国家総合職 合格体験記
自分の歩幅で、着実に
山本 愛さん
DATA BANK
内定省庁 | 外務省 |
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出身校 | 東京大学公共政策大学院 |
コース | 政治・国際本科生 |
受験区分 | 大卒程度 政治・国際区分 |
- 国家総合職を目指した理由・キッカケ
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外交官を目指して
元々、中学高校時代から、学校での平和学習や、日本史・世界史への興味から、生まれ育った日本に軸足を置きつつ、国際社会で働ける職種の代表例として、外交官に漠然と憧れていました。本格的に目指す契機となったのは、学部時代(上智大学法学部)に経験した交換留学と外務省でのインターンです。留学先では、授業等で、国際社会に日本の立場や考え方を伝える難しさを実感しました。外務省でのインターンやその後の説明会を通じて、学部・院にて専攻している国際法に加え、あらゆるツールを通じて多数の国々に交渉・説得する「外交」という仕事に魅力を感じ、間口を広く取り組むことのできる国家総合職としての、外務省内定を目指しました。
- TAC・Wセミナーを選んだ理由・良かったところ
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圧倒的な情報量と実績、充実した教材
選んだ理由は、圧倒的な情報量と実績にあります。また、政治・国際区分の教材が充実していることも魅力でした。実は、学部時代にも外務省を目指しましたが、当時は情報不足と知識不足で悔しい経験をしました。さらに、当初は法律区分での受験を見据えて対策していましたが、その先の官庁訪問対策では、事あるごとに外交政策に対する知識不足を痛感していました。そこで今回は、専攻(法律)とは異なるものの、出題内容に外交政策に関する知識を多く含む、政治・国際区分での受験を決めました。当初は、何から手を付けてよいかわからず不安でしたが、講義をスケジュール通りに受講し復習を繰り返すことで、政治・国際区分を席次1番で最終合格することができました。
- 所属校舎または講師のおすすめポイント
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渡辺講師の講義(憲法・行政法)
おすすめは、早稲田校での、渡辺講師の講義(憲法・行政法)です。法律科目は、政治・国際区分において問題数は少なくとも一定数得点する必要があり、効率的な習得が求められます。講義は、時間帯が夜遅くであることに加え、緊張感漂うクラスですが、辛抱強く受講し、配られる教材に目を通すだけで、本番に十分対応できました。
- 専門試験対策
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幅広いアプローチで、知識を体に慣らせていく
専門試験対策は、その出題内容から、外務省の官庁訪問対策にも通じていたため、最も力を入れて対策しました。他方、私は、幼小中高一貫校の出身で、大学も推薦入試(面接・小論文)で受験しており、筆記試験について受験勉強の経験がなく、自分に合った効率的な学習法さえ分かりませんでした。そのうえ、教養科目には全く自信がありませんでした。そこで、教養試験は半分程度得点できればよいと割り切り、多くの時間を専門試験対策にかけました。
対策をするにあたっては、TAC・Wセミナーの教材は、基本書のエッセンスを体系的にまとめ、学習手順を示したものだと捉えたうえで、教材以外にも多くの文献に目を通すようにしました。主要科目については、各科目、及び、科目内のテーマごとに、基本書や関連書籍5,6冊程度を何度も読み込みました。また、日頃から、新聞や新書、シンクタンクや省庁の資料などに意識的に触れておくようにしました。一つの科目や分野について、様々な視点からアプローチする経験を少しずつ増やすことで、知識を螺旋状に積み上げ、膨大な範囲を意図的に覚えるというより、体に慣らせていく、染み込ませていくというイメージで取り組みました。
- 政策論文試験対策
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高得点答案を参考に、内政と外交、時代を意識して
対策として、1)高得点の答案を読み、文章のスタイルを仕入れること、2)①内政、②外交、③内政と外交の両方をまたぐ視点から、それぞれ、問題点とその解決策を、与えられた資料に沿わせて考えること、3)現代の社会情勢を表すようなキーワードを含ませること、を意識しました。1)に関しては、数を読めば自ずと規則性が見えてくると思います。見栄え(字の丁寧さ,分量)、理論展開(抽象から具体,明確なSVOC)等です。2)に関しては、例えば、何かしらの社会問題Aへの対応が問われた場合、①の視点から、Aを引き起こす国内社会にある原因、②の視点から、Aを引き起こす国際社会にある原因、③の視点から、Aを引き起こす国内・国際社会に共通する原因を考え、資料に沿わせつつ、解決策等、議論を展開していきます。3)に関しては、受験当時のキーワードとして「複合性」、「広さ」がありました。新聞の連載や当時直近に発売された書籍では、新型コロナ対策に複合的に取り組む、安全保障の裾野を広げる等、広く複合的に政策を考える重要性を、改めて訴えかける議論が多い印象でした。これらは、出題者ないし採点者と、受験生が唯一共有できる「時代」という共通の空間での用語です。試験でも面接でも、結局は、相手の共感を呼べるかが、一つのカギとなると思います。採点相手と共有できるものは何かを考えながら対策すると、戦略も描きやすいと感じました。
- これから受験する人へアドバイス
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万事、相働きて益となる
就職活動中、弱気になる自分に何度も言い聞かせていた言葉が、「万事、相働きて益となる」です。 試験対策が思うように進まなかったり、何かとやらかしている気がして落ち込んだり…。「万事」という「万事」が上手くいかないことばかりだった時、それでも、「万事」が、未来の自分の糧になると信じて、多くの方々に支えられつつ、目の前の課題に、出来ることからひとつひとつ取り組んでいきました。
今後、就職活動の中で、悩むことがあっても、ご自分の未来を信頼して、歩みを進めていただければと思います。結局、人間的な(ないし、日本社会の一般的な就職活動の)時間の流れから、取り残されているような心地がしても、焦らず、自分の歩幅で着実に踏みしめて歩んだ方が、断然強いです。いざ、勝負に出る時、後ろに続く自分自身の濃く深い足跡の存在が支えになるはずです。
心より応援しています。