業診断士資格のみ保有する場合は、企業内中小企業診断士として働くケースが多いです。経営部門での活躍にもつなげられます。
理由2.独占業務が存在しないから
中小企業診断士には独占業務が存在しないことも、「なくなる」といわれる理由のひとつです。独占業務とは、ある特定の資格を持っている方しか対応できない業務のことを指します。
中小企業診断士の業務には有資格者のみに許可されたものがないため、無資格者やほかの資格の保持者でも対応可能です。その分資格を取った人材としての希少性が薄れて、資格なしで経営コンサルタントをしている人など競合相手が多くなってしまいます。
中小企業診断士の魅力やメリット
先述のとおり、「中小企業診断士がなくなる」といわれていることには複数の理由があります。しかし結論をいうと、中小企業診断士はなくなりません。
中小企業診断士には、実際は以下のようにさまざまな魅力やメリットがあります。
- AIに代替される心配がない
- 実践的な知識が身に付きスキルアップできる
- ダブルライセンスで活躍の場が広がる
それぞれの魅力やメリットを確認していきましょう。
AIに代替される心配がない
中小企業診断士の仕事内容は、AIでは代替できない可能性が高いといわれています。AIに代替される心配が少ないとされている理由は、中小企業診断士には「高いコミュニケーション能力」「数字に表れないものを読み取る能力」の2つの能力が必要であることです。
人間の感情や考えを汲み取る力がないAIには、これらの能力が必要となる中小企業診断士の仕事は向きません。今後も高いニーズが見込まれる仕事だといえます。
実践的な知識が身に付きスキルアップできる
中小企業診断士の知識を得ることで、会社経営の構造理解が深まり、企業内で重宝される人材へとスキルアップできることもメリットです。中小企業診断士の勉強をすると横断的な視点が身に付き、企業の経営状態によって経営資源を適切に配分できるようになります。
経営に関する一定の能力を有している証になること、経営に携わっていくための登竜門となることなどが魅力の資格です。
ダブルライセンスで活躍の場が広がる
自分の得意分野やダブルライセンスによって活躍の場がさらに広がることも、資格を取得する魅力だといえます。たとえば、社会保険労務士とのダブルライセンスで、コンサルティングからアウトソーシングまでを対応可能です。
また、さらに行政書士の資格をあわせることで、企業経営をまるごとサポートできるなど、活躍の場を広げられます。
中小企業診断士資格が活きる3つのパターン
中小企業診断士資格が活きる3つのパターン
- 経営コンサルタントとしての独立開業
- 社内での昇進、昇格
- さまざまな分野への転職
また、副業をして本業と別に中小企業診断士としての収入を得ることもできます。それでは、どのようなときに中小企業診断士の資格が活きるのかをチェックしていきましょう。
1.経営コンサルタントとしての独立開業
中小企業診断士は、経営コンサルタントなどとしての独立開業を目指す場合に活用できます。経営コンサルタント自体は、資格がなくても誰でも名乗れる仕事です。
資格を取得することで、多くのコンサルタントのなかで差別化を図れます。資格の学習で企業経営に関する知識を横断的に身に付けられることもあり、クライアントからの信頼を得やすくなるでしょう。
2.社内での昇進、昇格
社内での昇進や昇格を目指す場合にも、中小企業診断士の資格が活きます。どのような職種でも役に立つ実践的な知識が身に付くこともあり、社内外から高い評価を受けやすくなって、昇進・昇格できるチャンスが増えるでしょう。
また、とくに経営企画職などの希望部門への異動 がしやすくなり、さらに資格手当がもらえる企業もあるなど、中小企業診断士の資格が活きるシーンは複数あります。
3.さまざまな分野への転職
中小企業診断士は、転職を検討しているシーンでも役立つ資格です。中小企業診断士の試験は難易度が高いため、資格の取得によって優秀な人材であることのアピールができます。
コンサルティングにおける高い能力を証明できることも、転職の際に有利になるでしょう。とくに地方であれば公的機関からの案件が多いなど、中小企業診断士の需要が高いため転職しやすい傾向にあります。
独学可能?中小企業診断士の試験概要
中小企業診断士の試験内容は、勉強する範囲が広いです。独学でも合格は目指せるものの、非効率的になりがちなため、資格予備校を活用すると良いでしょう。中小企業診断士は難易度が高い資格です。合格に必要な勉強時間は、約1,000時間だといわれています。
仕事をしつつ時間を作るのは容易ではないものの、実際の受験者の多くは働いている方です。働きながらでも十分に目指せる資格だといえるでしょう。それでは、中小企業診断士の試験概要をチェックしていきましょう。
中小企業診断士の試験制度
中小企業診断士になるためには、1次試験、2次試験と複数の試験を突破する必要があり、そのすべてに合格する確率は3~8%ほどといわれています。
1次試験はマークシート方式の試験で、絶対評価です。2次試験は筆記試験と口述試験があり、上位約20%が合格する相対評価が採用されています。また、合格基準は1次試験と2次試験とで異なります。1次試験の場合、「総得点の60%以上かつ、すべての科目で40点以上」「科目ごとの合格基準が満点の60%以上」などが合格基準です。
※参考:中小企業診断協会資料
独学は非効率的
独学は重要点とそうでないところがわかりにくく、必要以上の勉強時間が必要となってしまいやすいです。間違った解釈をしてしまうこともあるため、独学より資格予備校に通うほうが効率的だといえます。
中小企業診断士は、ただでさえ多くの勉強時間が必要な試験です。合格を目指すならば、効率よく勉強する戦略を立てることが大切だといえるでしょう。モチベーション維持のためにも、うまく資格予備校を活用することをおすすめします。
中小企業診断士はなくならない将来性のある資格
中小企業診断士が「なくなる」といわれる理由は、「資格のみで独立するのは難しい」「独占業務が存在しない」「就職に直結する資格ではない」などです。とはいえ、「実践的な知識が身に付きスキルアップできる」「ダブルライセンスで活躍の場が広がる」などのメリットもあります。
仕事の特性上AIに代替されにくいといえることもあり、中小企業診断士は今後もなくならない、将来性のある資格だと考えられるでしょう。中小企業診断士の試験概要などを参考にして、資格の取得と活用を目指しましょう。
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