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捨てるものがないジーンズメーカー『ベティスミス』
独自・独特・独創なアイデアでSDGsに貢献する!

ベティスミス  SDGsの取り組み

国産ジーンズ発祥の地として有名な、岡山県倉敷市児島。2003年に国内初の『ジーンズミュージアム』が創設されたことを機に、地域一丸となり“産業観光”を開始し、現在では年間約5万人の観光客が訪れました。
この「ジーンズの聖地」で新しい風を吹かせ続けているのが、1962年創業のベティスミスです。「もったいない」をきっかけにデニム残布を使った小さなペンケースを作成したのが2003年。現在では「エコベティ」というサステナブルブランドとして親しまれ、多くの服飾メーカーのお手本となっています。
今回は、ベティスミスの大島康弘社長に、SDGsへ取り組んだきっかけや新しいアイデアを生むコツについて伺いました。

※この記事は、2021年8月に行った取材に基づいています。

SDGsのお取り組みポイント

環境保全・地域経済活性化として以下の取り組みを行っています。

1

エコベティ プロジェクト

段ボールや紙の再利用をはじめ、裁断後の生地も破断して 活用することで、生産時のゴミを減らす工夫を行っています。

ベティスミス  エコベティ プロジェクト

2

ジーンズミュージアム&ヴィレッジ

年間約5万人が訪れる児島の観光スポットで地域に貢献するだけでなく、ジーンズづくり体験を通した地場産業の学びを提供しています。

ベティスミス  ジーンズミュージアム&ヴィレッジ

3

業界を超えるコラボレーション

ハウスメーカーや紳士服、シート生地などアパレル業界の枠を超え、様々なコラボレーションを実現し、パートナーシップを実現しています。

ベティスミス   業界を超えるコラボレーション

まずは、どのような事業をされているか教えていただけますか。

大島:1962年に創業し、日本で初めてレディスジーンズを作ったメーカーです。
2002年、小学校の教科書に地場産業の紹介としてジーンズが取り上げられたことを機に工場見学の依頼がありまして、その頃から小学生を受け入れ始めました。今でこそ児島はジーンズの町と言われていますが、当時はただ工場が並んでいるだけでしたので、私の父がいろいろな人に協力をお願いしてジーンズの資料館を作ったのです。国内初のジーンズミュージアムですね。それからは学生だけでなく一般の旅行者も訪れるようになり、2006年には町全体でジーンズを盛り上げていこうと「産業観光」がスタートしました。
従来ジーンズはマーケットインで作っていきますが、観光客を相手にしているなかで気付きがあり、2003年に国内初のオーダージーンズを誕生させました。

ジーンズの聖地」となったきっかけも御社が作られたのですね。

大島: ちょうど自社をリノベーションするタイミングで、産業観光を意識して手を加えました。工場内を外から見学できるようにしたり、会社の中を回遊できるようにしたり、お客様にも楽しんでいただける場所として国内初のジーンズのテーマパーク『ジーンズミュージアム&ヴィレッジ』を作りました。
今では工場やストア以外にも、ジーンズの体験工房やマルシェ、ファーム、ドッグランなどを併設して、一つの観光施設として運営しています。

ベティスミス  大島社長

SDGsはどのようなきっかけで取り組みを始めたのでしょうか。

大島: 小学生の工場見学を受け入れる際にお土産を渡さなくてはいけないので、コストをかけずに作れるものはないかと生まれたのが「エコベティ」なのです。ジーンズを作る際に余った布やファスナーなどをかき集めて、初めはペンケースを作りました。お土産として小学生にあげていたら、観光客からも「欲しい!」という声をいただき販売するようになったのです。これがSDGsに取り組むきっかけでした。
それまでは、残布は業者に引き取ってもらっていましたが、今ではほぼ捨てるものがなくなりました。裁断くずも欲しいと言われます。粉砕して車の断熱材に使われるそうです。

捨てるものが無いとは、本当に素晴らしい、理想の状況ですね。

大島: オーダージーンズも、ロスの軽減に役立っています。通常のジーンズ生産では、販売数を想定して在庫を持ちますが、オーダーの場合はお客様の必要とする素材を予め知ることができるためロスを出さずにすみます。
捨てるものをなくすこと、生産ロスを少なくすること、廃棄物を減らすこと。これらを常に意識して取り組んでいます。

SDGsについてはいつ頃から認識をされていましたか?

大島: エコベティを初めたのが2003年。当時は「エコ」という言葉もあまり使われていませんでしたね。もったいないというのはずっと昔から思っていまして、捨てるものを減らしていこうと工夫していました。
最近ではSDGsの取り組みとしてもっとできることはないだろうかと考えて、エコベティプロジェクトと名付けていろいろ実践しています。その一つに、不良品をリメイクして商品化する「デニムリボーン」があります。不要になったジーンズがバッグやベスト、マスクなどに生まれ変わります。またジーンズの修理を受け付けて長く履いてもらうなど、私たちにできることはまだまだあると思います。

ベティスミス

倉敷市児島というジーンズメーカーが集う土地で、企業としての持続可能性・競争優位性を高めるために、大島社長はどのような努力をされていますか?

大島: やはりいちばんは『独自・独特・独創』でオリジナリティのあるものを常日頃から出すように意識しています。
あとはお客様のニーズは変化しますので、現在のニーズを的確に捉えて、商品・サービスへ活かしていかなければなりません。その時その時に必要とされるものが何なのかを深く考えて、商品開発をしています。
また、時には特許を取得するなどプロテクトすることも重要です。オーダージーンズは今でこそ多くのメーカーが取り入れていますが、最初は私たちでした。やり方もマニュアル化もすべて時間をかけて整えて、けれども全国展開するとやはりすぐに真似されてしまいます。せっかく開発と広報に時間をかけて新しいことを始めるのであれば、それを守っていくこともセットで進めなければならないと学びになりました。

大島社長にとって、ジーンズの魅力とはなんでしょうか?

大島: ジーンズは「履くもの」という認識がありますが、私はジーンズでいろいろなことができると考えています。小物になっても良いし、オーダーになっても良い。体験しても良い。ジーンズを製品だけでなく、楽しむ材料として捉えています。
また他業種との接点も作ってくれます。例えば、鯉のぼりやスポーツシート、住宅メーカーとコラボレーションをしたり。ジーンズは皆が着用していますので、いわば生活に馴染んでいるんですね。だからこそいろいろな活用ができる。それがジーンズの魅力かもしれません。

ベティスミス

ジーンズは世界的に市場が伸びているのでしょうか?

大島: そうですね。世界的なジーンズブームは2000年頃から始まり、現在もなお人気が衰えません。そのなかで日本のデニムは一つのブランドになっています。
私たちは現在、イギリス、香港、韓国、オーストラリアへ代理店を出しています。「ジャパン・デニム」は世界的に評価されており、海外からの受注も増えています。

常に新しい風を吹かせている大島社長ですが、次の一手は何をお考えでしょうか?

大島: 先程も申し上げましたが、基本的には『独自・独特・独創』なものを出し続けていくこと。その積み上げだと思っています。
そして、時代に合わせて社内でもいろいろと工夫していく。その連続ですね。

ベティスミス  エビス工房にて

オーダージーンズは40種類の生地から選べます。

ベティスミス

エコベティ シリーズ。種類も多く、どれも可愛らしい一品。

ベティスミス

ボタンもクラシックなものからベティちゃんまで色々と選べる。

ベティスミス

ぜひ、倉敷にいかれる際に訪問していただきたいです!

会社概要
 ■社   名  株式会社ベティスミス
 ■代表取締役社長  大島 康弘
 ■設   立  1962年4月
 ■本社所在地 〒711-0906 岡山県倉敷市児島下の町5丁目2番70号
 ■URL:https://betty.co.jp/
事業内容
 ■ジーンズカジュアル企画製造販売
従業員数
 ■45名(内パート10名)

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