2023年4月からの基本情報技術者試験の変更点を徹底解説!
2023年4月から通年試験化され随時受験が可能に!
基本情報技術者試験は、2023年4月から年間を通じてCBT方式で実施され、受験者が都合の良い時期・日時を選択して随時受験が可能になりました。
大問形式から小問形式への変更による午後問題のコンパクト化、出題数・解答数の変更などによって、従来より試験時間が30~40%短縮されています。具体的には、総試験時間が300分から190分に短縮され、受験者の利便性が高まりました。
この記事では2023年4月より実施されている新しい基本情報技術者試験の変更点について解説します。
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基本情報技術者試験【変更のポイント】
【変更のポイント】通年試験化
これまで年2回(上期・下期の一定期間)実施されていた試験を受験者が都合の良い時期や日時を選択して受験できるようになりました。
変更前(令和4年度下期試験まで) | 変更後(2023年4月以降) | |
---|---|---|
試験実施期間 | 上期・下期の一定期間 | 2023年4月5日(水)より随時 |
受験可能回数 | 年2回 | 申込済の試験の終了時刻を過ぎたら、再申込が可能 |
通年試験において適用される再受験規定(リテイクポリシー)については、次のとおりです。
再受験規定(リテイクポリシー)について
項目 | 説明 |
---|---|
一度受験申込をした試験区分の再申込が可能になる日時 |
申込済の試験の終了時刻を過ぎたら、再申込が可能。 システムでの処理の都合上、申込済の試験の終了時刻を過ぎてから再申込が可能になるまでには数時間~1日程度掛かるとされています。 |
一度受験した試験区分の再申込時に、受験日として指定が可能な日 |
前回の受験日の翌日から起算して30日を超えた日以降を、受験日として指定可能。 前回の試験を受験せずに欠席した場合、このリテイクポリシーは適用されません。 |
【変更のポイント】実施方式・採点方式
試験はコンピュータを用いる方式で実施され、随時受験が可能となり、採点は、IRT(Item Response Theory:項目
応答理論)に基づく方式に変更されます。
変更前(令和4年度下期試験まで) | 変更後(2023年4月以降) | |
---|---|---|
採点方式 | 素点方式 | IRT方式(※) |
IRT(Item Response Theory:項目応答理論)に基づいて解答結果から評価点を算出する採点方式です。
【変更のポイント】合格基準
各科目(科目A試験、科目B試験)の評価点がすべて基準点以上の場合に合格となります。
科目 | 配点 | 基準点 | |
---|---|---|---|
合格基準 | 科目A試験 | 1,000点満点 |
科目評価点: 600/1,000点満点 |
科目B試験 | 1,000点満点 |
科目評価点: 600/1,000点満点 |
【変更のポイント】出題形式
小問形式への変更による午後問題のコンパクト化、出題数・解答数の変更などによって、試験時間が従来の30~40%短縮されます。
変更前(令和4年度下期試験まで) | 変更後(2023年4月以降) | ||
---|---|---|---|
午前試験 (小問) |
試験時間:150分 出題数:80問 解答数:80問 |
科目A試験 (小問) |
試験時間:90分 出題数:60問 解答数:60問 |
午後試験 (大問) |
試験時間:150分 出題数:11問 解答数:5問 ※選択問題あり |
科目B試験 (小問) |
試験時間:100分 出題数:20問 解答数:20問 ※選択問題なし(全問必須) |
【変更のポイント】出題範囲
旧午前試験にあたる「科目A試験」は、従来の出題範囲からの変更はありません。旧午後試験にあたる「科目B試験」の変更内容は下表のとおりで、これまで必須解答とされていた「情報セキュリティ」と「アルゴリズムとプログラミング」の2つの分野を中心とした構成に変更されます。
科目名称 | 出題範囲の変更概要 |
---|---|
科目A試験 | 変更前の午前試験に準じます。 |
科目B試験 |
これまで必須解答とされていた「情報セキュリティ」と「データ構造及びアルゴリズム(擬似言語による出題)」の
2つの分野を中心にした構成に変更されます。 また、個別プログラム言語(C、Java、Python、アセンブラ言語、表計算ソフト)による出題は、普遍的・本質的なプログラミング的思考力を問う「擬似言語」による出題に統一されます。 |
科目A試験の出題範囲
テクノロジ系
基礎理論、アルゴリズムとプログラミング、コンピュータ構成要素、システム構成要素、ソフトウェア、ハードウェア、データベース、ネットワーク、セキュリティ、システム開発技術 など
マネジメント系
プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査 など
ストラテジ系
システム戦略、システム企画、経営戦略マネジメント、技術戦略マネジメント、ビジネスインダストリ、企業活動、法務 など
科目B試験の出題範囲
【1】プログラミング全般に関すること
実装するプログラムの要求仕様(入出力、処理、データ構造、アルゴリズムほか)の把握、使用するプログラム言語の仕様に基づくプログラムの実装、既存のプログラムの解読及び変更、処理の流れや変数の変化の想定、プログラムのテスト、処理の誤りの特定(デバッグ) 及び修正方法の検討 など
注記:プログラム言語について、基本情報技術者試験では擬似言語を扱う。
【2】プログラムの処理の基本要素に関すること
型、変数、配列、代入、算術演算、比較演算、論理演算、選択処理、繰返し処理、手続・関数の呼出し など
【3】データ構造及びアルゴリズムに関すること
再帰、スタック、キュー、木構造、グラフ、連結リスト、整列、文字列処理 など
【4】プログラミングの諸分野への適用に関すること
数理・データサイエンス・AI などの分野を題材としたプログラム など
【5】情報セキュリティの確保に関すること
情報セキュリティ要求事項の提示(物理的及び環境的セキュリティ、技術的及び運用のセキュリティ)、マルウェアからの保護、バックアップ、ログ取得及び監視、情報の転送における情報セキュリティの維持、脆弱性管理、利用者アクセスの管理、運用状況の点検 など
【変更のポイント】出題割合(科目B試験)
科目B試験(20問)の分野別の出題割合は、「アルゴリズムとプログラミング」が8割(16問)、「情報セキュリティ」が2割(4問)です。
これまでより、アルゴリズムやプログラミング的思考をより重視した試験となっています。
基本情報技術者試験のサンプル問題と公開問題
試験主催元の情報処理推進機構(IPA)より、2022年4月25日と2022年12月26日にサンプル問題、2023年7月6日に令和5年度公開問題、2024年7月5日に令和6年度公開問題が公表されています。各問題と解答例(PDF)は以下のとおりです。
サンプル問題(2022年4月25日公開)
基本情報技術者試験(科目B試験)サンプル問題・解答例(6問)
サンプル問題(2022年12月26日公開)
出典:基本情報技術者試験(科目A試験) サンプル問題セット
出典:基本情報技術者試験(科目B試験) サンプル問題セット
出典:令和5年度 基本情報技術者試験 科目A 公開問題
出典:令和5年度 基本情報技術者試験 科目B 公開問題
教えて先生!変更後の基本情報技術者試験
TACのプロフェッショナル講師陣が解説!
変更後のここがポイント!基本情報技術者試験【Q&A】
情報一郎さん
【Q】出題形式について、試験時間、出題数、解答数が変更されていますが、どのようなことに気を付ければよいでしょうか。
【A】試験時間及び出題数が共に減りますので、全体的な体力負担などは軽減されるでしょう。その代わり、1問当たりの所要時間がむしろ少なくなるため、今までとは違ったスピード感が必要になってくる可能性もあります。
藤澤講師
情報二郎さん
【Q】出題範囲について、従来の午後試験にあたる「科目B試験」が大きく変更されていますが、どのように学習すればよいのでしょうか。
【A】小問20問(全問必須)は「アルゴリズムが16問、情報セキュリティが4問」という内訳で出題されるので、そこに集中して基礎を固めましょう。従来のような数ページにもわたる長文の問題を読解する必要はなくなりますが、その分「漏れがない」ようにいろいろな題材に触れておくことが、試験対策として重要になります。アルゴリズムであれば「探索や整列」「データ構造 (スタックなど)」「文字列処理」、情報セキュリティであれば「暗号化や認証」「ネットワークセキュリティ」「攻撃と対策」といったように、基本的な事項をひととおり網羅しておくようにしましょう。
遠藤講師
情報三郎さん
【Q】採点方式のIRTとはどんな方式ですか?
【A】IRT(項目応答理論)は、「各項目に対し、皆が実際にどう答えたか」というデータを解析し、その結果を活用して各受験者のスコアを決めていきます。事前に配点の決まっている従来の試験と比べ、「まぐれの要素が少なく」「より効率的に」実力を正しく評価できる方式であると考えればよいでしょう。
遠藤講師
情報五郎さん
【Q】試験制度変更前の基本情報技術者試験で良い結果を残せませんでした。
2023年4月からの新しい試験に再チャレンジする場合、これまで学習してきたことは活かせますか?
【A】もちろん活用できます!
科目A試験では、これまでの午前試験対策で得た各分野の基礎知識をそのまま活かすことができます。科目B試験では、午後試験対策での「情報セキュリティ」及び「アルゴリズム」の問題演習の成果が、それぞれ存分に発揮できるでしょう。それらをベースにさらなる学習の上積みを行い、合格への道を盤石なものにしてください。
藤澤講師
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