タックスファンタスティック　Tax Fantastic!!第16回テーマ サブスクと税理士

監　子　税太君、ちょっと手伝ってほしいことがあるんだけど。

襟　糸　ちょっと待った監子君、僕のかわいい部下に仕事を頼むときは、僕にまずは許可を得たまえ。

監　子　税太君はもともとはSEだったんでしょ？今私が担当している買収案件はIT企業が対象なのよ。リスクについてみてほしいのよね。

襟　糸　こらこら、スルーとは何事だ！税太だって忙しいんだ。なぁ税太？

税　太　忙しいですけど、是非その仕事もやってみたいです！

監　子　ということで、決まり！対象会社は、月額制の有料アプリで介護する人とされる人をマッチングするサービスを提供している、いわゆるサブスクの会社なのよ。売り手側の主張としては、介護サービスの需要は今後ますます増えるし、このように定額で収入が入るのは非常に価値が高いのだから、この会社の売買価格は高くなるはずだということなの。でも、どこか納得できないところがあって。

税　太　リスクとしては有料会員の顧客の解約がありますね。でも介護サービスの需要は確かに手堅いですし、よほどの欠陥がなければ解約は起きないと思うのですが。

襟　糸　甘いな、税太。今後技術が進化して、そのアプリにとっておきの機能、たとえば動画配信機能がリリースされる時を考えよう。会社としては開発コストがかさむから会員費を値上げしたいだろう。だけど実際は、なかなか大きく値上げしづらいと思う。というのは、顧客から、その動画配信機能はそんな大した機能ではない、今までの会員費の範囲でいいじゃないか？と言われがちだからだ。それでも値上げしようとすると、「だったら解約しちゃおうかな」という顧客も出てくるかもしれない。

監　子　ちょっとちょっと、どうしたのよ襟糸先輩。いつもと違ってキャラが税太君と入れ替わって的確なアドバイスしているじゃないの！

襟　糸　フフフ、ジャイアンだって映画版ではいいやつだろ？それと一緒さ。

監　子　その気障りなセリフは余計だけど…。今回は映画版じゃないし…。でも、一体どうして？

税　太　監子さん、襟糸先輩はいつもそのサブスクに悩まされているんです。税理士は基本的に税務顧問報酬をお客様から頂いています。今回のアプリの話と同じように定額で収入が入るのですが、税理士業界は価格の競争が激しく、収益性は実はそこまでよくないことが多いんです。たまにお客様で非常事態があって、複雑な組織再編スキームを実行するようなケースがあったとしても、すでに顧問をしている場合は別途報酬をなかなか頂きにくいんです。おそらくその悔しさが先ほどの発言ににじみ出たものと思われます。

監　子　税太君こそ素晴らしい分析力と先輩愛ね。うん、なんか感動！

税　太　いえいえ。あ、僕はこのあと勉強のために専門学校に行ってきます！

監　子　うん、いってらっしゃい！襟糸先輩、今日はちょっと見直したわよ。

襟　糸　フフフ、最後に１つ。今税太君が仕事のあとに学校に行くといっただろ？メインの仕事の後に「サブ」として「スクール」に通うこと、これを「サブスク」と言うんだ。

監　子　えー、私もひと言言わせてもらいます。それ、まじでサブっ！（笑）