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IT企業にSEとして入社し、プログラマーから始まって10年目にはリーダーにまで職位が上がりました。システム開発に精通しプロジェクトを任されるまでになってやりがいを感じてはいました。一方で、「10年間同じシステム開発しかやってきていない」という思いもあり、「ずっとこの仕事を続けるのか」とキャリアへの危機感をおぼえたのです。また、システム開発は二次請けの立場で受託することが多かったため、開発したシステムを顧客がどのように使っているのか確認できないという現実もありました。 「狭い世界でずっと同じ仕事をしていて、他の世界をまったく知らない」。そんな閉塞感と危機感と興味が相まって「今と違う仕事をしたい」と強く思うようになったのです。 技術者のキャリアしかないので、やる気を見せるためにまず簿記2級を取得。その後、TACのパンフレットで知ったのがビジネス知識の基礎を総合的に培える診断士でした。システム開発のみの私にとって、独占業務がなく「やりたいことが何でもできる」診断士は「真逆の仕事」に思えたのです。
長い間勤務し、慣れ親しんだ会社なので、目指した時は社内でのキャリアチェンジを考えていました。しかし残念なことに開発職は他部署への異動事例がほぼありません。それなら「日本版MBAと言われる診断士」を取ってキャリアチェンジしようと考えるようになりました。 仕事が多忙を極める中で「教室講座に通うのは無理だろう」と決めつけていましたが、TACのガイダンスに参加したところ、教室講座ならではのメリットに刺激を受け、「全部受講できなくても教室講座に通おう!」と決意を固めました。結果的には講義の8割は教室講座に通うことができて、残り2割もクラス振替出席フォローやWebフォローでクリアしました。こうして10カ月間の勉強で「1・2次ストレート合格」を手にすることができました。
診断士を取ってからは、支部に所属し、研究会にも参加してプロのコンサルタントのゼミの受講や実際に企業訪問して診断・支援を行うなど、診断士として様々な活動をしてきました。そこでの活動実績を自己PRポイントとして転職活動に臨みました。 現在の電力小売業に転職し、前職のITスキルをベースに希望の仕事に就くことができました。 当時の配属先は企画部門内の情報システムチームでした。実は、現在の会社に私が採用されたのは、単なるSEではなく会社の経営を支え組織横断的に全体を俯瞰できる人材として診断士のスキルを発揮して欲しいという期待込みの判断をしていただいたからです。診断士資格とそれまでの実績が評価されて、ご縁をいただくことができました。
情報システム部の課長として、インフラを含めた会社の情報システムの企画から運用管理まで部員達と一緒に担っています。 同じITの仕事でも以前はシステム開発に限られていましたが、現在はシステムを使う部門と要件の整理をしたり、外注先から納品されたシステムをチェックしたり、ユーザからの問い合わせや業務を支援することが私の仕事です。システムを使う人の顔を間近に見ながら、ありがとうと言われる時もあれば、辛辣なコメントをいただく時もあります。システムを使っている人を業務面で支えている実感が得られ、大きなやりがいを感じています。
以前の会社では終日技術者集団の中で過ごしていましたが、今は日常的に会う社員それぞれがまったく自分と違ったスキルセットを持っています。診断士受験で培った知識があるので、そうした社員と話すときもまったくのゼロベースではなく、知識をベースに対応できます。 もう一つ、診断士受験で培った物事を俯瞰的に見る素養が役立っています。たとえば、システム化の要件を決めるとき、要望が出たから単にそれを実現すればいいのではなく、この要望を実現すると会社全体を部門横断的に見たときなどのような影響があるのか、一段上からの視点で影響する範囲とその良し悪しを見定めた上で最適な要件を定義ができるよう心掛けています。まさしくこれは診断士受験で得た知識のおかげだと思っています。
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