危険物乙4って難しい?一夜漬けでも合格できる?
|危険物取扱者乙種4類
危険物取扱者乙種4類という資格名だけ聞くとなんだか難しそうなイメージがあるかもしれません。一方で受験者数が毎年20万人を超える試験と聞くと、意外と簡単に取れるかもしれないとも思えてきます。
ここでは、危険物取扱者乙種4類は難しい試験なのか、逆に一夜漬けでも合格が可能な試験なのかを説明していきます。
栗原 淳(くりはら あつし)講師
TAC危険物取扱者乙種4類講座 講師
現在石油業界にて営業・販売取扱業務の傍ら、資格の学校TACの危険物取扱者講座にて教材制作に携わる。保安管理など危険物の知識を広めるための活動なども行っている。
危険物取扱者乙種4類ってなに?
はじめに、危険物取扱者乙種4類とは、そもそも何なのでしょうか。
危険物取扱者乙種4類は正式名称が「乙種第4類危険物取扱者」といい、省略して「危険物乙4」「乙4」と呼ばれたりもします。
危険物取扱者の種別は3種類あり、「甲種」「乙種」「丙種」にわかれます。
さらに乙種は細かくわかれ、第1類から第6類まであり、類によって取り扱うことのできる危険物の種類が違いますが、危険物取扱者の種別では乙種4類が特に人気のある資格です。実際、多くの人がこの種別から危険物取扱者へとなっていきます。
ではなぜ、最初に危険物取扱者乙種4類から取得するのが望ましいのでしょうか?
危険物取扱者乙種4類の人気の理由
-
理由1
取り扱える危険物に関連した職種や適応範囲が広い
-
理由2
すでに危険物取扱者免状を一つの類でも取得している場合、「危険物の性質と火災予防・消火方法」以外は試験が免除され、今後取り扱うことのできる“類”を増やしていける
適応範囲の広さ、類を増やすきっかけとなる、この組み合わせが人気の一因と言ってよいでしょう。
「でも資格で得られる特徴から考えると、試験が難しいような気がするな」と、不安になるかもしれません。これについては後ほど詳しく説明します。
危険物取扱者乙種4類って難しい?難易度は?
栗原講師
さて、ここでお聞きします。皆さんが危険物乙4の取得を目指す目的はなんでしょうか。
会社で取得するよう言われた(仕事のため)、将来就職に有利だと思う、周りが受験しているからなど理由は様々であると思います。
仕事に関していえば、資格所有が有利な業種であれば取得しておくべきでしょう。なぜなら会社から見た場合、有資格者がいることによって経費削減などの効果が生まれるからです。
例をあげますと、タンクローリーの運転手という職種。大型や牽引の運転免許証に加えて、危険物乙4があることで1人での配送荷卸業務が可能となります。もし乙4未取得であれば運転手と有資格者の2人での配送荷卸業務となってしまいます。
それでは本題の危険物乙4の試験について具体的に話を進めていきましょう。
さて、危険物乙4は国家資格となりますが、何よりも皆さんが気になっているのは試験の難易度ではないでしょうか。
合格率からみる危険物取扱者乙種4類の難易度
令和2年度の危険物乙4の受験者 200,876人に対して、合格者77,466人、合格率38.6%(一般財団法人消防試験研究センターのデータより)。
他の危険物乙種の合格率は70%前後です。また、乙種計は44.9%であって、危険物乙4が全体の合格率を低くしているのは明らかです。一般的に「合格率の低さ = 難関資格」と考えますよね。私も合格率を知ったときは「えっ!大変なことに足を突っ込んでしまった」と。こんなに合格率が低いのはなぜでしょうか。
その理由は受験者数の多さなのです。
令和2年度、他の危険物乙種で4類に次いで受験者が多い危険物乙種第6類と比べてみましょう。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
危険物乙6 | 11,041人 | 7,569人 | 68.5% |
危険物乙4 | 200,876人 | 77,466人 | 38.6% |
栗原講師
どうですか。まず目に入るのは受験者数の多さですね。18万人も多いのです。
つまり、分母が桁違いに多いんですね。
これが「難関資格」と思われている一因となっています。
受験資格の違い|危険物取扱者乙種4類
他にも理由があります。それは受験資格にあります。甲種、丙種と比較してみましょう。
受験に際しての資格 | |
---|---|
甲種 | 大学等で化学に関する学科等を修めて卒業したもの など |
乙種 | 誰でも受験できる |
丙種 | 誰でも受験できる |
乙種では、甲種のように受験資格に制限がありません。つまり、「ダメもとで受けてみるか、受かれば儲け物」的な受験者も一定数いると考えられます。
私の知り合いにもそのような考えの人がいました。勉強も「仕事の合間に、適当に」でした。このような考えの受験者が、本気で合格を目指して勉強・試験に挑めば、自然と合格率は上がると思います。
危険物取扱者乙種4類はホントは簡単?一夜漬けでも合格できる?
栗原講師
さあ皆さん、危険物乙4の合格率は試験問題以外に理由があって、本当は難しくないとわかれば、「一夜漬けでの試験突破、いけるかも」と思いませんか。
“一夜漬け”とても魅力的な言葉ですね。この危険物乙4では可能でしょうか。
・・・結論から言います。危険物乙4試験において一夜漬けは現実的ではありません。
試験の流れ・問題の特徴を掴む|危険物取扱者乙種4類
危険物乙4に限らず、試験の流れや問題の特徴を掴むことが必要でしょう。場合によっては事前知識がないと“一夜漬け”にもならないでしょう。
ちなみにみなさんは危険物乙4のテキストなどを見たことがあるでしょうか。普段聞かない言葉が多くありませんでしたか?
法令、物理学と化学、危険物の性質、どうでしょうか。マークシート式の試験とはいえ、事前に知識・理解しての勉強でなければ難しいのではないでしょうか。このようなことも含めて、一夜漬けは現実的ではありませんし、お勧めできません。
合格ラインを知る|危険物取扱者乙種4類
まだ合格率が低い理由があります。これは皆さんの実力次第となるものです。
また先ほどの一夜漬けをお勧めできない最大の理由でもあります。
危険物乙4の試験の問題数は合計で35問。5者択一のマークシート方式。試験時間は2時間です。「あれ、結構時間に余裕あるんじゃないの?」と思いますよね。実際、私もそうでした。
内容を具体的に見てみましょう。先ほど合計35問と言いましたが、
(1)危険物に関する法令:15問
(2)基礎的な物理学および基礎的な科学:10問
(3)危険物の性質と火災予防・消火活動:10問
以上の3つの科目に大別、問題数が振り分けられています。
さらに合格条件がつきます。ここが重要になります。
それは、各科目で60%以上の正解を得なければ合格となりません。
では合格ラインを計算してみましょう。
出題数 | 合格に必要な問題数 | |
---|---|---|
(1)危険物に関する法令 | 15問 | 9問以上 |
(2)基礎的な物理学および基礎的な化学 | 10問 | 6問以上 |
(3)危険物の性質と火災予防・消火活動 | 10問 | 6問以上 |
栗原講師
どうでしょう、突破できそうですか。
毎回、受験者の前に立ちはだかるのは、1科目でも60%を切ると不合格という壁です。平均した知識、得点が求められるのです。
受験のチャンスが多い=計画的に合格を狙える試験|危険物取扱者乙種4類
ここまで、少し厳しめのお話をしてきましたが、皆さんの味方になるであろうこともありますよ。
それは年に数回試験が実施されていることです。例えば東京都の場合、令和3年度はなんと40回実施されました!試験日に合わせて勉強の予定が組みやすくなるのではないでしょうか。
栗原講師
いかがですか。危険物乙4はきちんと対策すれば決して取得の難しい資格ではありません。合格ラインの60%の壁を超え、見事合格を手にされることを願っています。
まとめ
- 危険物乙4は毎年20万人以上が受験する人気の資格
- 合格率は決して高くはないが、受験資格がなく受験しやすいことも要因のひとつ
- 科目ごとの合格ラインもあり、一夜漬けでの合格は難しい
- 受験のチャンスが多く、計画的に合格を狙える試験
- きちんと対策すれば決して難しい試験ではない
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